昨年11月、75歳の若さで他界した弟淳の遺作展が、臼杵で開かれている(16日~29日間)。
既に何度も触れたように(2015.11.27付「弟、淳の死」(3回)ほか)、私の3番目の弟淳は、教師をやりながら絵を描き続けた。題材はさまざまあったが、大学時代に秋田国体山岳の部に参加して以来、その魅力に取りつかれた「ブナ」に収斂した。死ぬ一週間前までブナを描き続け、「ブナの画家」と呼ばれるほどであった。
そのブナの絵を中心に、数十点を掲げた遺作展ということだ。これは弟の遺言でもあったようで、それを受けて、娘の直子と二人の郷土画家の三人が選者となって、淳のアトリエに描き残されたものから選んだという。なかなかの好評を得ているようで、先ほどのトシエ夫人からのメールによれば、一日平均70~80人の方々が来てくれており、一週間を経て来館者は500人に達しようとしているという。淳の、多方面にわたる生前の活動に依るのであろう。
遺作展のポスターと、大分合同新聞の17日付記事
私は本来なら会場に駆けつけるべきであろうが、老体の上に体調ももう一つだ。ここはお許しを願って、わが家にある淳の遺作をいくつか並べて、彼の生前を偲ぶこととする。
芽吹くブナ
栗駒山
大分合同新聞連載『硝子戸の中』(漱石)の挿絵2点