早くも9月を迎えた。文化の秋、の匂いがしてくる。その最初の行事が、昨日の「杉並区敬老会〝日本フィル演奏会″」であった。
日本フィル演奏会といっても10数人による弦楽合奏であるが、コンサートマスターの木野雅之氏のソロ演奏あり、ソプラノ歌手坂井田真美子さんのアリアありで多彩であった。坂井田さんのアリアのメインは、『椿姫』の「乾杯の歌」であったが、そもそもテノールとのデュエットである歌をソプラノ一人で歌う違和感もあり、その点では迫力に欠けた。むしろ「見上げてごらん夜の星を」と「ふるさと」という日本歌曲の方がなじんだ感じ。
「乾杯の歌」と言えば、娘の主宰するオペラ普及団体「ミャゴラトーリ」に、私の昔の同僚が社長をやっている某社より、「パーティの始まりの乾杯に続いて歌ってくれないか」という依頼が入った。しかもそのパーティは「綱町三井倶楽部」で催されるという。
綱町三井倶楽部は、大正2年にイギリス人建築家ジョサイア・コンドルにより、三井家の迎賓館として建てられた由緒ある建物。あるイタリア人旅行業者を一度案内したことがあるが、その建物を一目見るなり、「ミラノスカラ座の雰囲気だ!」と感動して叫んだことを思い出す。まさに、『椿姫』を歌うにぴったりの場所だ。
娘は早速、ソプラノとテノール探しをはじめ、短時間ではあるが本格的なオペラの雰囲気を出したいと取り組んでいる。先日下見に綱町三井倶楽部を訪れ、「舞台装置も何にもいらない。そのまま『椿姫』を演じられそうな館だ」と感心して帰ってきた。そして、「こんな施設が、もっと気軽に利用できたらどんなにいいだろう」と言っていた。遺産の保存と、一般庶民への公開というむつかしい問題が含まれている。
今月は、9日「文京シビック合唱団」の定期演奏会、16日は文学座アトリエの「冒した者」(三好十郎作)、その後経済勉強会などが続く。またK先輩からは、11月の「奈良・京都の旅」(日本史と古跡めぐり)の案内が早くも届いた。
秋の訪れとともに文化の匂いが漂ってきた。