信用を重んじる牛の種付けに、ÐNĀ詐欺と言われかねない事案が発生した。
疑惑の人工授精士は「単純ミス」と抗弁するが、農林水産省の担当者は「優良血統の交配を間違えるのはありえない」と疑問を投げ掛ける。
そもそも、久米島jĀは、「勾配ミス」を知っていながら疑惑の牛を集荷していた。
知っていながら出荷したのなら立派な?詐欺ではないか。
宮城県は昨年12月に獣医師を家畜改良増殖法違反の疑いで刑事告発している。
ここに来てデニー知事の軽薄な言動が舐められているのではないか。
沖縄でも刑事告発を含む厳正なる対処を期待する。
沖縄の牛ブランド、失墜の危機に 出荷子牛のDNA不一致 新型コロナに続きさらなる打撃
沖縄県の久米島町内で出荷された子牛の一部が、登録上の血統と異なっていたことが明らかになった。JAは昨年から情報をつかんでいたが、購買者と人工授精師との個別補償が済んでいるとし、公表せずに静観してきた。しかし、DNAの不一致は7件に上り、県産牛のブランド失墜にもつながりかねない状況に発展した。足元では新型コロナウイルス感染拡大の影響で、子牛取引価格が落ち込む中、さらなる打撃になるとの懸念が強まっている。(政経部・島袋晋作、津波愛乃、南部報道部・松田麗香)
昨年、DNA不一致が相次いだことを受け、JAは交配を手掛けた人工授精師に事情を聴いたが当事者間の補償を確認しただけで、改善に乗り出さなかった。しかし、農林水産省の担当者は「優良血統の交配を間違えるのはありえない」と疑問を投げ掛ける。
久米島の家畜市場では18日、2カ月に1回の競りを控え、島内の畜産関係者の不安が強まっている。新型コロナウイルスの感染拡大で観光客などの需要が減少し、取引価格がすでに落ち込んでいるからだ。
島内の繁殖農家は「怖いのは県外からのバイヤーに信用されなくなること。次の競りで買いたたかれるのは目に見えているが、尾を引いて何年も信用を失ったままになるのが怖い」と声を落とした。
その上で「信頼回復へ、DNA検査を一斉に実施するくらいの取り組みが必要。JAに指揮を執ってもらい、検査に加え、授精師の指導育成も強力に進めてほしい」と要望した。
別の農家は「これまでは高値で売れ、若手も育ってきていた。積極的に設備投資を進めてきた農家も多い。価格の落ち込みが続けば、返済計画も狂ってしまう」と畜産業の衰退を懸念した。
本島の市場関係者は「子牛のバイヤーはほとんどが県外の肥育農家。今回の件が久米島だけの問題とみられるか、県全体としてみられるのか。いずれにしても今後の価格にも影響するだろう」と警戒を強めた。
希少価値の高い種雄牛「安福久(やすふくひさ)」の血統牛として久米島町で出荷された子牛の一部が、DNA鑑定の結果、安福久の血統とは違う子牛だったことが11日、琉球新報の取材で分かった。一部の人工授精師が規定に反する種付け方法を行い、血統の異なる牛が生まれていたにもかかわらず、安福久として出荷していた。JAおきなわは事態を把握して以降も通常通り競りを続け、バイヤー(購買者)や消費者に公表していなかった。
JAおきなわ久米島支店によると、昨年9月以降、計7頭のDNA不一致が発覚している。県内畜産業の信用失墜にもつながりかねない問題で、農家の経営不安も高まっている。
同支店によると昨年10月上旬に沖縄市の農家から、11月下旬には伊江島の農家から「血統矛盾」の指摘があった。いずれも久米島町の同じ人工授精師が手掛けた繁殖牛だった。同支店と久米島和牛改良組合(翁長学組合長)は1月下旬にDNA鑑定の実施を決定した。対象は安福久を血統に持つ69頭で、2~3頭以外はこの人工授精師が種付けした牛という。
3月上旬から結果が判明し、11日までに2頭が安福久とは違う血統だった。別の人工授精師2人が手掛けた安福久の種付けでも、計3頭でDNAの不一致が判明した。農水省の担当者は「これまでに確認された事例は宮城県の1件だけ」とし、久米島での続発に驚きを示した。
久米島家畜市場での競りは隔月で行われ、バイヤーの9割以上が県外から参加する。運営するJAおきなわ久米島支店の松元靖・農産課長は「鑑定結果が出る前に公表すると、余計に不安をあおってしまう」とバイヤーへの説明を避けてきたが、12日以降に告知する方針を決めた。
18日の競りには安福久の血統牛が35頭出品される予定で、同支店は「(落札後にDNAの不一致が発覚すれば)購買者に連絡して対応する」という。これに対し、一部の農家から「問題の傷口を広げ、信頼を取り戻すには何十年もかかる。グレーの牛は出すべきではない」との声も上がっている。(真崎裕史、石井恵理菜
優秀な種雄牛である「安福久(やすふくひさ)」の精液から人工交配で生まれたとして高値で取引されている子牛のDNA鑑定をすると、安福久とは血統が違っていた。そうしたDNAの不一致が久米島町から出荷された子牛で相次いでいることが、本紙の取材で判明した。
和牛の霜降りの肉質や肉量は血統で決まり、特に種雄牛の影響力が大きいとされている。血統の証明に疑義が生じている今回の事態は、久米島だけにとどまらず、国内各地に子牛を供給している沖縄の畜産業全体の信用を失墜させかねない重大な問題だ。
久米島家畜市場に出品された安福久の血を引く子牛について、昨年6月と10月、11月、12月に「血統矛盾」の指摘が購入農家から寄せられた。県中央家畜保健衛生所が種付けした家畜人工授精師に立ち入り検査し、別の牛のDNA鑑定を県家畜改良協会に依頼したところ、安福久と血統が違っている牛がほかにもいることが分かった。
さらに、別の人工授精師2人が種付けした牛でもDNAの不一致が見つかっている。
人工受精師は本紙の取材に、不正ではなく、再種付けした際に生じた作業ミスだと答えている。それでも、21日間の発情期間は異なる精液で種付けすることは禁じられている。本来なら起きるはずのないミスだ。適正な管理のため直ちに記載する必要がある授精証明の台帳記入も、数カ月遅れていたという。
人工交配で生まれた牛のDNAが父牛と一致しなかった問題は、昨年9月に宮城県でも発覚した。石巻市の獣医師が種付けした和牛258頭を宮城県が検査したところ、30頭でDNAの不一致を確認した。宮城県は昨年12月に獣医師を家畜改良増殖法違反の疑いで刑事告発している。
昨年は、受精卵や精液が不正に中国に持ち出される事件があり、農林水産省は和牛の「遺伝資源」保護のため規制強化の法改正を進めている。
沖縄の子牛の競りに全国各地から購買者が集まり、競り落とされた子牛が有名産地のブランド和牛として肥育されている。島々に家畜市場があり、子牛生産は離島県を支える重要な産業となっている。今回のずさんな授精管理で供給産地としての信用を失えば、畜産の沖縄ブランドに与える打撃は計り知れない。
特に畜産業界は2001年の牛海綿状脳症(BSE)の国内発生で甚大な被害を受け、生産履歴を公表するトレーサビリティー制度など、消費者への安全・安心の提供に努めてきた。透明性の確保は極めて重要だ。
県はDNAの不一致がどこまで広がるのか実態解明を急ぎ、補償の在り方を含め議論を進める必要がある。その上で県全体の人工受精師の業務体制を検査し、ミスや不正が起きないための再発防止策を速やかに確立すべきだ。
消費者や市場に対する誠実な対応が求められる。