大河連載、今回で5回目です。がんばっています。
これまで2つ
重要な公式を提示しました。いずれも、よく問題となるルールなんだ。
そして、どちらも“対第三者間”で生じるトラブルですね。
では、この2つのルールで、世の中に起きる対第三者間での紛争は、全部網羅しているのか、ということが、みなさんふつふつわいてきましたね。もっと違う状況はあるのでは・・・という。
そうなんです。もう一つ予想だにもしていなかった紛争が実は起きてしまいました。
3つ目の紛争地帯の登場です。争いは絶えないなあ(ひとりごと)。
その紛争を解決する前に、ちょっと前提として考えてもらいたい点があります。それを今回書きましょう。
それは、
ある概念があるとして、それをもう少し分析できるようになるといいことがあります。
それ、具体例がないとわかりにくいですね。
法律の勉強は、最終的には、いろいろな利益を天秤にかけて、紛争を解決するんですが、そのときに大いに役立ちますから。やってみましょう。
たとえば、未成年者とはなんですか、といえば、20歳未満の子供ですね。
しかし、20歳未満を全部一緒に括って保護しようとするのも重要なんですが、条文をよくみると能力的には3つぐらいにさらに分割して、いろいろな状況に応じたルールをちゃんと用意しているんだ。
たとえば、0歳から10程度までをだいたいひとつのグループに、10歳から15歳程度をひとつ、さらに15歳から20歳未満がひとつだ。
そうすると、10歳程度以下の子供を救済するには、保護者に子供に代わって契約などをできるように代理権を与えておこう、そして20歳に近い子供には、自律してもらうために、保護者に同意権を与えて自分でやらせることも必要だ、というように、きめ細かい。
このことは、前回出てきた177条の中での「第三者」でもいえることなんだ。
契約の当事者以外のすべての者が、ここでいう第三者全員といっていいのだろうか。
おそらく、違うよ、とこのブログを読んでもらっている皆さんは、そういってくれますね。きっと。
講義などでは、わたしがどう、と投げかけますね、そうすると違うというアイコンタクトをくれれば、もう感動の一瞬です。
さて、177条の予定する紛争は、二重譲渡した場合でしたね。
この二重譲渡という状況は、どういうものかというと、各都道府県を勝ち抜いて甲子園出場を果たした者同士の紛争なんです。野球より、陸上にしましょうか。より簡単に。本当はサッカーの方がいいのですが・・。
AとBで、各県の代表として出場していますので、よーいどん、でスタートしたわけです(もちろん、Aの方が先に買っているのですから、ここではハンディがあって、先に走っていますが)。
そういう状況で、どちらが勝つかと問われたら、先にゴールした方が勝つというルールなんだ。
この177条は。勝ち負けは、明白ですね。ゴールすなわち登記をしたということで、決着ですから、簡単明瞭。
そういうAとBとの関係です。地区を勝ち抜いてきた者同士、法律的にいえばまだ相手がゴールしていないと主張できる“正当な利益”をもっているということです。競技の途中ですからね。
では質問、Aが地区予選を勝ち抜いていないのに、ウソをいって参加した場合、やはりBはAと走って決着をつけなくてはいけないか。
もうこれはあきらかにわかりますね。走らなくても、Aは負けでしょう。
法律的に見れば、無権利者とか不法占拠者とかですね。つまり、Bは登記がなくたって、勝てるわけです。走って決着をつけるまでもない。
では、こういう事例はどうですか。Aは、地区予選を勝ち抜いてきた。でも、レース途中で、負けそうだから、Bが走っている隣のレーンに画びょうをまいた。
Bがそれを踏んづけて、痛い痛いとスピードを緩めた隙に、Aが勝ってしまった。
これも結論いいですね。
もちろん、Aはゴールしていても失格でしょう。177条ならAが登記していても、Bが登記がなくても、Aの方が負けですね。保護される正当な利益がないからだ。
これ、勉強していくと“背信的悪意者”という感じで出てきますよ。
これ外から応援していると普通に走って、ゴールして勝っているようにみえるが、本質的にはいけないことをしているわけですね。
そんな感じが分かってもらえればOKです。
ここでは、レースに例えましたが、結局負ける方も実力がなかったのですから、やむを得ないわけですね。
きちんと走っていれば、ハンディもあったのに、手を抜いたからです。Aも納得してます。
今回、177条のイメージを少し書きました。
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177条 全国陸上大会
・AとBは、同じ所有者から買った → 地区予選を勝ち抜いてきたAとB
・先に登記した方が勝つ → 先にゴールした方が勝つ
・負ける方も納得 → 負ける方も実力がなかった
・ずるいことはダメ → ルールに則って競技すること
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ですから、第三者といってもすべてのではなく、ある条文が予定している第三者がどういうものをさすのか少し分析してみてくださいね。
おっとと、ここでちょっと書きすぎました。いよいよ第三の紛争の説明ですが、また次回です。えー。でも、こうご期待。
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