昨日は、岐阜県による告発と来年2月末を期限とする撤去命令のための手続きが進められました。
● 岐阜県の告発
岐阜県は、会社だけでなく社長、常務、元工場長まで告発しました。
昨日夕刊や今朝の朝刊は、いずれも岐阜県の告発について「産廃として処理すべきフェロシルトを、事情を知らない業者を利用して不法投棄した」としています。
「県の担当者は、業者が不法投棄の『幇助(ほうじょ)』に該当することもあり得ると指摘する」(10日朝日)
「三重県が無許可の業者と取引した委託基準違反容疑で告発したのに対し、不法投棄は本丸に迫る容疑で、罪も重い。・・・企業犯罪として追求する岐阜県の姿勢を明確にした」(10日中日)。
「岐阜県によると、03年に大阪高裁で、産廃と知らせずに運搬、投棄させた排出企業に対して、不法投棄罪を適用した判例があり、環境省とも検討した結果、『理論的には(立件は)可能だ』との回答を得たという」(10日中日)。
● 石原産業
岐阜県の告発に対する石原産業の9日付けのコメントには呆れます。
当社並びに社長及び常務が不法投棄を行った事実はありません
ま、石原さん、下記の判例をよく読んでおいてくださいね。
●酸化チタン関連廃棄物は業界全体の問題??
インターネットを見ていたら、こんな指摘がありました。 コメント
>国としても単なる酸化チタン1社の問題として片付けるわけにはいかないと思われる。
会社ではなく生産設備のような・・・
大事な視点ですね。
● 判例
上記記事にある岐阜県や国の告発の論拠の一つと見られる判例を紹介し、要点を引用しておきます。
高裁判例集
全文
事件番号 :平成15(う)900
事件名 :廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反被告事件
裁判年月日 :H15.12.22
裁判所名 :大阪高裁
結果 :棄却
判示事項 :
1 廃棄物が再生されたとはいえないとされた事例
2 産業廃棄物の不法投棄罪において,廃棄物であるか否かを判断する基準時
裁判要旨 :
1 廃棄物に何らかの操作が加えられても,これが一定の客観的価値を有するには至っておらず,又は占有者がこれを再生利用する意思を有していない場合には,その物が再生されたとはいえない。
2 産業廃棄物の不法投棄の罪の成否を判断するに当たっては,投棄時点を基準として廃棄物であるか否かを決すべきである。
◆ ① 廃棄物の意義
廃棄物処理法2条1項によれば,廃棄物とは,同項に列挙されたごみその他の汚物又は不要物であって,固形状又は液状のものであるが,ここにいう不要物とは,これを占有する者が自ら利用し又は他人に有償で譲渡することができないために不要になった物をいうと解される。これに該当するか否かは,その物の性状,排出の状況,通常の取扱い形態,取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案して判断すべきである
◆ ② 廃棄物の再生の意義と判断の基準時
廃棄物の再生の意義を解釈するに当たっては,廃棄物の再生利用促進の観点をも考慮すべきである。そして,【要旨1】廃棄物に必要な操作が加えられ,これが一定の客観的価値を有するに至った場合には,占有者がこれを再生利用の意思をもって占有する限り,これを占有者の自由な処分に委ねても前記の弊害が生じるおそれは少なくなったものといえるから,必ずしも有償譲渡の可能性がなくても,その物はもはや廃棄物ではないと解すべきである。また,【要旨2】産業廃棄物の不法投棄の罪の成否を判断するに当たっては,実行行為の時,すなわち投棄時点を基準として廃棄物であるか否かを決すべきである
◆ (2) 産業廃棄物の不法投棄の罪の成否について
以上の事実によれば,被告人Aは,被告会社の代表者として,その業務に関し,幇助的意思しか有していない者及び情を知らない者らを利用し,これらを道具として産業廃棄物を不法投棄したものであって,間接正犯として刑事責任を負うことが明らかである。
◆2 量刑不当について
本件犯行は,約6か月もの長期間にわたり組織的,計画的,かつ営業的に行われたものであり,また,これに先立って相当以前から行われていた一連の犯行の一部である。被告人Aは,被告会社について汚泥の中間処理の許可を受け,これを固化して再生利用すると言いながら,実際には適法な処理をほとんど行わず,受け入れた汚泥の大部分を若干の固化剤を加えただけでそのまま投棄していたものであって,極めて悪質な犯行といわなければならない。
(中略)
本件は,廃棄物の適正な処理と再生利用の推進が重大な社会問題となっている日本の現状の下において,再生利用すると称して極めて多量の産業廃棄物を受け入れながらこれを不法投棄した重大事案であり,その社会的影響は無視できない。
それにもかかわらず,被告人Aは,十分な固化剤を加えて汚泥を再生させて土地の造成に用いたのだとリサイクル運動に貢献したかのように主張し,非常識な弁解を繰り返して無罪を主張している。また,同被告人は,廃棄物担当の行政機関に対し,本件汚泥は埋戻材として売却するなどしており,土砂と混ぜて処分してはいないなどと虚偽の報告をし,捜査段階当初においてもうそ八百を並べ立てて犯行を否認し,その後犯行の概略を認めたものの,公判廷においてはこれは保釈を得るための方便であったと言い出すありさまであって,反省の情は全く見受けられない。
(判例の抜粋はここまで)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
このブログのフェロシルト関連記事をみるには、カテゴリー欄の「フェロシルト」をクリックしてください。
| Trackback ( )
|