名護市辺野古の新基地建設に伴う埋め立て承認取り消し処分を取り下げないのは違法として、石井啓一国土交通相が翁長雄志知事を相手に起こした違法確認訴訟の第2回口頭弁論が19日、福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)であった。翁長知事は本人尋問で「国側の提訴は、地方自治の軽視」と批判。「民主主義に大きな禍根を残す」と訴えた。

2回口頭弁論を終え、記者の質問に答える竹下勇夫弁護士(左)と翁長雄志知事ら=19日午後、沖縄県庁

 訴訟は同日で結審し、判決は来月16日に言い渡される。取り消し処分をめぐって、初めての司法判断が下される。敗訴した側は上告するとみられ、早ければ年度内にも最高裁で最終的な結論が出る見通しだ。国と県は確定判決に従うことを確認している。

 県側の主尋問では、竹下勇夫弁護士が3月の代執行訴訟の和解から、国の違法確認訴訟提訴までの経緯を質問。翁長知事は「和解条項などに従い、辺野古問題は協議で解決するべきだ。国には話し合いの姿勢が欠けている」と批判した。

 国側代理人は反対尋問で「国と県は和解後、協議を開いてきたのでは」と質問。翁長知事は「協議はあったが、辺野古問題を話し合う充実したものではなかった」と答えた。また「最高裁で行政行為が違法との判断が確定すれば、従うのか」との国側の質問に、知事は「従って処分を取り消す。行政長として当然だ」と答えた。

 多見谷裁判長は、県側が答弁書を提出する前に争点整理案を提示したことについて「当事者の返答の助けになればと考え、議論のたたき台として出した。答弁書提出後に、すぐに県の主張を確認した」と釈明した。

 弁論後に会見した翁長知事は「県の対応に違法性はない。短期間の結審は残念だが、公正な判断を示してほしい」と裁判所に求めた。同支部前の城岳公園では事前集会が開かれ、支援する市民らが知第事を激励した。