八ケ岳中腹の高原別荘地帯は、標高7,8百メートルと聞く。カラリとした心地よい気温に久しぶりに触れた。翌日はもっとおいしい空気を求めて、標高1200前後という「まきば公園」にまで上がったことはすでに書いた。牛馬や山羊、羊の中を、孫の遥人は元気よく走りまわった。
その後、コスモスの咲き乱れる店先の椅子で食べたアイスクリームは美味しかった。べっとりした甘ったるさが全くないサッパリ感は、成分的な美味しさもさることながら、標高1200メートルの空気の美味しさがマッチングしていたに違いない。
昼食はふもとの長坂まで下りて、かの「そば処『三分の一』」でそばを食べることにした。店名の「三分の一」は、近くの林に沸く湧水に起因する。その湧水を訪ねると、木漏れ日の林の中にこんこんと湧く湧水を、三角形の石で三方に分けて流す様が見て取れた。貴重な水をそれぞれ有効に使用しようとした先人たちの知恵が浮かぶ。
この湧水で仕立てた「八ヶ岳南麓産玄蕎麦」は美味しかった。「まきば公園」のアイスクリームと同様、本物の原料以外は何も入っていません、と言っているような味であった。いずれも、その場に行かなければ味わえない味で、ここに旅の魅力がある。