高橋克典の“法律 だいすきになーれ+ひとり言α”・・・・・ まずは“宅建資格”から

法律系資格を取得しようとする場合、まず民法の勉強はかかせませんね。さらに、好きになって得点源にぜひしたいものです。

38条「定期建物賃貸借」をかじってみよう・・・。

2018-07-01 01:59:49 | 法律のカンタン思考術+条文読み取りから
今日は、条文を味わいたいなあと思ってきた人に朗報です。

実は、条文の方がなんだかんだでシンプルでしょう。テキストを読むより、スーッと入ってきませんか、私だけかな。すーっと入ってくれば、問題文ももっとすーっと入ってきます。できるだけ、これからも条文を読んでくださいね。

例えば、宅建試験では、特によくでる「定期建物賃貸借」があります。毎年出ていると言ってもいいでしょうね。この条文は、38条です。

要は、当初予定していた期日が来たら、必ず終了して明け渡してもらえる借家権があるということです。定期借地権の借家版といってもいいでしょう。

このメリットは、例えば、新しい家を買ったとたん、会社から海外に転勤が決まり、その間のみ人に貸したい、でも返ってきたらすぐに住みたい、という要求に応じるものです。

そこで、38条の定期建物賃貸借を味わっていきましょう。

ここは、たっぷり情報量があるので、何項かづつ、分けて味わっていきます。まず、1項から3項までです。

・・・・・
(定期建物賃貸借)
第38条  期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第30条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第29条第1項の規定を適用しない。

2  前項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。

3  建物の賃貸人が前項の規定による説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは、無効とする。
・・・・・・

まず、1項から分析してみましょう。

必ず期間を定めないとダメです。そして、普通の借家権と異なり、1年未満でもそのまま有効ですね。それが、わかりましたか。期間の定めのないものとなりません。それは、「29条1項の適用をしない」とあるからですね。

それから、書面、つまり契約書面のことですが、ここも普通の借家権と異なり、単に口頭でするのではダメですね。そして、更新しないという借り手にとって不利な内容もここでは定めることができるとなっています。30条の適用はないからです。そして、この記載があることで、普通借家権との違いが判断できるのです。

あと、建物の用途は、特に限定はありません。事業用でもこれを使えます。

このように定期に終了し普通の借家権と異なりますが、それでも可能な限り、普通の借家権の規定も適用可能ですよね。例えば、引渡も対抗要件となるなどです。

では、2項を見てみましょう。

この契約をするためには、必ず契約の成立前に、賃貸人は、相手にこの重要事項つまり「更新がない」という記載がある、そして契約書面とは違う書面を渡してから、その内容を説明しなければならないとなっています。

その説明をしないと、普通の借家権となるぞ、脅しています。これが3項ですね。それはそうですね。借り手保護から造られ法ですから。

長いので、今回はこれぐらいにして、まずここまでしっかり覚えましょう。

そして、理解しきちんと覚えたらなら、直前模試を解いてみてください。

では、また。


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借地借家法-22条・23条・24条その2・・・。

2017-07-16 01:19:12 | 法律のカンタン思考術+条文読み取りから
定期借地権の続きですが、23条と24条を取り上げます。

まず、23条を読んでみましょう。

・・・・・・・・・・・
(事業用定期借地権等)

第二十三条  専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く。次項において同じ。)の所有を目的とし、かつ、存続期間を三十年以上五十年未満として借地権を設定する場合においては、第九条及び第十六条の規定にかかわらず、契約の更新及び建物の築造による存続期間の延長がなく、並びに第十三条の規定による買取りの請求をしないこととする旨を定めることができる。

2  専ら事業の用に供する建物の所有を目的とし、かつ、存続期間を十年以上三十年未満として借地権を設定する場合には、第三条から第八条まで、第十三条及び第十八条の規定は、適用しない。

3  前二項に規定する借地権の設定を目的とする契約は、公正証書によってしなければならない。

・・・・・・・・・・・・

どうですか。これは22条の場合と違い、建てた建物を商売の用で使わないといけないものですね。

確かに、郊外の店舗では、15年も20年もやってないこともあります。

そういう事業をしようとする者の便宜のためにもいいですね。

ここでは、1項のパターンと、2項のパターンがありますから、その違いをみます。

違いは、期間を定めた場合の長さの違いです。

1項を長期型としましょう。2項を短期型としましょう。

なぜ、分けたのかです。テキストを見ると、分けて書いてないものもありますので、やはり条文をみて学習した方がいいし、そうならきちんと分けた方がいいですね。

その違いは、やはり普通借地権との違いをどう見極めるかです。

長期型は、普通借地権でも一見ありそうです。お金があれば公正証書で設定してもいいでしょう。

そこで、22条の場合と同じで、3つの借り手の保護となっている規定を全部きちんと排除しているかどうか、なのですね。

一方、短期型では、そもそも普通借地権にはないのです。

ですから、事業の目的を記載し、公正証書でやり、期間を10年から30年の間で設定すれば、それでいいわけです。3つの内容をうたわなくてもいいのです。それが有効なら、書いてなくても当然その3つを排除してくれます。

このような短期も認められますから、事業といってもアパート経営では、家に住んでいる人が短期に出て行かなくてはいかないことになりますから、認められないのですね。

「居住用は除く」となっています。

では、最後は24条を見て借地を無事終わりましょう。

・・・・・・・・・・
(建物譲渡特約付借地権)

第二十四条  借地権を設定する場合(前条第二項に規定する借地権を設定する場合を除く。)においては、第九条の規定にかかわらず、借地権を消滅させるため、その設定後三十年以上を経過した日に借地権の目的である土地の上の建物を借地権設定者に相当の対価で譲渡する旨を定めることができる。

2  前項の特約により借地権が消滅した場合において、その借地権者又は建物の賃借人でその消滅後建物の使用を継続しているものが請求をしたときは、請求の時にその建物につきその借地権者又は建物の賃借人と借地権設定者との間で期間の定めのない賃貸借(借地権者が請求をした場合において、借地権の残存期間があるときは、その残存期間を存続期間とする賃貸借)がされたものとみなす。この場合において、建物の借賃は、当事者の請求により、裁判所が定める。

3  第一項の特約がある場合において、借地権者又は建物の賃借人と借地権設定者との間でその建物につき第三十八条第一項の規定による賃貸借契約をしたときは、前項の規定にかかわらず、その定めに従う。

・・・・・・・・・・・

これは、30年以上で終了しようとするときに、建物を買ってもらうことで終了しようとするものです。

ですから、22条とか23条と違い、建物は存続し、しかも買取は認めていますので、口頭で契約してもいいのです。

もちろん、22条にこれを付けてもいいわけです。しかし、23条の2項は30年以上でないので、付けられないわけです。

24条の2項、3項は、建物を譲渡した後に、建物に住んでいる人がいれば、それを保護しましょう、とするものです。

詳しくは借家を勉強した後でも、みてください。もちろん、長いですが、それほど難しくはないでしょう。

では、これで次からは借家の条文になります。借家は、それほどボリュームはなく、またイメージしやすいと思います。

それに、みなさんの実力もだんだんついてきましたからね。

では、また。

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借地借家法-22条・23条・24条・・・。

2017-07-14 19:09:50 | 法律のカンタン思考術+条文読み取りから
いよいよ、借地権の条文は、この定期借地権等で終了です。

これで確実に1点試験で得点できるなら、頑張りましょう。

この借地権とこれまで勉強してきた普通の借地権(以下「普通借地権」といいます)とどこが違うのか、興味が湧きます。

普通借地権では、借り手を保護するため、いろいろな保護手段が与えられていました。

つまり、建物が利用できるなら、土地を貸してあげようという視点ですね。

しかし、これでは不都合もおこります。まず、地主側は、こうなると市場に土地を出さないこともおきます。

また、市場に出すなら、覚悟して、もう戻ってこないので、売ったと同じことだ、売買代金はとれないけど、それと同じ金額だけ
つまり権利金をとればいいか、となりかねません。

権利金が高いと、地価高騰の原因にもなりますし、また土地を10年間くらい借りたいとする者にとっては、余分な出費となり、借り手も困ります。

そこで、定期で終了する借地権もあってもいいのではないかということで、「定期借地権」「事業用定期借地権」「建物譲渡特約付借地権」を規定したのです。

では、最初の定期借地権から見てみましょう。

・・・・・・・・
(定期借地権)

第二十二条  存続期間を五十年以上として借地権を設定する場合においては、第九条及び第十六条の規定にかかわらず、契約の更新(更新の請求及び土地の使用の継続によるものを含む。次条第一項において同じ。)及び建物の築造による存続期間の延長がなく、並びに第十三条の規定による買取りの請求をしないこととする旨を定めることができる。この場合においては、その特約は、公正証書による等書面によってしなければならない。

・・・・・・・・

だいぶ条文読むの慣れましたか。慣れが重要です。

存続期間を普通借地権と異なり、50年以上にしなければいけませんが、例えば50年と定めれば、ここでは更新されず終わることを認めています。

ここでの問題は、ある借地権の設定契約をしたとき、またはある借地権を見たとき、これは普通のものなのか、定期のものなのか、どこで正確に見分けるかなのです。

なぜなら、普通のものでも50年のものがありえるし、書面で設定契約をしているかもしれませんからね。パット見分からないことが多いので、きちんと違いがわかるようにしないといけないのです。

それが、契約書に、以下の3つの内容を定めているかどうかなのです。

①契約の更新(更新の請求及び土地の使用の継続によるものを含む。次条第一項において同じ。)をしない
②建物の築造による存続期間の延長がない
③第十三条の規定による買取りの請求をしない、

こととする旨をきちんと定めているかどうかなのです。

ここで、普通借地権では、上記3つのことが保護されていたのかあ、ともう一度再確認できましたか。

そして、そのうち一つでも欠けていたら、他の内容は借り手に不利なものとなり、普通借地権になってしまいます。

それは大変なことですから、注意してやる必要がありますね。

今回は、重要なことが分かった点で、この辺で終了しましょう。

では、また。

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借地借家法25条・・・。

2017-06-29 01:05:23 | 法律のカンタン思考術+条文読み取りから
定期借地権を学習する前に、25条を先に見ておきましょう。

ここは借家と比較するといいでしょう。

その25条とは、・・。

・・・・・・・・・・・
(一時使用目的の借地権)

第二十五条  第三条から第八条まで、第十三条、第十七条、第十八条及び第二十二条から前条までの規定は、臨時設備の設置その他一時使用のために借地権を設定したことが明らかな場合には、適用しない。

・・・・・・・・・・・

明らかな一時使用とは、常識的に見て、更新されないことが明らかな場合です。

例えば、1年間の万博のためにパビリオンを建てたいので、土地を貸してほしい、とか、あと、借家であれば、選挙事務所として選挙期間中だけ貸してほしいという場合です。

実は、借家の場合には、この特別法の適用はありません。

・・・・・・・・・・・
(一時使用目的の建物の賃貸借)

第四十条  この章の規定(借家関係のすべての規定)は、一時使用のために建物の賃貸借をしたことが明らかな場合には、適用しない。

・・・・・・・・・・・

しかし、借地では、適用される規定と適用されない規定があります。だから、試験にでるとちょっといやです。

でも、先ほどの例などを思い浮かべて、この場合には適用される規定なのかな、適用されない規定なのかな、と個別にというか大胆に判断すればいいか、ぐらいにしておけば、逆に今年は出題されないでしょう。

出たらどうしようとか、でたら解けないかもしれない、などと思っていると、意外とでたりするのが試験なのです。ある程度、一通りやることが重要です。アナを作らない。

例えば、3条から8条などは、万博期間中ですから、もし適用されるとなると、一律30年になってしまうのもなんか変ですね。万博が終わらん、となってしまいます。

あと、気づくのは、この場合でも10条は適用されるのか、と出てきた人は、このブログを見て頂いた結果です。うれしいです。

10条ぐらいは、ぜひ覚えて試験にのぞんでください。1項と2項ですね。

いよいよ、本当に借地関係では、あと定期借地権のみになりました。

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借地借家法11条その2・・・。

2017-06-25 01:56:21 | 法律のカンタン思考術+条文読み取りから
11条の続きです。

まず、条文をもう一度見てみましょう。

・・・・・・
(地代等増減請求権)

第十一条  地代又は土地の借賃(以下この条及び次条において「地代等」という。)が、土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって地代等の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間地代等を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。

2  地代等の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年一割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。

3  地代等の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた地代等の額を超えるときは、その超過額に年一割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。

・・・・・・

では、今回は、この1項の請求権が発動されたら、どうなるかです。

一方的に、請求できますが、相手方がそれではどうしても納得できない、またはもう少し安いのではないか、など文句を言えるかということです。

2項では、増額したときのバージョンです。3項は、減額したときのバージョンですね。

具体的に考えると、Aが地主、Bが借地権者、これまで月に10万円の地代を30年近く支払ってきたとしましょう。しかし、ここらあたりは都市化が進み、もし今正規の地代を決めるときには、20万円でもおかしくない状況とします。

AがBに変更を申し込んでも、応じてくれません。ですから、Aは条文をもう一度読んでみたら(勉強熱心)、この権利を行使できることを知り、20万円にしてくれと行使したわけです。

Bにとっては、次回の支払いから、一気に2倍になるので、やはり戦いたいとすれば、それはできるとしているのが、2項ですね。最終的には、裁判で白黒できることになっています。

問題は、その間はどうなるかも決めておかないとマズイということでこの2項を見てみましょう。

決着するまで、とりあえず請求を受けたつまり借地権者が相当と思われる地代を支払っていけばいいとなっています。相当ですから、これまで通りのお金ではないと思います。

しかも、少ないとあとで差額とそれに年1割の利息も付けないといけないことを考慮すると、争う以上20万円は合理的にみておかしいと思っているはずですから、そうでない地代をある程度さがしてきて、それを払うべきでしょう。

そうすると、10万円から20万円の間での金額であり、いろいろなアドバイスから、情報から、17万円程度なら合理的と思ったらそれが相当と認める地代でしょう。

つまり、この額を支払っていけば、債務不履行とはならず、それを理由に解除などはできないことになりますね。

それで、裁判が確定しました。そこで、裁判では、16万円と18万円とで考えておきましょうね。

まず、条文では高い場合が書いてありますね。そうすると、この確定は、実は請求した時に遡ることがわかります。裁判が確定したときから18万円ではなく、請求したときだと・・。

だから、請求した時から、差額の1万円が足りなかったから、それを返すこと、さらには不足時から年1割の利息も計算して返しなさいよ、といっています。

では、少なかった場合はというと、書いてありませんが、遡って16万円となることは同じだと思いますね。

そうすると、今度は毎月1万もらいすぎですから、それは返すべきでね。それは、民法の不当利得が根拠として考えてばいいでしょう。

・・・・・・
(不当利得の返還義務)

第七百三条  法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。

・・・・・・

さらに、金銭の返還の場合には、さらに債務不履行とかその損害も民法の規定があり、それもみてみましょう。

債務不履行とするのはやりすぎですけど・・・。

・・・・・・
(金銭債務の特則)

第四百十九条  金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。

2  前項の損害賠償については、債権者は、損害の証明をすることを要しない。

3  第一項の損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない。

(法定利率)

第四百四条  利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、年五分とする。

・・・・・・

そうすると、今度は、この404条の一般的規定が適用されてもよさそうでうから、年5分の返還が必要になりますね。

ここまで、詰めなくてもいいのですが、いろいろ自分で考えていくと、このような壁にぶつかるので、書いてみました。

今は、増額請求ですが、減額の場合には、逆で、借地権者がこれまで月20万円だったのが、過疎化でまわりの土地の値段が不釣り合いになったとして、10万円の減額をした時を念頭に考えておけばいいのですね。

そして、それは安すぎるとして、相当とする地代を17万円として、考えておきましょう。裁判で16万円と18万円とに分けて、考えてみてください。

ここまで受験中に考えている人はほとんどないですね。条文を見て、よく理解せず、過去問を解いて、何となくできるので、まあいいか、と試験にのぞむ人が多いです。時間がないからですね。

でも、しっかり理解しておくと、確かに少しの時間はかかりますが、しっかりした力になりますので、どちらがいいかといえば後者の方がいいですね。

ということで、今回はこれで講義終了です。また次回をお楽しみに。

つづく。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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では、また。

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