高橋克典の“法律 だいすきになーれ+ひとり言α”・・・・・ まずは“宅建資格”から

法律系資格を取得しようとする場合、まず民法の勉強はかかせませんね。さらに、好きになって得点源にぜひしたいものです。

意外に解ける”問29・不法行為・R2年司法試験の民法をうまく分析“よーくわかる”・・・。

2021-08-16 07:29:12 | 司法試験・司法書士・行政書士問題
不法行為は今年も出題されるとして、宅建受験生は、準備しておきましょう。

他の国家試験受験生も、押えておきましょう。

・・・・・
問29 不法行為に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.金銭債権を有する者が,その債務者を負傷させたことにより不法行為に基づく損害賠償債務を負った場合,当該金銭債権を自働債権,損害賠償債権を受働債権とする相殺をもって債務者に対抗することはできない。

イ.報道により他人の名誉を毀損した報道機関は,その報道が公共の利害に関する事実に係り,専ら公益を図ることに出たものであって,摘示した事実が真実であると信ずるにつき相当な理由があったとしても,その事実が真実であると証明できなかったときは,不法行為責任を負う。

ウ.子が他人の不法行為によって重傷を負った場合,その両親は,そのために子が生命を害されたときにも比肩すべき精神上の苦痛を受けたときは,自己の権利として加害者に慰謝料を請求することができる。

エ.未成年者が責任能力を有し被害者に対する不法行為責任を負う場合であっても,その監督義務者に未成年者に対する監督義務違反があり,その義務違反と当該未成年者の不法行為によって生じた結果との間に相当因果関係が認められるときには,監督義務者は被害者に対する不法行為責任を負う。

オ.使用者が被用者の加害行為につき使用者責任に基づいて第三者に損害賠償責任を負う場合,当該被用者は,加害行為につき故意又は重過失がない限り,当該第三者に対する損害賠償責任を負わない。
1.ア イ 2.ア ウ 3.イ オ 4.ウ エ 5.エ オ
・・・・・

肢アは、改正点で、○ですね。
人の生命または身体の侵害による損害賠償の債務を受働債権とする相殺は禁止されています(509②号)。被害者に現実の給付を得させる必要があるためです。

肢イは、×になります。
名誉棄損を理由とする不法行為において、公表行為が①公共の利害に関する事実に係り、かつ②公益目的でなされた場合、適示された事実が真実であることが証明されたときだけでなく、真実であることが証明されなくとも行為者においてその事実を真実と信ずるについて相当の理由があるときにも、不法行為の成立が否定されていいでしょう。

人間ですから、やむを得ない場合には、ミスは多少しょうがないともいるからです。

ここから、肢3が正解と決まりますね。

肢ウは、○です。
条文(711)は死亡したときに限定しているんですね。

ですから、それを認めないなら、「子が死亡したときにも比肩しうべき精神上の苦痛を近親者が受けた」と認められる場合なら、別角度から認めていいんではないかということです。
重傷から、711条からではなく709条・710条に基づいて、自己の権利として慰謝料を請求することができると、判例はいいました。

肢エは、○です。
監督義務者(親)の責任が発生するには、未成年者に責任能力がないことが前提なのです。
そうすると、未成年者にその能力があるときには、親は責任を負わなくなります。それでいいのかということです。

そこで、放任していたなど監督義務違反と当該未成年者の不法行為によって生じた結果との間に相当因果関係が認められるならば、監督義務者は被害者に対して独自に709条から損害賠償責任を負わせたのです。被害者保護から、この結論は文句なしです。

肢オは、×ですね。
使用者責任が発生するときにも、被用者に、709条の要件である故意過失があれば、被害者にも責任を負います。(法律による)連帯債務です。

要は、被用者に不法行為責任を負うから、使用者責任を負うのです。

被用者には過失があれば足り、重過失までは不要です。

では、また。


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意外に解ける”問28・不当利得・R2年司法試験の民法をうまく分析“よーくわかる・・・。

2021-08-13 04:27:12 | 司法試験・司法書士・行政書士問題
マイナーな問題ですが、宅建試験でも最近出ていますね。

一通り押えておきましょう。

・・・・・
問28 不当利得に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.所有者から寄託された動産を受寄者が売却し,買主に即時取得が成立した場合,買主は,寄託者に対し,不当利得返還義務を負わない。

イ.第三者からだまし取った金銭を用いて債務が弁済された場合において,第三者からだまし取った金銭を用いて債務者が弁済をしたことを知らなかったことについて債権者に過失があるときは,債権者は,当該第三者に対して不当利得返還義務を負う。

ウ.過失により弁済期が到来したものと誤信をして,弁済期が到来する前に債務の弁済としての給付を行った者は,弁済期が到来するまでは,その給付したものの返還を求めることができる。

エ.債務者が債権の受領権限がない者に対し弁済をした場合において,真の債権者がその受領者に対して不当利得返還請求をしたときは,その受領者は,弁済をした債務者に過失があったことを主張して,請求を拒絶することができる。

オ.自らを債務者であると誤信して他人の債務を弁済した者は,債権者が善意でその債権を消滅時効により消滅させてしまった場合,債権者に対し弁済金の返還請求をすることができない。
1.ア ウ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.エ オ
・・・・・

肢アは、○です。
即時取得が成立していますから、買主はなんらやましいことはありませんね。
不当利得返還請求では、法律上の原因のない利得が要件ですが、買主は192条によりきちんと所有権を得ているのですから、買主の利得は法律上の原因のあるものであり、不当利得責任は生じません。

正解は、肢1か2です。

肢イは、×ですね。
債権者が債務者から編取金を受領するにつき悪意または重大な過失がある場合に限って、債権者の金銭の取得が被編取者に対する関係において法律上の原因がなく不当利得になると判例はいっています。

これはどういう意味かわかりますか。本来金銭には、匿名性があるのですから、盗んだかどうかはもらう方としては、本来関係ないはずです。
しかし、もし物であれば、盗んだもので弁済しても、弁済したことにならないと思うでしょう。即時取得があれば別ですが・・・。
そこで、盗んだお金でも、悪意または重大な過失がある場合には、許せんということなのです。利益衡量ですね。

本肢は、債権者に重過失かどうかわからないのに不当利得返還義務を負うとしているので、×です。

肢ウは、×です。
もともと債務があるですから、返還はできないでしょう。
ただし、「債務者は、弁済期にない債務の弁済として給付をしたときは、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、債務者が錯誤によってその給付をしたときは、債権者は、これによって得た利益を返還しなければならない。」(706)としているのです。

肢2が正解となります。

肢エは、×です。
受領者の主張は、弁済者に過失があるため478条の適用はなく、債務が弁済されていないので、真の債権者は依然として債務者に対して債権を有しているため損失がないではないか、だから受領者は不当利得返還義務を負わない、という屁理屈です。

どうですか、判例は、このような受領者の主張を信義則に反して許されないものとしました。

肢オは、○です。
債務者でない者が錯誤によって債務の弁済をした場合、弁済者は、原則として債権者に対して返還請求できますが、弁済を受けた債権者が善意で証書を滅失させ若しくは損傷し、担保を放棄し、又は時効によってその債権を失ったとき」(707)は返還請求できません。

では、また。


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意外に解ける”問27・組合・R2年司法試験の民法をうまく分析“よーくわかる・・・。

2021-08-10 08:25:16 | 司法試験・司法書士・行政書士問題
マイナーな問題です。でも過去でも出ていますが、宅建試験ではなかなか出題されにくいものです。

他の国家試験受験生は、押えておきましょう。

組合は、何か複数の人で事業をスタートさせようとするときの団体みたいなものです。
いきなり法人としてスタートすることもあるでしょう。むかしは、高い資本金が必要な時代もありましたから、お金をもってないときには組合からスタートせざるを得ないということもあります。

一方、ジョイントベンチャーがありますが、法人にすると目的を達成したとき、精算するときにはいろいろ複雑な手続きが面倒だということもあり、大企業が複数集まって、大きな事業をおこそうとするときでも組合としてやることもあるんですね。

無視できない形態の団体ですね。すこし、真剣さが出てきましたか。

・・・・・
問27 組合に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.組合員は,組合財産に属する金銭債権につき,その持分に応じて単独で権利を行使することができる。

イ.組合の業務の決定は,業務執行者があるときであっても,組合員の過半数をもってする。

ウ.組合の存続期間を定めた場合であっても,各組合員は,やむを得ない事由があるときは,脱退することができる。

エ.組合の成立後に新たに加入した組合員は,その加入前に生じた組合の債務について弁済する責任を負わない。

オ.組合員は,組合員の過半数の同意がある場合には,清算前に組合財産の分割を求めることができる。
1.ア イ 2.ア オ 3.イ ウ 4.ウ エ 5.エ オ
・・・・・

肢アは、×ですね。
団体として、動いていくわけですから、個々勝手なことはダメでしょう。
組合員は、組合財産である債権について、その持分についての権利を単独で行使することができないことにしています(676条②)。

肢イは、×ですね。
団体としてスムーズに動けることが重要ではないでしょうか。決定か執行か。
組合の業務は、業務執行者がいる場合には、その業務執行者が決定します(670条③)。

肢ウは、○ですね。
各組合員は、組合の存続期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、脱退することができてよいでしょう(678条②)。

この段階で、正解は肢4です。

肢エは、○ですね。
組合の成立後に加入した組合員は、加入前に生じた組合の債務について自己の固有財産で弁済する責任を負いません(677条2②)。

肢オは、×です。なかなか、難しいです。
組合財産は、総組合員の共有に属しますが、組合の清算前に組合財産の持ち分に応じた分割請求はできません。
これを認めると組合の事業執行などに支障が生じるためです。

判例は、組合員全員の合意があれば一部の組合財産を分割することも可能であるとしています。

では、また。


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意外に解ける”問26・委任・R2年司法試験の民法をうまく分析“よーくわかる・・・。

2021-08-07 08:21:28 | 司法試験・司法書士・行政書士問題
昨年、宅建試験でも出題されましたので、今年はどうかなあ、と思いますが、絶対にでないとはいえないのですから、穴を作らないようにしておきましょう。

・・・・・
問26 委任に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.委任を解除した者は,その解除の時期にかかわらず,相手方に対する損害賠償責任を負わない。

イ.法律行為でない事務の委託については,法律行為の委任に関する民法の規定は準用されない。

ウ.受任者は,委任事務を処理するのに必要な費用につき,その費用を支払った後でなければ,これを委任者に請求することはできない。

エ.委任者が死亡しても委任が終了しないこととする当事者間の特約がある場合,委任は,委任者が死亡しても当然には終了しない。

オ.委任者が破産手続開始の決定を受けたことによって委任が終了した場合には,委任者は,破産手続開始の決定を受けたことを受任者に通知したとき,又は受任者が破産手続開始決定の事実を知っていたときでなければ,受任者に対し,委任の終了を主張することができない。
1.ア イ 2.ア オ 3.イ ウ 4.ウ エ 5.エ オ
・・・・・

肢アは、×ですね。
委任契約の各当事者は、いつでも契約の解除をすることができます。
委任の解除をした者は、①相手方に不利な時期に委任を解除したとき、または②委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く。)をも目的とする委任を解除したときには、相手方の損害を賠償しなければなりません。それでも、やむを得ない事由があったときは、この限りでないのです(651条)。

肢イも×ですね。
「法律行為でない事務の委託」は準委任と呼ばれ、委任の規定がすべて準用されます(656条)。

肢ウは、×ですね。
委任者は、委任事務を処理するについて費用を要するときは、受任者の請求によりその前払をしなければなりません(649条)。あくまで費用であって、報酬ではありません。

これで、正解は肢5です。

肢エは、○ですね。
委任者の死亡を委任終了事由としていますが、これは強行規定ではありません(653条)。

肢オは、○です。
委任者が破産手続開始決定を受けたことは委任終了事由です。
終了事由は、これを相手方に通知したとき、または相手方がこれを知っていたときでなければ、その相手方に対抗することができません(655条)。委任の終了に際して相手方に不測の損害を与えないようにするためでした。

では、また。


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2021-08-04 08:19:26 | 司法試験・司法書士・行政書士問題
どんな国家試験でも重要論点です。
特に宅建試験とか賃貸管理など、絶対に落としてはいけない問題です。

わからないことがないよう、理解し覚えておきましょう。

・・・・・
問25 賃貸借に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.賃貸不動産が譲渡され,その不動産の賃貸人たる地位がその譲受人に移転したときは,譲渡人が負っていた賃借人に対する費用の償還に係る債務は,譲受人が承継する。

イ.賃貸人は,賃借人の責めに帰すべき事由によって賃貸物の使用及び収益のために修繕が必要となったときであっても,その修繕をする義務を負う。

ウ.賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において,それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは,賃料は,その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて,減額される。

エ.賃借人が適法に賃借物を転貸し,その後,賃貸人が賃借人との間の賃貸借を合意により解除した場合,賃貸人は,その解除の当時,賃借人の債務不履行による解除権を有していたときであっても,その合意解除をもって転借人に対抗することはできない。

オ.賃貸借が終了した場合,賃借人は,通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗については,原状に復する義務を負わない。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ エ 4.イ オ 5.ウ オ
・・・・・

肢アは、○ですね。
賃貸人の地位が移転したときは、譲受人またはその承継人が費用の償還に係る債務(敷金も)を承継しますね(605条2第4項)。

肢イは、×ですね。
賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負いますが、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは修繕義務は負いません(606条)。

正解は、肢3か4です。

肢ウは、○ですね。
賃借物の一部が滅失その他の事由により、使用・収益をすることができなくなった場合、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料はその使用・収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、当然に減額されます(611条1項)。

肢エは、×ですね。
合意解除したことをもって転借人に対抗できないのが原則ですが、合意解除に至る前に既に賃借人の不履行による解除権が発生していた場合には、例外的に転借人に対抗できます(613条3項)。

肢3が正解です。

肢オは、○ですね。
一度条文をしっかり読むとすーっと入っていきますね。
「賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。」です(621条)。

では、また。


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