高橋克典の“法律 だいすきになーれ+ひとり言α”・・・・・ まずは“宅建資格”から

法律系資格を取得しようとする場合、まず民法の勉強はかかせませんね。さらに、好きになって得点源にぜひしたいものです。

意外に解ける・R2司法試験の民法問3・錯誤・・・。

2021-05-30 10:29:18 | 司法試験・司法書士・行政書士問題
R2年司法試験の民法を丁寧に分析“よーくわかる”問3・錯誤・・・。

もしかしたら、宅建の方が難問だったかもしれません。

これはしっかり解いておくべきでしょう。

宅建試験も行政書士も今年も出題可能性が大です。解けるぞー。

・・・・・・
問3 錯誤に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.錯誤を理由とする意思表示の取消しの可否について,錯誤の重要性は,表意者を基準として判断される。

イ.AのBに対する意思表示がAの錯誤を理由として取り消すことができるものである場合,Bも,Aの錯誤を理由としてAの意思表示を取り消すことができる。

ウ.負担のない贈与について贈与者であるAの錯誤を理由とする取消しがされたが,受贈者であるBが既に当該贈与契約に基づいて給付を受けていた場合,Bは,給付を受けた時に当該贈与契約が取り消すことができるものであることを知らなかったときは,現に利益を受けている限度において返還の義務を負う。

エ.AのBに対する意思表示が錯誤を理由として取り消された場合,Aは,その取消し前に利害関係を有するに至った善意無過失のCに,その取消しを対抗することができない。

オ.AのBに対する意思表示が錯誤に基づくものであって,その錯誤がAの重大な過失によるものであった場合,Aは,BがAに錯誤があることを知り,又は重大な過失によって知らなかったときを除いて,錯誤を理由としてその意思表示を取り消すことができない。
1.ア イ 2.ア オ 3.イ ウ 4.ウ エ 5.エ オ
・・・・・・

肢アですが、最初は△でしょうが、最終的に×ですね。
改正前は、表意者を中心に重要性を判断していました。
しかし、錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものでなければならない、といっていますから、相手方の保護とか取引の安全をも考慮する必要性があって、このような形になったといえるでしょう。

錯誤の重要性は、表意者を基準にしているわけではありませんね。

肢イですが、これはミスをしてはダメです。×ですね。これで肢1と3は消去できます。
無効ではなく取消しにしている理由の一つは、取消権を行使できる者を限定できる点です。

取消権者は、「表意者本人、代理人若しくは承継人」であり、これら以外の者は取消権行使を認めていません。Bが×ですね。

肢ウですが、今後出題される内容です。最初は、△でもこれも試験前には最終的には○にしていきましょう。
改正により規定されたものですが、「無償契約が取り消された場合に、取消原因につき、給付を受けた当時において善意であれば、現存利益の範囲の返還で足りる」とするものです。

有償契約ではないですよ。有償なら双方の給付の均衡性から、契約がない場合と同し状況、原状に回復せよといっています。
無償契約においては、それと状況が異なるからですね。
ぜひ、ここでこの知識を覚えておいてください。

肢エですが、これも○を付けられないといけません。
エが含まれる肢4か5が正解です。

錯誤の取消権を行使すると、第三者は、錯誤により取り消されることにつき、善意かつ無過失であれば保護されます。改正された点ですね。以前では、常に錯誤者が勝っていました。

肢オですが、一見○としそうですから注意してください。×ですね。
肢5が消えますから、肢4がのこって、正解です。

まず、「錯誤による意思表示につき、それに表意者の重過失がある場合には、取消権の行使」ができません。
しかし、これには例外が2つ認められています。

一つは、相手方が当該意思表示の錯誤が重過失によるものであることにつき、悪意または重過失がある場合です。

そして二つ目に、双方が錯誤に陥っていた場合です。
双方が錯誤に陥っている場合に、表意者の錯誤が重過失によるものであることで取消ができないとすると、相手方も錯誤に陥っていて、表意者の重過失を文句をいえないのに、その取消が制限されることで相手方が保護されないことになってしまってはおかしいからです。

難問もあり、うまく覚えていってください。

では、また。


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意外に解ける・R2司法試験の民法問2・法人・・・。

2021-05-27 07:35:08 | 司法試験・司法書士・行政書士問題
R2年司法試験の民法をうまく分析“よーくわかる”問2・法人・・・。

宅建では出にくいのですが、他の国家試験では、基本です。

・・・・・・
問2 法人に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.法人は,その定款に記載された目的に含まれない行為であっても,その目的遂行に必要な行為については,権利能力を有する。

イ.理事が法人の機関として不法行為を行い,法人が不法行為責任を負う場合には,その理事は,個人として不法行為責任を負うことはない。

ウ.法人の代表者が職務権限外の取引行為をし,当該行為が外形的に当該法人の職務行為に属すると認められる場合であっても,相手方がその職務行為に属さないことを知っていたときは,法人は,代表者の当該行為に基づいて相手方に生じた損害の賠償責任を負わない。

エ.外国人が享有することのできない権利であっても,認許された外国法人は,日本において成立する同種の法人と同様に,その権利を取得することができる。

オ.設立登記が成立要件となっている法人について,設立登記がされていなくても,法人としての活動の実態がある場合には,予定されている定款の目的の範囲内での権利能力が認められる。
1.ア ウ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.エ オ
・・・・・・

多少知識がなくても法的センスで判断してみましょう。
まず、肢アですが、○といえますね。
杓子定規では、まずいというものです。

確かに、「定款その他の基本約款で定められた目的」は重要で、その範囲内で、権利能力を有するとされています。
しかし、法人が目的を達成するためには、いろいろな関連する行為をしなければならないでしょう。
そうであれば、当該目的を遂行するために、直接・間接に必要な一切の行為を含むとしてもいいのではないか、という判断をします。
そこから生じた結果とか責任も、その法人に負わせた方がいいということですね。

○として、肢1か2のどちらかが正解となりますね。試験では、イを飛ばして、ウかオで勝負です。

肢イですが、これも感覚的には、×を付けられますね。
まず、理事が、法人の手足つまりその機関として職務を行って第三者に損害を与えた場合には、一般社団法人が損害賠償責任を負ってもいいでしょう。
理事は、手足だからそれ以上は責任はないといえるかですが、被害者救済の観点からいえば、その者個人が不法行為責任を負っていいでしょうね。

肢ウは、宅建レベルですし、○と付けられないといけません。そうすると、正解は肢1となります。

このとき使用する理論は、使用者責任でも出てきます。
「外形理論」というものですね。被害者保護から、「行為の外形からこれを判断し、実際のところは職務権限外の行為を理事が行ったとしても、客観的にみれば職務執行行為にあたる」として、法人の責任を問うのです。

もちろん、被疑者保護からすると、相手方が、当該理事の行為が職務権限外のものであることを認識しているか、ないしは認識しえた場合には、相手方を保護しなくてもいいのでは、ということです。主観的要件も考慮するということです。

肢エですが、×と付けられそうですか。
外国法人が日本で成立できても、外国人が享有できない権利については、法人としてもダメでしょう。

肢オですが、×と断定するのは、ちょっと勇気が要るかもしれません。
法人は自然人と並んで権利能力があります。
権利能力がない団体は、権利能力なき社団といっていましたね。
そこでは、なるべく法人に近づけて考えるのですが、不動産の登記はできないという知識程度は覚えておいてください。簡単に虚偽の登記が生まれてしまうからですね。

そして、法人の設立に当たっては、(設立の)登記が必要と解されていて、会社がその典型ですね。その登記が設立要件ですから、それを欠いているのであれば、法人格は認められません。
それで、そういう団体は権利能力なき社団としてが認められることはあっても、権利能力は有さないとしているのですね。

意外と解けたでしょう。自信が出てきましたか。

では、また。


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意外に解ける・R2司法試験の民法問1・制限行為能力者(補助)・・・。

2021-05-24 07:38:30 | 司法試験・司法書士・行政書士問題
R2年司法試験の民法をうまく分析“よーくわかる”問1・制限行為能力者(補助)・・・。

今回から司法試験の問題を見ておきましょう。
実は、司法試験の問題は、基本的知識をベースに出題されていますので、各国家試験で学習している受験生も十分参考になるものが多いのです。同じ民法の問題ですし、時間があればやっておくべきです。

主に宅建受験者用に分かりやすく解説しましょう。もちろん、他の国家試験受験者でも十分役に立ちますよ。ワクワク。

すきま時間で、見てもらうだけでも、実力がアップするかもしれませんね。

・・・・・・
問1 民法  補助に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.家庭裁判所は,精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分であり保佐開始の原因がある者についても,補助開始の審判をすることができる。

イ.本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには,家庭裁判所が相当と認める場合を除き,本人の同意がなければならない。

ウ.補助開始の原因が消滅したときは,家庭裁判所は,職権で補助開始の審判を取り消すことができる。

エ.補助人の同意を得なければならない行為について,補助人が被補助人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは,家庭裁判所は,被補助人の請求により,補助人の同意に代わる許可を与えることができる。

オ.家庭裁判所が特定の法律行為について補助人に代理権を付与する旨の審判をした場合であっても,被補助人は,その法律行為を自らすることができる。
1.ア イ 2.ア オ 3.イ ウ 4.ウ エ 5.エ オ
・・・・・・

肢アですが、×です。
これは、なんとなくわかりますね。より保護の程度の高いものを優先させろ、となっているであろう、と。
補助開始の審判につき、調べてみたら、より能力が劣っていたら、あるときは「成年後見」か「保佐の審判」かであって、補助開始の審判はできないのです。

自信をもって×となれば、肢1,2を消去できます。

肢イですが、これも×を打てそうですね。
補助開始の審判を受けるとき、本人以外の者の請求の場合には、本人の同意が必要となります。これは、宅建レベルでもよく聞かれる内容です。

理由は、事理弁識能力が最も高いので、本人の自己決定を重視する観点から、本人の同意を要すると解されているのですね。

ただし、しっかりおさえていないと、「家庭裁判所の判断があればいいのかな」というひっかけを狙ったものなので、だまされてはいけません。

肢3も消去できます。

肢ウですが、△かもしれません。最終的には、×となります。
補助開始の原因が消滅した場合には、一定の者が請求して取り消せます。職権ではできないことになっています。宅建レベルではでないかな。

ちょっと難しいですが、例外もあって、まず「同意権付与の審判と代理権付与の審判のすべて取り消す場合」とか、「後見開始の審判とか保佐開始の審判がなされた場合に補助開始の審判を取り消す場合」とかは、家庭裁判所は職権によってこれらを取り消すことになっています。
あー、ここまで覚えるのは難しいかも。

気を取り直して、肢エですが、○ですね。
これは、感覚的にみても、○と出せるでしょう。センスで解くというものです。
その通りです。

肢オですが、ここはしっかり押さえておきましょう。結果、○となります。
なぜなら、被補助人制度の本質論ともいえるからです。

代理権付与の審判により、補助人に、特定の法律行為につき代理権を認めています。
しかし、これだけでは、この被補助人は制限行為能力者ではありません。

制限行為能力となるのは、「未成年者、成年被後見人、被保佐人及び補助人に同意権が付与された被補助人」をいうのです。

特定の法律行為に関して補助人に代理権が付与されても、(補助人はもちろん被補助者に代わって当該法律行為をおこなうことができますが)、それだけでは行為を制限されていませんので、制限行為能力者ではありませんから、被補助者は、その法律行為を自ら自由におこなうことができるのです。
新しい発見をした方は、ひとつ実力がアップしましたね。

正解は、肢5でした。
しばらくして、またこの問題をぜひ解いてみてください。

では、また。


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すきま時間で・R2年行政書士民法”問35・特別養子・・・。

2021-05-21 06:52:54 | 司法試験・司法書士・行政書士問題
すき間時間でR2年行政書士試験の民法をいろいろ分析“よーくわかる”問35・特別養子・・・。

最後の問題です。特別養子の改正点があったので、出題されたのでしょう。
その点は、出題されてませんが・・・。

養子となる者の年齢の817条の5(改正)
1 817条の2に規定する請求の時に15歳(以前は6歳)に達している者は、養子となることができない。特別養子縁組が成立するまでに18歳に達した者についても、同様とする。
2 前項前段の規定は、養子となる者が15歳(以前は8歳)に達する前から引き続き養親となる者に監護されている場合において、15歳に達するまでに817条の2に規定する請求がされなかったことについてやむを得ない事由があるときは、適用しない。
3 養子となる者が15歳に達している場合においては、特別養子縁組の成立には、その者の同意がなければならない。

・・・・・
問35 民法 親族
特別養子制度に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定に照らし、正しいものの組合せはどれか。
ア.特別養子は、実父母と養父母の間の合意を家庭裁判所に届け出ることによって成立する。

イ.特別養子縁組において養親となる者は、配偶者のある者であって、夫婦いずれもが20歳以上であり、かつ、そのいずれかは25歳以上でなければならない。

ウ.すべての特別養子縁組の成立には、特別養子となる者の同意が要件であり、同意のない特別養子縁組は認められない。

エ.特別養子縁組が成立した場合、実父母及びその血族との親族関係は原則として終了し、特別養子は実父母の相続人となる資格を失う。

オ.特別養子縁組の解消は原則として認められないが、養親による虐待、悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する事由がある場合、または、実父母が相当の監護をすることができる場合には、家庭裁判所が離縁の審判を下すことができる。
1.ア・ウ  2.ア・オ  3.イ・ウ  4.イ・エ  5.ウ・オ
・・・・・

肢アですが、誤りですね。
普通養子は、合意ですが、この特別養子は、家庭裁判所がイニシアティブをもって、一定の要件があるときは、養親となる者の請求により、「実方の血族との親族関係が終了」する縁組を成立させることができます。

子供のために、特別養子縁組は、家庭裁判所において審判の確定により成立し、効力を生ずるわけです。 実父母からの請求ではできないとわかりましたか。

ここから組合せですから、肢1と2が消去できます。

肢イですが、正しいですね。
養親となる者は、「配偶者のある者」でないとダメです。
さらに年齢については、原則的には25歳に達しない者は、養親となることができません。しかし、養親となる夫婦の一方が25歳に達していなくても、その者が20歳に達しているときはokです。

そうすると、夫婦いずれもが20歳以上であり、かつ、そのいずれかは25歳以上でなければならないということになります。
イが該当する、肢3か4になります。肢5は消去できます。

肢ウは、誤りです。
改正点の一部です。普通養子は15歳以上でできますから、特別養子は15歳未満となります。
しかし、養子となる者が15歳に達している場合もありますから、特別養子縁組の成立には、その者の同意がなければならないことにしています。

通常は15歳に達していない場合ですから、その者の同意は不要です。すべてではありません。

肢ウが×と自信をもって判断できれば、肢3(肢5も)消去でき、この段階で肢4が正解となります。

肢エですが、正しいです。
これが普通養子と特別養子の違いですから、絶対に覚えている点です。
養子と実方の父母及びその血族との親族関係は、特別養子縁組によって終了します。

特別養子縁組は、その成立により、従前の親子関係等を終了させる縁組であり、特別養子縁組成立後は、実父母の相続人となる資格が当然に失われます。
一方、普通養子は、実父母の相続人にもなれるのですね。二重取りできます。

肢オですが、誤りです。
特別養子縁組の解消は、簡単には認められません。

認めるのは、養子の利益のため特に必要があると認めるときで、家庭裁判所は、養子、実父母又は検察官の請求により、特別養子縁組の当事者を離縁させることができます。
それは、①養親による虐待、悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する事由があること。かつ、②実父母が相当の監護をすることができること、の両方を満たしていることです。
養親からの請求ではできないことがわかりましたか。

でもちょっと困るのは、①には該当するが、②には該当しない場合は解消できず、どうすればいいんでしょうか。かわいそうですもんね。そういう問題が実務ではあります。

本肢は、①または②となっている点で、一応誤りとわかるでしょう。

では、また。


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すきま時間で・R2年行政書士民法”問34・不法行為・・・。

2021-05-19 06:51:12 | 司法試験・司法書士・行政書士問題
すき間時間でR2年行政書士試験の民法をいろいろ分析“よーくわかる”問34・不法行為・・・。

こういう判例の問題は、ぱっとみて苦手だなあ、と思うと読めなくなってしまいます。

不法行為ですし、基本は被害者の保護から大胆に結論をだせばいいんだ、と気持ちを切り変えて解くと解けるものです。絶対に。

・・・・・・
問34 民法 債権
医療契約に基づく医師の患者に対する義務に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。
1.過失の認定における医師の注意義務の基準は、診療当時のいわゆる臨床医学の実践における医療水準であるとされるが、この臨床医学の実践における医療水準は、医療機関の特性等によって異なるべきではなく、全国一律に絶対的な基準として考えられる。

2.医療水準は、過失の認定における医師の注意義務の基準となるものであるから、平均的医師が現に行っている医療慣行とは必ずしも一致するものではなく、医師が医療慣行に従った医療行為を行ったからといって、医療水準に従った注意義務を尽くしたと直ちにいうことはできない。

3.医師は、治療法について選択の機会を患者に与える必要があるとはいえ、医療水準として未確立の療法については、その実施状況や当該患者の状況にかかわらず、説明義務を負うものではない。

4.医師は、医療水準にかなう検査および治療措置を自ら実施できない場合において、予後(今後の病状についての医学的な見通し)が一般に重篤で、予後の良否が早期治療に左右される何らかの重大で緊急性のある病気にかかっている可能性が高いことを認識できたときであっても、その病名を特定できない以上、患者を適切な医療機関に転送して適切な治療を受けさせるべき義務を負うものではない。

5.精神科医は、向精神薬を治療に用いる場合において、その使用する薬の副作用については、その薬の最新の添付文書を確認しなくても、当該医師の置かれた状況の下で情報を収集すれば足りる。
・・・・・

題材(乳がんの手術に当たり当時医療水準として未確立であった乳房温存療法についての事例)が難しいのですが、不法行為ですから、医者に過失つまり注意義務違反があれば認められるのですね。

医者としての最善の注意義務に違反するかどうか、大胆に判断していこうと作戦を立てて解いてみましょう。具体的な基準は明確なものはないのですから・・・。自己の法的センスを信じて。

肢1ですが、「妥当でない」でしょう。
前半は良さそうですが、後半は、やはり総合して判断するのが判例ですから、医療機関の特性なども考慮すべきでしょうし、全国一律に解することは相当でないでしょう。

△なんですが、(×)気持ち誤りというチェックでいいと思います。

肢2が、「妥当」で正解ですね。
やはり、個々具体的な案件においては、平均的な医師ではなく、担当した医師の最善の行為も要求されるのではないかな、と思いますね。

判例は、「医師の注意義務の基準となるべきものは、一般的には診療当時のいわゆる臨床医学の実践における医療水準である」こと、「医療水準は、医師の注意義務の基準(規範)となるものであるから、平均的医師が現に行っている医療慣行とは必ずしも一致するものではなく、医師が医療慣行に従った医療行為を行ったからといって、医療水準に従った注意義務を尽くしたと直ちにいうことはできない」としています。

肢3は、「妥当でない」でしょう。
たとえ未確立の療法についても、その実施状況や当該患者の状況によっては、説明義務を負うものではないでしょうか。

判例は、「少なくとも、当該療法(術式)が少なからぬ医療機関において実施されており、相当数の実施例があり、これを実施した医師の間で積極的な評価もされているものについては、患者が当該療法(術式)の適応である可能性があり、かつ、患者が当該療法(術式)の自己への適応の有無、実施可能性について強い関心を有していることを医師が知った場合などにおいては、たとえ医師自身が当該療法(術式)について消極的な評価をしており、自らはそれを実施する意思を有していないときであっても、なお、患者に対して、医師の知っている範囲で、当該療法(術式)の内容、適応可能性やそれを受けた場合の利害得失、当該療法(術式)を実施している医療機関の名称や所在などを説明すべき義務がある」としています。長いですが・・・参考までに。

肢4も、「妥当でない」ですね。

医師の患者転医義務についてですね。
医師は、「自ら実施できない場合」ですし、「何らかの重大で緊急性のある病気にかかっている可能性が高いことを認識」しているし、そうであれば「患者を適切な医療機関に転送して適切な治療を受けさせるべき義務」を負わせたいでしょう。

肢5も、「妥当でない」ですね。
違った案件での、医療水準論における医師の義務についてです。
医者でも、薬の最新の添付文書を確認してほしいですね。

判例ですが「医療上の知見については、その最新の添付文書を確認し、必要に応じて文献を参照するなど、当該医師の置かれた状況の下で可能な限りの最新情報を収集する義務があるというべきである」としています。

文章が長いわりに、正解は難しくないですね。得点していただけましたか。

では、また。


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