ふっ と想うこと

山・雪・風・人、徒然なるままに--

9月に観た映画

2024-09-30 05:17:30 | 映画

台風が来る前に映画を。
江口のりこさんの、平凡な主婦から狂気になるまで、その豹変には、江口のりこさんしかできないな、と。静かな、でも圧倒的な映画

ゴジラ、ガメラ、大魔神などの特撮映画での特殊映像造形者の村瀬継蔵さんの87歳にして初めて監督をした特撮映画。昭和の特撮では当たり前の着ぐるみの映画。ヤマタノオロチと須佐之男、草薙の剣の日本古来の伝説をモチーフ。昭和感満載のおとぎ話、そして懐かしさを感じられる映画。三種の神器の草薙の剣、名古屋熱田神宮に。


実力派の若手俳優、黒島結菜さんと柳楽優弥さんの二人芝居と言っても良い映画。二人のやり取り、そして最後にたどり着くその結果にあっという間に引き込まれていきます。特に黒島結菜さん、”羊たちの沈黙“のジョディフォスター、“踊る大捜査線”の小泉今日子さんのような狂気に満ちた演技、それに圧倒されながらオドオドしている柳楽優弥さんの息を呑むやり取りに引き込まれます。
日本映画らしい素敵な映画


半世紀前の中学生のとき知里幸恵さんの”アイヌ神謡集“に触れてからアイヌについて関心を。
この映画は幕末の“シャクシャインの戦い”の頃の北海道の東、白糠地方のアイヌの人達が圧政を繰り返す松前藩に追い詰められていくその姿を。大半をアイヌ語で。そしてカムイ(神)の下、アイヌ(人間の意味)の人達がこの世に住まわせてもらっている、自然と一体となった価値観。今の人間が失ったもの。機械化されて今の”快適な生活“が本当の意味で自然の中の生物として幸せなのか、考えさせられる映画。ラストの中島みゆきさんの歌も。
“シサム”とはアイヌ語の”和人を含む隣に住む人“の意味


能登震災復興支援の約40年前の映画のリマスター版。この映画、是枝裕和監督の最初の長編映画、この映画がカンヌで高く評価され、後の活躍に。そして江角マキコさんの初出演映画。彼女の初々しさも素敵な魅力。能登の小さな漁港の、小さな人々の生活、冬の鈍色(にびいろ)と四季の美しさと人の死の不条理さのコントラスト。この美しい自然の美しさの中の人々の営みが、今年の正月に全て失われてしまったこと。
この小さな、僅かな人々の営みすら許さない自然の怖さを感じます

はかない恋心をアイススケートを通して抱く素敵な映画。北海道の雪の季節だけの僅かな期間。そして、子供心の清潔感、純粋性、それが同性愛への嫌悪感、それにより全てがはかなくも崩れていく脆い、でも純粋な関係。何よりも、スケートシーンを美しく表現。
遥か彼方昔に失った純粋な心。そんなものを思い出させてくれた素敵な映画

吉沢亮さん、原作者でお二人共ろう俳優ご夫婦、忍足亜希子さん、三浦剛さん原作、出演されている映画。“普通の家庭”とは何なのか?”普通の人間関係“とは何なのか?
この“普通”という、我々は普段何の気なしに過ごしていることに当たり前に思っていること、それが本当にそうなのか?と考えさせられる素敵な映画。
”CODA“(childen of deaf adults)の映画は他にもありますが、少し押し付けがましく思える所もありますが、この映画は、思春期での親子関係に“ろう”という関係が加わっているのですが、とても心に響く素敵な映画。

グレートジャー二ーの関野吉晴さんが監督をしたドキュメンタリー。野糞のシーン、人糞に群がる虫、動物の死体に群がる虫達の生存競争。子供の時は汲み取り式便所だったので排泄物には見慣れて育ってきました。今の世の中、若い人達は洋式トイレしかダメ、つまり自分たちが出したものを見たことの無い人達ばかり。清潔という言葉ですべてが隠されてしまっている現代。しかし、排泄物、死体というのは“汚い物”ではなく生物的には次の世界へ繋がるもの。
そんな、ちょっと変わった映画
ファーブルの墓には
”死は終わりではない より高貴な生への入り口”
という”死“を次への世代への新たなものと捉えています。自然と、一体となった現代人への生き方を問う、そんな素敵な言葉







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