高橋克典の“法律 だいすきになーれ+ひとり言α”・・・・・ まずは“宅建資格”から

法律系資格を取得しようとする場合、まず民法の勉強はかかせませんね。さらに、好きになって得点源にぜひしたいものです。

すき間時間でR2年10月試験の民法を丁寧に分析“よーくわかる”問8・相続・・・。

2021-04-28 04:18:47 | R02 本試験過去問“よーくわかる”解説
問8を見てみましょう。

肢1以外は、しっかり理解しておいてほしいところです。

・・・・・・
問8 相続(令和2年7月1日に相続の開始があったもの)に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 相続回復の請求権は、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。

2 被相続人の子が相続開始以前に死亡したときは、その者の子がこれを代襲して相続人となるが、さらに代襲者も死亡していたときは、代襲者の子が相続人となることはない。

3 被相続人に相続人となる子及びその代襲相続人がおらず、被相続人の直系尊属が相続人となる場合には、被相続人の兄弟姉妹が相続人となることはない。

4 被相続人の兄弟姉妹が相続人となるべき場合であっても、相続開始以前に兄弟姉妹及びその子がいずれも死亡していたときは、その者の子(兄弟姉妹の孫)が相続人となることはない。
・・・・・・

肢1ですが、こういうこまかい肢を肢1にもってきて、不安にさせようとする作戦ですね。それにひっかかってはいけません。まあ、△でいいか、ぐらいにしておけばいいのです。

この相続回復の請求権は、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から5年間行使しないときは、時効によって消滅することになっています。

肢2から勝負です。

「以前に死亡」ですね。被相続人の子が、相続開始前以前に死亡したときは、その者の子がこれを代襲して相続人となります。そして、直系卑属では、さらに代襲者も死亡していたときは、代襲者の子が相続人となります。再代襲ですね。

財産は、とことん下に流れていくのでした。直系卑属の期待を保護するためですね。

肢3ですが、血族相続人の知識です。
順位がついていて、第1順位の被相続人の子及びその代襲相続人がすべていないときには、第2順位の「被相続人の直系尊属」になりますが、それがすべていない場合にはさらに第3順位の「被相続人の兄弟姉妹が相続人」となるのでした。

したがって、被相続人の直系尊属が相続人となる場合には、後順位である被相続人の兄弟姉妹が相続人となることはないのですね。
表現が初めてですから、こういうところで間違えさせようとしています。過去問での表現でなくても、知識としては従来通りのものですから、間違えるのはもったいない。

肢4は、初出題でしょうか。
第1順位では、とことん下におりていくといいましたが、被相続人の兄弟姉妹が相続人となるべき場合には、一代限りにしか相続財産はおりていきません。
つまり、相続開始前に兄弟姉妹及びその子がいずれも死亡していたときには、その者の子が相続人となることはないのです。

よく考えれば、自分を被相続人において、兄弟の子供のさらに子供はほとんど話したこともないのではないでしょうか。たぶん。
学習するときに、自分にいろいろ当てはめて印象付けておぼえるといいですね。

では、また。


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すき間時間でR2年10月試験の民法を丁寧に分析“よーくわかる”問7・保証・・・。

2021-04-26 05:09:38 | R02 本試験過去問“よーくわかる”解説
この年は、問2も保証で、この問題も保証でした。
問2は、改正点、ここは従来型の内容です。

正解肢は、基本的な内容ですが、その他に細かい内容の難しいものが出題されていて、それに引きづられてしまうのが、受験生の弱さですね。

・・・・・・
問7 保証に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。なお、保証契約は令和2年4月1日以降に締結されたものとする。
1 特定物売買における売主の保証人は、特に反対の意思表示がない限り、売主の債務不履行により契約が解除された場合には、原状回復義務である既払代金の返還義務についても保証する責任がある。

2 主たる債務の目的が保証契約の締結後に加重されたときは、保証人の負担も加重され、主たる債務者が時効の利益を放棄すれば、その効力は連帯保証人に及ぶ。

3 委託を受けた保証人が主たる債務の弁済期前に債務の弁済をしたが、主たる債務者が当該保証人からの求償に対して、当該弁済日以前に相殺の原因を有していたことを主張するときは、保証人は、債権者に対し、その相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。

4 委託を受けた保証人は、履行の請求を受けた場合だけでなく、履行の請求を受けずに自発的に債務の消滅行為をする場合であっても、あらかじめ主たる債務者に通知をしなければ、同人に対する求償が制限されることがある。
・・・・・・

まず肢1ですが、「特定物の売買」であり、「売主側の保証人」が出題の意図です。
特定物とは、自分のことばで印象づけると、特定の物、つまり世界中で一つしかないほどのもの、という意識で当事者は売買をしているというものです。

そして、その買主ではなく売主の方の保証人ですから、何を保証しているんだろう、ということです。買主側なら、代金の支払いですから、それを支払わないと保証人が代わりにお金を払えるわけです。
でも、売主が自分の特定物を引き渡さないと、もう誰もそれを引き渡せません。保証人はなにを保証するの?

ですから、判例は、「債務不履行により売主が買主に対し負担する損害賠償義務についてはもちろん、特に反対の意思表示のないかぎり、売主の債務不履行により契約が解除された場合に、原状回復義務である既払代金の返還義務についても」保証責任がある、としたのですね。

肢2が×で、正解です。
原則は付従性があるのですが、常にあるかといわれれば例外もあるということです。
すなわち、「主たる債務の目的が保証契約の締結後に加重されたときであっても、保証人の負担は加重されない」のですね。保証人がかわいそうですもんね。
ここで決着。

また、主たる債務者が時効の利益を放棄しても、それはその人の意思を尊重すればいいことで、人に迷惑を掛けてはいけないでしょう。
保証人は保証人でどうするか決めればいいので、その効力は連帯保証人に及ばず、保証人は主たる債務の時効を援用して、自己の保証債務の消滅を主張することができるのです。

肢3は、なかなか試験中にわかった、というほど簡単ではありません。△でいいでしょう。
まず弁済期前に債務の弁済をしていますが、これでも求償ができるか、できることをokとしました。
もちろん、実際に求償は、弁済期以後でないとできませんが・・・。

保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合ですし、主たる債務者がその当時利益を受けた限度においてですから、その求償権を有することになっています。

この場合、主たる債務者が債務の消滅行為の日以前に相殺の原因を有していたことを主張するときは、保証人は、債権者に対し、その相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができることになっています。
各当事者のバランスを取っていますね。

肢4ですが、ここも細かいようですね。試験中では、△でしょう。
まず、保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、改正による変更しました。
主たる債務者にあらかじめ通知しないで、債務の消滅行為をしたときは、主たる債務者は、債権者に対抗することができた事由をもってその保証人に対抗することができるのです。

この場合において、相殺をもってその保証人に対抗したときは、その保証人は、債権者に対し、相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができます。

以上から、委託を受けた保証人は、自発的に債務の消滅行為をするにあたり、あらかじめ主たる債務者に通知しなければ、同人に対する求償が制限されることがあります。

正解肢が、基本的なときには、他の肢を非常に難しくするパターンがありますので、それに心を奪われずに、冷静に判断できるように、この問題を通じて訓練してください。
単に知識だけをマスターすればいいのではなく、実際に試験ではどのような心の準備をしておくかを用意していくのです。

では、また。 


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すき間時間でR2年10月試験の民法を丁寧に分析“よーくわかる”問6・錯誤・・・。

2021-04-24 06:55:28 | R02 本試験過去問“よーくわかる”解説
問6を解いてみましょう。
事例問題です。
条文の知識で解くのではなく、それを事例に当てはめて結論を出させるものです。

法学部の授業ならともかく、宅建試験の学習でこのような訓練はしていません。

では、解けないかというと、それもそうではないので、数は少ないのですが、こういう過去問で訓練しておくしかないでしょう。

そういう意味でも、この問題は貴重なものです。深掘りしておきましょう。

・・・・・・
問6 AとBとの間で令和2年7月1日に締結された売買契約に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、売買契約締結後、AがBに対し、錯誤による取消しができるものはどれか。
1 Aは、自己所有の自動車を100万円で売却するつもりであったが、重大な過失によりBに対し「10万円で売却する」と言ってしまい、Bが過失なく「Aは本当に10万円で売るつもりだ」と信じて購入を申し込み、AB間に売買契約が成立した場合

2 Aは、自己所有の時価100万円の壺を10万円程度であると思い込み、Bに対し「手元にお金がないので、10万円で売却したい」と言ったところ、BはAの言葉を信じ「それなら10万円で購入する」と言って、AB間に売買契約が成立した場合

3 Aは、自己所有の時価100万円の名匠の絵画を贋作だと思い込み、Bに対し「贋作であるので、10万円で売却する」と言ったところ、Bも同様に贋作だと思い込み「贋作なら10万円で購入する」と言って、AB間に売買契約が成立した場合

4 Aは、自己所有の腕時計を100万円で外国人Bに売却する際、当日の正しい為替レート(1ドル100円)を重大な過失により1ドル125円で計算して「8,000ドルで売却する」と言ってしまい、Aの錯誤について過失なく知らなかったBが「8,000ドルなら買いたい」と言って、AB間に売買契約が成立した場合
・・・・・・

まずは、要領よく考えましょう。
「AがBに対し、錯誤による取消しができる」かどうかですから、AをBより保護したいか、ですね。

肢1はどうでしょう。そうみると、Aは負け、Bは勝ちでしょう。取消しできませんね。
Aには重大な過失があり、BはAの錯誤について善意無過失であるからです。

肢2ですが、どうでしょうか。
法律的に分析しようとしないで、要は、Aは「手元にお金がないので、10万円で売却したい」と言っていること、Bは「Aの言葉を信じていること」から、これもB保護で、取消しできませんね。

これを法律的に説明すると、なんとなく難しくなります。
つまり、表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤(動機の錯誤といいます)に基づく意思表示を取り消すためには、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていることを要するというわけです。あー、難しい。

すなわち、Aは、Bに対し「手元にお金がない」と言っているのみであって、法律行為の基礎とした事情(時価100万円の壷を10万程度と誤信したこと)については、相手方に表示されていないのです。

どうですか、こういう事例問題では、むしろその場でABのどちらを助けたいか、そのためにはどういう事情を読み取るべきかを考えた方がよくはありませんか。

肢3は取消しできて、これが正解です。
Aは「贋作であるので、10万円で売却する」と言っています。Bも同様に贋作だと思い込み「贋作なら10万円で購入する」といっています。
肢2とは違いますね。ABどちらを保護したいですか。

これも法律的にかっこを付けて説明すると、
表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤(動機の錯誤)に基づく意思表示を取り消すためには、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていることを要する、のでしたが、Aは、Bに対し「贋作であるので、10万円で売却する」と動機を表示しているとみるのです。

また、100万円の価値がある絵画を10万円の贋作とする錯誤は、法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものと評価できますね。
したがって、錯誤による取消しができるのです。

肢4ですが、これもAは重大な過失がある場合で、Bは善意無過失であるので、Bを保護したいですね。
ですから、Aは錯誤による取消しができません。

どうでしょうか。この問題をどのように攻めていくのか、じっくり考えておきましょうね。
これならできるというテクニックを見つけるのも、過去問研究なんですよ。

では、また。 


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R2年10月試験の民法を丁寧に分析“よーくわかる”問5・委任・・・。

2021-04-22 06:57:31 | R02 本試験過去問“よーくわかる”解説
問5に進みましょう。
ほっとしたのもつかの間、この問題は、出来の悪い問題でした。

肢1と3が類似問題ですね。正解肢はどちらかとなる確率が高いでしょう。

しかし、肢2に付けた人が多かったのが、喝ですし、まだまだです。

・・・・・・
問5 AとBとの間で令和2年7月1日に締結された委任契約において、委任者Aが受任者Bに対して報酬を支払うこととされていた場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 Aの責めに帰すべき事由によって履行の途中で委任が終了した場合、Bは報酬全額をAに対して請求することができるが、自己の債務を免れたことによって得た利益をAに償還しなければならない。

2 Bは、契約の本旨に従い、自己の財産に対するのと同一の注意をもって委任事務を処理しなければならない。

3 Bの責めに帰すべき事由によって履行の途中で委任が終了した場合、BはAに対して報酬を請求することができない。

4 Bが死亡した場合、Bの相続人は、急迫の事情の有無にかかわらず、受任者の地位を承継して委任事務を処理しなければならない。
・・・・・・

肢1ですが、○で正解としていいはずです。
委任が履行の中途で終了していますが、それがAである委任者が悪い場合です。
そうであるなら、受任者は報酬全額を請求することができてもよいでしょう。どうですか。

しかし、受任者はすべて最後まで動いてはいないのですから、それによって自己の債務を免れたことによって利益を得たのなら、これを委任者に償還したほうが公平でしょう。

肢2ですが、受任者は、有償無償を問わず、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務(善管注意義務)を負います。頻出事項です。
要は、きちんとやれ、ということです。

Bは、それより程度の軽い「自己の財産に対するのと同一の注意」(適当でよい?)ではなく、「善良な管理者の注意」をもって委任事務を処理しなければならないのです。

肢3ですが、肢1とよく似ています。違いは、AかBかの違いですね。
まず、受任者は、委任が履行の中途で終了したときには、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができます。
しかし、委任者の方が悪い場合には、肢1の論点になりました。

ここは受任者の方が悪い場合でも、履行の途中で終了したときには、既にした履行の割合に応じてですが、報酬を請求することができてもいいのです。確かに、一部でも履行が終わってはいますからね。
実は以前ではできなかったのですが、受任者の(悪いという)問題は、別途損害賠償となり、報酬の有無とは別になりました。

肢4ですが、×です。
委任は、代理もそうですが、委任者又は受任者の死亡によって終了します。
しかし、受任者の死亡により委任が終了した場合、急迫の事情があるときは、受任者の相続人は、委任者が委任事務を処理することができるに至るまでは、必要な処分をしなければなりません。妥当でしょう。

しかし、これは、暫定的な応急措置の問題ですから、受任者の相続人が受任者の地位を承継するということではありません。

改正点で変わった点が含まれていますから、正確に覚えていないとミスをします。
くれぐれも肢2でミスをしないように・・・。

では、また。 


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R2年10月試験の民法を丁寧に分析“よーくわかる”問4・賃貸借・・・。

2021-04-20 06:54:43 | R02 本試験過去問“よーくわかる”解説
この問4ですが、久しぶりにオーソドックスな問題でした。ここで完全に波に乗りましょう。

こういう問題で、落とさず得点を稼げたかどうかですね。
やる気が出てきたかです。

・・・・・・
問4 建物の賃貸借契約が期間満了により終了した場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、賃貸借契約は、令和2年7月1日付けで締結され、原状回復義務について特段の合意はないものとする。

1 賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷がある場合、通常の使用及び収益によって生じた損耗も含めてその損傷を原状に復する義務を負う。

2 賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷がある場合、賃借人の帰責事由の有無にかかわらず、その損傷を原状に復する義務を負う。

3 賃借人から敷金の返還請求を受けた賃貸人は、賃貸物の返還を受けるまでは、これを拒むことができる。

4 賃借人は、未払賃料債務がある場合、賃貸人に対し、敷金をその債務の弁済に充てるよう請求することができる。
・・・・・・

肢1ですが、×ですね。
賃借人は、賃借物を受け取った後に、これに生じた損傷がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負うのが原則です。
しかし、その損傷が、①通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗か、②賃借物の経年変化であれば、賃借人は悪くないのですから、その損傷を原状に復する義務を負うわけではありません。
まずは正確な知識を押さえましょう。

さらにこの肢では、「・・含めて」という文言を分析できたかどうかですね。

肢2も×ですね。
肢1の続きで、例外の③として、賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷について、その損傷が「賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるとき」には、その損傷を原状に復する義務を負わないのです。

この肢では、「賃借人の帰責事由の有無にかかわらず」という文言を分析できたかですね。
それほどやっかいではありませんが。

肢3は○で、正解でした。
敷金返還請求権は、賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたときに発生します。
返還するのが先履行です。返還後チェックしてから、敷金の額が決まるからですね。

そこで、賃借人から敷金の返還請求を受けた賃貸人は、賃貸物の返還を受けるまでは敷金の返還を拒むことができます。同時履行の抗弁権はないのですね。

肢4ですが、×ですね。
敷金は賃貸人の担保としての意味がありますから、未払い賃料に充てるか否かは、賃貸人の自由です。
賃料を払ってない賃借人の方から、賃貸人に対し、敷金を未払賃料債務の弁済に充てることを請求することはできません。

民法の中でも、なんかほっとする問題ではないでしょうか。
しかし、民法では他の科目と異なって、こういう易しい目な問題が少なくなりました。

では、また。


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