断層地帯を通る丹那トンネルを開通させるために働いた男たちの姿を描く記録文学の傑作です。
子供の頃、三面ダムに行ったとき、大きな慰霊碑にダムを建設するために命を落とした人たちの名前がビッシリと刻まれていたことに旋律をおぼえた思い出があります。
あとがきを読むと、作者は丹那トンネルの慰霊碑を偶然に目にとめ、それがきっかけで、書こうと思ったとありました。
大規模な土木工事は、大きな生活の利便性の向上に繋がりますが、先人たちの命を賭けた(捨てた?)決死の努力の積み重ねで技術が蓄積されていくのだと解りました。
また、周辺の住民に与える影響も大きく、行政機関の動きも大切なことだと解ります。
吉村昭のトンネル小説では『高熱隧道』が有名です。『高熱隧道』は初期の作品で、『闇を裂く道』は20年くらい後に書かれたようです。
二つを読み比べて見るのもファンとしては楽しかったですね。
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