【社説】東京新聞
給油謝意決議 姑息では見透かされる(9月21日)
インド洋での日本の給油活動に謝意を表明した国連決議が採択された。政府が働きかけての唐突な決議は、対テロ戦争で悩ましい問題を抱える国際社会に姑息(こそく)と映らないか。それが心配だ。
採択された安保理決議は、タリバン政権崩壊後のアフガニスタン新政権を支援するため結成された国際治安支援部隊(ISAF)の任務延長を認めるものだ。二〇〇一年採択以来毎年延長され、来月半ばの期限切れが迫っていた。
決議本文は延長を認めるだけの短いものだが、前文で北大西洋条約機構(NATO)の活動や米軍中心の対テロ作戦「不朽の自由」(OEF)の必要性などに触れることで決議全体の意義付けをしている。
謝意は「NATOの指導力や海上阻止行動を含め、ISAFとOEFへの各国の貢献に感謝を表明する」との表現で示されている。具体的な国名は記載されていないが、「海上阻止行動」の部分が「日本の貢献への謝意」(ハリルザド米国連大使)だとされる。
肝心のアフガン情勢は、先月国連に提出されたNATO事務総長の現地報告が、北、中部などでの武装勢力掃討に一定の成果を認めつつ、南部を中心に暴力は依然続き、発生件数は昨年同期の二倍に達していると指摘している。イタリアの記者、韓国やドイツの民間人の悲惨な拉致事件も記憶に新しい。
悪化する治安に参加各国の事情もさまざまだ。北部を中心に約三千五百人の兵力を派遣するドイツはこれまで三十人近い犠牲者を出し、国内世論は撤収論が大勢を占める。危険な南部地帯に展開している英、カナダ、オランダには、展開を拒む各国に対する不満も出ている。
日本はISAFに直接参加せず、海上自衛隊による給油活動を続けてきた。安倍晋三首相は退陣表明直前の日米首脳会談でこの活動の根拠法であるテロ対策特措法延長を「国際公約」したが、延長阻止方針を堅持する民主党の反対で、めどは立っていない。日本政府が米国に強く働きかけ、活動継続へ国際的なお墨付きを得ようとした構図が浮かぶ。
決議に当たってロシアのチュルキン大使は海上阻止行動が国連の枠外の話であることを理由に棄権に回った。特定国の国内事情を優先した決議だ、とも批判している。
民主党は活動継続には国連のきちんとした権威づけが必要だ、と反発している。形だけを取り繕ったような決議には与党にも効能を疑問視する声がある。今後の論議をより複雑にした面も否めないのではないか。
◇
>インド洋での日本の給油活動に謝意を表明した国連決議が採択された。政府が働きかけての唐突な決議は、対テロ戦争で悩ましい問題を抱える国際社会に姑息(こそく)と映らないか。それが心配だ。
民主党を応援する東京新聞としては、国連が決議文で日本への「謝意」を示したのでは国連決議を崇めたてる小沢党首の面目がつぶれないようにせねばならぬ。
そこで09/20時事通信「 政府の働き掛けを批判=国連「謝意」決議採択で-民主・鳩山氏」にある鳩山氏のいちゃもんを丸呑みで社説に反映したわけだ。
≪鳩山氏は、決議に「謝意」を盛り込むよう日本政府が働き掛けたことについて「感謝は強要するものではない。民主党を賛成に回らせる手段の一つだろうが、非常にみっともない」と述べ、政府の対応を厳しく批判した。≫(時事通信)
国連が国際政治の駆け引きの場となり、外交官やロビイストの独占物と化し、今までの日本はカネは出しても口は出すなで常に蚊帳の外にあった。
日本が安保理各国に働きかけて決議に日本への「謝意」を盛り込むことに成功したのは日本外交の格段の進化であり誇りこそすれ卑下するいわれはない。
鳩山氏も東京新聞も、「非常にみっともない(鳩山)」とか「姑息と写らないか(東京新聞)」と恥じ入ったり、心配したりしているが、国連安保理で決議された給油に反対して日本が孤立化することは気にならないのだろうか。
>日本政府が米国に強く働きかけ、活動継続へ国際的なお墨付きを得ようとした構図が浮かぶ。
小沢党首が金科玉条にする「国連主義」なら国連のお墨付きは有難いはずで、反対する理由は見つからないはずだが。
議決は賛成14カ国でロシアは反対ではなく棄権。
結局決議は成功したのだがそれを議決が失敗したかのように吹聴する朝日新聞の切歯扼腕する姿が次の記事に現れている。
決議分裂「日本のせい」、安保理各国に反感 給油謝意(2007年09月20日13時06分 朝日新聞
テロ対策特別措置法に基づくインド洋での海上自衛隊の給油活動を継続するため、日米が目指した「国連決議によるお墨付き」は、ロシアの棄権という想定外の結果に終わった。
ロシアのチュルキン国連大使は決議の本来の目的である国際治安支援部隊(ISAF)の任務延長を、米国主導の対テロ作戦「不朽の自由」(OEF)からはっきり区別。「(OEFの有志)連合の活動は国連の枠外のものだ」と言い切った。
背景には「安保理の一員でもない特定の国」(チュルキン大使)の国内事情を、安保理決議の交渉に持ち込んだ米国への反発がある。米国は前文をいじるだけなら全会一致に持ち込めると踏んだが、読み違った。
全会一致が崩れた原因が「これまでなかった海上阻止活動への言及」(同大使)にあるのは明らかだ。各国は「分裂は日本のせいだ」と見ている。賛成した中国の劉振民・国連次席大使も「全会一致を目指す努力を怠ってはいけない。これが前例とならないことを願う」とくぎを刺した。
来月半ばまで任期が残っているISAFの任期延長を急いだのには、同じく安保理外のドイツの事情もある。独連邦議会は20日からISAFへの派兵延長を議論する予定で、安保理決議が必要だった。結果として、欧州勢が採決を強行した。
チュルキン大使は採択後、記者団に「議論が尽くせなかった。全会一致にはもう1日必要だった」と強調した。ロシアの協力を取り付ける時間が与えられないまま、不完全な成果と日本への反感だけが残った。
◇
マスコミは必死になってロシアの「棄権」に重大な意味を持たそうとするが、その絶好の例を「NEWS23」での田勢康弘早稲田大学大学院教授のコメントに垣間見る。
以下のテキストは「Let's Blow! 毒吐き@てっく 」さんより引用。
田勢康弘 : 決議案を、是非採択して欲しいということで、どうも日本も働きかけたようなんですが
ロシアが言ってるような、一国の内政上の理由を先行させて、えー、安保理の団結を乱した、と、
まあ、ロシアは棄権したわけなんですけども・・・
麻生太郎 : ロシアが今まで安保理の団結の為に、一回も反対しなかったことなんてないでしょうが
何回も反対してきたじゃないですか
僕は、そこはちょっと田勢さん、ロシアの話に行って・・・
なんか言いがかりっぽく言われる話ってのは、よくある話ですが、
少なくとも今の段階で、14対1と言えば、普通は、まず常識的には「可決」
ロシアの言ってるのも、給油活動に反対しているんではないんであって、
基本的には、拙速である、という話を、しているだけの話
私にはそう見えますよ
田勢康弘 : (打ちのめされてアウト)
アナウンサー、次の話題に・・・
この田勢という男、テレビ朝日の「TVタックル」でもちょいちょい顔を出してサヨク丸出しのご高説を垂れているが、元々日経の政治記者上がりで、こんな男でも大学院の教授が務まるかと思うと早稲田の大学院も地に落ちたものだ。