ずらりと並んだ酒は、私の誕生日を祝ってくれた酒である。既報のごとく、86歳の誕生日は4月23日ですでに過ぎたが、その前後、幾人かの人から誕生日を祝う酒を頂いた。ようやくその大半を飲み終えたので、それらの酒について記しておこう。
まず左端の酒が『大納川』(秋田県横手市)の「天花」純米大吟醸無濾過原酒亀の尾。蔵人5人の小さい蔵であるが良い酒を造り続けている蔵で、この度、初めて秋田産「亀の尾」を使用、「原料処理(浸漬)に苦労したが、しっかり旨味を引き出せた」とラベルに書いているように、素晴らしい旨酒に仕上がっている。精米歩合50%も米の味を残して良い。
次は同じく横手市『浅舞酒造』の「天黒樽熟成」。これは、秋田県産「星あかり」を100%使用した純米酒(精米歩合60%)であるが、麹に「焼酎用黒麹」を使用し3年熟成した酒で、アルコール分16%であるが焼酎を思わせる重量感があった。酸味も十分で、誕生日にとった『由良川』の「うな重」の重量感に負けない酒であった。
誕生日の贅沢で続いてとった『魚河岸』の寿司(ここ数十年、私の好む最高の寿司)に、ぴったり合ったのが4番目に並ぶ福岡県筑紫野市『大賀酒造』の「大賀」純米吟醸辛口。創業1670年のこの蔵は手作りに徹し、岡山産朝日米を60%精米、きれいな辛口純米吟醸に仕上げた。刺身、吸い物の合う典型的な上質日本酒。
中央に位置するは、見ての通り茶褐色の古酒。愛媛県四国中央市の『梅錦山川』が醸し30年熟成させたその名も「平成二」。その下に「UMENISHIKI VINTAGE 1990 長期貯蔵純米吟醸原酒」とある。精米歩合55%、原酒と銘打つだけあってアルコール分18%、しかし30年熟成したまろやかさで、18度という強さを感じさせない。チーズやスモークタンにぴったり合い、超贅沢感を味わった。
右端の酒は『天の戸』純米大吟醸令和元年金賞受賞酒。これは受賞直後に飲んだが「現在日本で最高水準の酒」と感じたことを覚えている。もったいなくて未だ開栓してないが、2年熟成してどのように美味しくなったか楽しみにしている。
ラベルを拡大しておいたが、少しは読めるかな?