三重県の検討委は、フェロシルト中の六価クロムについて製造過程での発生が最大の原因とやっと認めました。岐阜大学や四日市大学の専門家が以前から、調査、分析、指摘していたこと。遅きに失しした、というのが感想。
● やっと 産廃だったと認定・検討委員会
11月7日・中日
フェロシルト産廃と断定 基準超の六価クロム 三重県検討委
土壌埋め戻し材「フェロシルト」をめぐる問題で、三重県は6日、フェロシルトが当初から環境基準を超える六価クロムやフッ素を含む「産業廃棄物だった」と断定した。この日、名古屋市内で開催した同県の有識者検討委員会(座長・平田健正和歌山大教授)で結論を下した。製造元の石原産業(本社・大阪市)は、2003年3月に同県へ「リサイクル製品」認定を申請した際、虚偽のデータを示していた疑いが強まった。
石原産業がフェロシルトを「商品」と主張し、同県が産廃と認定して刑事告発したことに異議を唱えている点についても、検討委は「有害物質を含む役に立たない廃棄物。普通の産業活動とは言えない」とした。
原料となる硫酸廃液を中和する工程で、六価クロムが生成された可能性が高いことが判明。生成を抑えるには廃液のpHを厳密に管理する必要があったが、技術的に極めて困難なうえ、フェロシルトと同時に石こうを取り出す工程でpH値が変動しやすくなっていた。
検討委は「石こうの生産量を上げようとするあまり、六価クロムの濃度が上がった可能性もある」と指摘した。
フッ素については、原料の硫酸廃液などに含まれていたことが判明した。
石原産業は従来、搬入先で別の土壌と化学反応して六価クロムが発生する可能性があると主張していたが、検討委は「製造過程での発生が最大の原因」と結論づけた。
石原産業は三重県へのリサイクル認定申請の際、六価クロムもフッ素も「検出限界以下」とする検査データを提出していた。
<六価クロム> 酸化剤やめっきなどに用いられる重金属類の一種。皮膚に触れると炎症を起こし腫瘍(しゅよう)の原因ともなるほか発がん性の疑いも指摘される。気化して消化器官や肺、皮膚などから吸収されやすい。」(7日・中日)
● 企業責任と会社経営
最終赤字に転落 最終回収費が倍増
「石原産業の土壌埋め戻し材「フエロシルト」をめくる廃液不正混人間題で、同社は6日、フエロシルトの自主回収費周が7月末時点の100億円から倍増し、201億円に膨らむ見通しを発表した。このため05年9月中間連結決算の業績予想も下方修正し、最終(当期)損益は当初見込みの11億円の黒字から108億円の赤字に転落する。
同社は6月、岐阜、三重、愛知県での自主回収を表明した。その後、回収費用を精査し、中間決算で特別損失として一括処理すると決めた。06年3月期通期の業績予想も、最終損益は62億円の黒字から70億円の赤字に修正した。株主への配当も、05年3月期と同じ1株当たり4円を計画していたが、無配とする。
回収費用201億円のうち、大半は最終処分場での処理費に充当されるという。回収費用が倍増した理由について同社は「(10月12日に)廃液の混入を公表して以降、受け入れ先の処分場が見つからず、限られた処分場に無理を言って引き取ってもらうため、新たなコストが必要になった」と調明している。」(11月7日毎日)。
撤去費用、倍の197億円
「化学メーカー石原産業(本社・大坂市)は6日、三重、愛知、岐阜、京都4府県で使われにフエロシルトと周辺土壌計約80万トンの撤去・処理費が、当初見込みの100億円のほぼ倍にあたる197億円に達する見通しを明らかにした。これに伴い、同社は、05年9月中問連結決算の業務予想を11億円の当期黒字から108億円の当期赤字に下方修正した。
名古屋市で6日開かれた三重県フェ・ロシルト問題検討委員会に出席した安藤正義常務が表明した。安藤常務は「会社をあげて来年9月末までにすべての回収を終わらせる。当初(撤去などに)100億円かかると発表したが、さらに精査し、197億円を上半期に一括処理する」と述べた。
ただ、同社が進めているフエロシルト使用地でのボーリング調査の結果によっては、撤去量、費用とも、さらに増える可能性がある。
同社によると、環境基準を超える六価クロムが検出された場所のフエロシルトや土壌は、処分場へ持ち込む際に浄化作業が必要で、その費用が加わったという。民間最終処分場の受け入れ費用の高騰などもあり、撤去・処理費の総額が見込みより大幅に膨らんだ。
今回、増額した撤去・処理費には、同社四日市工場(三重県四日市市)で最大25方トンを一時保管するため、廃棄物処理法の保管基準を満たす排水設備を新設する費用も含まれる。
同社の中間期の連結売上高そのものは、主力製品の酸化チタンや農薬の販売が堅調なことなどから、当初見込みより8億円増の528億円で、経常利益も同26億円増の40億円の見通しだ」(11月7日朝日)
回収費は201億円
「石原産業は六日、フエロシルトの自主回収費用が二百一億円にのぼることを明らかにした。当初予定していた約百億円のほぼ二倍に当たる。同社は「社会問題化したことで、民間最終処分場の引き取り料が上昇したためと説明している。
石原産業は、増額したフエロシルト回収費用を、前倒しする形で二〇〇五年九月期連結決決算に一括計上。業務予想の純損益を、五月に公表した十一億円の黒字から百八億円の赤字に下方修正。〇六年三月期連結業績予想も、順損益を六二億円の黒字から70億円の赤字に修正した。
一株当たり4円を子定していた期末配当も見送り、通期で無配になる。」(11月7日中日)
フェロシルト撤去197億円 当初見込みの倍
「大手化学メーカー・石原産業(大阪市)による、土壌埋め戻し材フエロシルトの不正処分問題で、同社は6日、三重、愛知、岐阜県と京都府に埋められた約70万
トンのフエロシルトの撤去費用が、197億円に上るとの見通しを明らかにした。
これまで見込まれていた額の倍で、業績に大きな影響を及ぼすのは必至だ。
同社は撤去総額は概算で100億円と説明していた。しかし、今月4日、三重県に提出した撤去計画に基づき、四日市工場(同県四日市市)での一時保管施設整備費や受け入れ先の処分場までの運搬費などを積算し直したところ、倍増することがわかったという。
フエロシルトを最初から産廃として処理した場合には、約70億円の処理費がかかったとみられるが、同社は実質的な「引き取り料」を支払って商売」して販売することで、約50億円を浮かせていた。しかし、今回の事態で、浮いた処理費の4倍近くの撤去費用を負担することになる。同社は徹去費用を特別損失として計上予定で、2005年上期の中間連結決算は、11億円の税引き後利益から、108億円の赤字に転落する見込み」(11月7日読売)
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【コメント】 会社の社会的責任の意義、そして背信行為の対価を如実に示す好適な例、しかもその費用はいい加減では済まないことを示す例なので、あえて大部分の報道を紹介しておきます(報道は早晩リンク切れになるでしようから)。
よくある不法投棄、その後始末に公費を使う、というような例のことを思うと複雑な気持ちです。
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