毎日、1000件以上のアクセス、4000件以上の閲覧がある情報発信ブログ。花や有機農業・野菜作り、市民運動、行政訴訟など
てらまち・ねっと



 福井県男女共同参画審議会、音声記録の情報公開を求める行政訴訟(原告代表上野千鶴子)の次回第2回弁論は、7月25日(水)13時30分~福井地裁です。
 こちらは5月中に被告答弁書に反論する準備書面を提出することになっていました。

 どうにか、5月31日付けで、原告準備書面(1)、証拠説明書(2)、甲18から甲26-4までの証拠を提出しました。
 前回のことは ⇒ 5月1日 ジェンダー本審議会記録訴訟。福井県は争う姿勢の答弁書
 なお、「次回弁論2週間前までに被告の反論等が届けば、原告として必要な場合、次回弁論の1週間前までには書面を提出いたします。」と付言しておきました。

人気ブログランキング→→←←ワン・クリック10点


   ● 5.31付け 原告準備書面(1) 印刷用PDF
   ● 同 証拠説明書(2) 印刷用PDF
    訴状や資料の全部はこちらから ⇒ 福井情報公開訴訟のページ

準備書面(1)の抜粋は以下
ーーーーーーーーーーー
平成19年(行ウ)第2号 福井県男女共同参画審議会音声記録非公開処分取消請求事件
                   
      原告準備書面(1)
             
 本件音声記録の公文書性に関する被告主張の要点は「音声記録は備忘録」であって「『管理』していない」との旨に尽きるのでその点について反論してから、被告答弁書に個別に反論し、関連して求釈明する。

第1 本件音声記録の公文書性について
1 「音声記録は備忘録」ではない
(1) 訴状第7の7の(2)で述べたとおり、福井県文書規程(甲第9号証)の第2条1号の文書の定義においてさえも、「職務上作成し、または取得した文書、図画および電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録・・)をいう」とされているとおり、「決済・供覧前文書」という限定が外れた現行の本件条例においては、起案前文書であっても、起案のために情報収集した他の事例の文書や他の自治体の文書等も本件対象文書となるのは明白である。
 一般的に議事録担当職員の頭の中の世界をメモ書きしたものなら、私的な備忘録とかメモともいえるかも知れない。しかし、本件音声記録は福井県男女共同参画審議会という県の非常勤の特別職の委員らの会議を録音したファイル自体及びその記録された諸々の発言であって、公的会議における「事実」を記録したものである。決して、本件議事録担当職員の思想や信条、思考、考察など職員の頭の中の考えや着想等、あるいは思考過程等、職員固有の私的な記録ではない。

(2) 本件担当課の職員の事務分担表からみても、個人的な備忘録ではない。
 本件争点の審議会会議や議事録作成を担当した福井県の「男女共同参画チーム」の職制上の事務分担(甲第19号証-1)に関して、平成18年度主任宮越広美及び主査石原政和は、「1 男女共同参画事務の総括に関すること」「4 男女共同参画チームの運営に関すること」等を担当し、主査石原政和及び主任宮越広美・主事上野美雪は「1 男女共同推進条例に関すること」「2 男女共同参画審議会に関すること」「3 男女共同参画に関する苦情処理に関すること」「4 男女共同参画社会づくり推進事業に関すること」「5 男女共同参画情報発信事業に関すること」等を担当している。男女共同参画審議会関係の分担として3人の職員が配置されているのである。
 平成17年度以前の事務分担も同様である(甲第19号証2ないし5)
 この点は、訴状第10の4の(3)で述べた職員録(甲第16号証)も同旨である。

(3)  当該文書が「公文書」にあたるかどうかの判断については、文書の作成又は取得の状況がひとつの材料である。本件において、職員個人の便宜のためにのみ作成又は取得するものであるかどうか、直接的又は間接的に当該行政機関の長等の管理監督者の指示等の関与があったものであるかどうかという観点では、被告は「本審議会について録音を個別的に指示された事実もない。」とするが、会議録のそれぞれ(乙第3号証) (甲第20号証-1ないし8)をみれば、職制上の管理監督者等からの指示等の関与があったことは十分に推認できることである。

(4) 衆議院法務委員会での質疑
 民事訴訟法の改正に関する衆議院法務委員会の質疑において、「個人的なメモ、備忘録、日記等のおよそ外部の者に開示することを予定していないような文書は不開示で、公務員が組織的に用いるもの提出をさせる、これは情報公開法と同じような規律である」との旨の答弁がなされている(甲第21号証)。
 本件において、本件音声記録の内容は外部の者に開示することを予定している内容であるし、組織的に議事録を作成するものである。

2 管理について
 (1) 本件条例第2条における「管理」の意味に関して、当該文書を「管理」することの必要性の存否と、情報公開請求時点での当該文書の公文書性の有無の判断における「管理」は意味が違う。被告は、「管理」を主観的なことと考えて、本質的な誤りを犯している。あくまでも、情報公開請求時点で「管理している事実」があるか否かが公文書性の判断根拠である。
わかりやすくいえば、本件文書規程において各文書を規定しているところ、その分類基準は、当該担当課の判断としての「必要性」や「管理の認識」ではなく、文書の性質であって、この文書の性質を厳密に理解し文書を管理するように求めているのが文書規程である。
本件文書規程に、被告の本件主張の諸点の規程は皆無である。

 (2) 本件音声記録の性質に関して、過去において会議の後の適当な時期に会議録をインターネットに公表されていたこと (甲第20号証-1ないし8)等に鑑みれば、「今回は議事録を作成しない」ということはあり得ないから、公務の遂行に不可欠である。
 例えば、議事録作成をする予定であった職員が急病で中長期に入院した場合には、他の職員がしかるべき上司に「議事録の作成はどうしましょうか?」と確認することに対して上司が「作成するよう」指示する、あるいは、上司が自主的に他の職員に「議事録を作成するよう」指示することは疑いない。いずれにしろ、当該職員は、本件音声記録を再生することで「議事録の作成」という職務が遂行できるのである。

 (3) 保存又は廃棄の状況
 当該文書の保存又は廃棄の状況に関しては、もっぱら当該職員の判断で処理できる性質の文書であるかどうか、組織として管理している職員共用の保存場所で保存されているものであるかどうかが判断材料のひとつであるが、本件においては被告答弁のとおり、県の公費で購入した機器で録音しており、組織として管理している職員共用の保存場所で保存されているものであることは明らかである 。

 (4) 職員の個人的な検討段階に留まるもの、例えば、起案前の職員の個人的検討段階の文書等は該当しないこともあり得るかも知れないが、本件音声記録は組織において業務上必要なものとして保存されていたのであり、本件担当職員が議事録原案の検討過程で使用する公文書である。
 起案前の職員の個人的検討段階の文書等を誰かが破棄・削除したら当該職員が再度作成すれば済む性質のものは個人的なメモ、備忘録としても良いだろう。しかし、もし、誰かが音声記録を破棄・削除したら、本件のように、通常作成しているような議事録の作成が困難となることは明白であることからも、組織として管理していると言うべきである。

3  以上、議事録作成前の時点で情報公開請求された本件音声記録は、公文書というべきである。

第2 福井県の情報公開における条例の解釈運用には大きな問題がある
1  「平成7年条例」
 福井県公文書公開条例(昭和61年3月24日・福井県条例第2号 改正 平成7年7月14日・条例第32号)(以下、「平成7年条例」という)(甲第22号証)において、(定義)第2条は「この条例において「公文書」とは、実施機関の職員が職務上作成または取得をした文書、図画および写真(これらを撮影したマイクロフィルムを含む。)であって、決裁または供覧の手続終了後、県において管理されているものをいう。」とされていた。
 この平成7年条例に関して、文書自体は存在するが、被告が「公文書に該当しない」として非公開にした処分について、最高裁は「決裁の手続が予定されている文書を作成する基礎となった文書が,同決裁手続の終了により,公文書公開条例が公開の対象として定める決裁等の手続が終了した文書に当たる」として公開を命じた。最高裁第二小法廷平成16年09月10日判決、平成13年(行ヒ)第118号・公文書非開示処分取消請求事件、原審 名古屋高等裁判所金沢支部 (平成12年(行コ)第7号)である(甲第23号証)。

2 福井県の情報公開では公文書性に関する争いが多い
 現行の本件条例についてみると、福井県の実施機関による非公開処分を前提とする異議申し立ての状況、つまり情報公開審査会への知事の諮問に対する答申(甲第24号証-1)の書類から分類すると、公文書性に関しての非公開処分が多いことが顕著な傾向として認識される。換言すれば、福井県の情報公開における公文書性に関しての非公開処分つまり「門前払い」が多いのである(甲第24号証-2)。

3  被告は「平成7年条例」の解釈を踏襲している
 被告は、「平成7年条例」においては「決済後」という限定をかけた条例を施行していたが、現行の平成12年の条例においては、「決済または供覧の手続き終了後」という限定は撤廃された。
 被告は、本件条例の解釈において、従前条例の解釈を踏襲して主張し、実務における公文書性の判断においても、「平成7年条例」の判断基準を採用していると考えれば、本件処分がなされた理由も、本件訴訟における被告主張の経緯も理解しやすい。

4 被告の怠慢もしくは非公開指向
 「平成7年条例」はAタイプの条例であるところ、平成12年条例に改正された現行の条例の運用がなされている最中の平成16年に上記最高裁判決が出た。
 本件条例の1条3条等趣旨目的に鑑みれば、被告には、職員らにこの点を徹底させ、現行の本件条例の解釈運用にも精緻かつ厳格に反映させる責務があることは明白である。
 然るに被告には職員に周知する姿勢がない。
 例えば、被告は、情報公開訴訟における判例等実例集を作成・配布・公表している。内容や記載様式、表現からしても、これが、情報公開の手引きの補完版であることは、明らかである。
 適宜改正されているようであるが、「平成19年4月」とする版(甲第25号証)には上記平成16年最高裁判決が搭載されていない。目次など構成をみれば、第2条の公文書性をそもそも掲載していないことからも、被告の第2条の公文書性に対する後ろ向き姿勢が明白である。
 これらは、本件条例の1条3条等趣旨目的に反するというしかない。

5 以上のとおり、福井県の情報公開における条例の解釈運用には大きな問題がある。

第3 から 第6 答弁書への反論 (ここでは略)

第7 本件争点に類する「管理としての公文書性」を認めた最高裁
 岐阜県は、実行委員会に関する文書に関しての県民の情報公開請求に対して、1997年10月31日付けで、実行委員会経理の核心部分である領収書や請求書などの証拠書類について、「県職員の机の上に全部ある」にもかかわらず、「実行委員会の管理の書類であるから、県の公開条例の対象ではない」として、これらを非公開決定した。
 訴訟の争点は、岐阜県情報公開条例第2条2項の規定「この条例において『公文書』とは、実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び写真であって、実施機関が管理しているものをいう」という規定をどのように解釈するかであった(甲第26号証-1)。
 当時の岐阜県の条例の規定は、本件訴訟と同様のBタイプの条例である。
請求者は、異議申立を経て認められなかったので、2000年5月22日に岐阜地裁に提訴、岐阜地裁は2002年1月17日判決で原告の請求を棄却、名古屋高裁は2003年12月25日判決で地裁判決を取消して公開命令、最高裁第三小法廷決定は2005年9月13日に県の上告を棄却した(甲第26号証-2ないし4)。

第8 求釈明
 被告主張に関連して、釈明を求める。また、関連して証拠等の提出を求める。
提出がなければ文書送付嘱託(あるいは提出命令)手続き等を検討する。

1 録音機器に関して
 録音機器は福井県の公費で購入したという。
 商品名、購入価格、購入年月日を明らかにされたい。
 視覚的に当該録音機器の写真を提出されたい。
 福井県の財産として登録されているところの財産台帳等の写しを提出されたい。
 使用状況及び使用主体あるいは使用者の範囲を明らかにされたい。

2 記録媒体に関して
 音声が記録されているMDディスクは公費で購入したものか、個人購入か。
 商品名、購入価格、購入年月日を明らかにされたい。
 視覚的に当該MDディスクの写真を提出されたい。
 使用状況及び使用主体あるいは使用者の範囲を明らかにされたい。

3 記録の状況に関して
 MDディスクに保存されているファイル・データの内容は、本件音声記録以外は 職員個人のものか、すべて県の職務に関連する情報か。混在なのか。
 県の職務に関連する情報の場合、その作成あるいは入力(保存行為)者は一人なのか、何人なのか。個人の場合、一人なのか何人なのか。
 保存ファイルの名称等だけであれば業務に支障はないと考えられるので、保存ファイルの名称等の一覧を提出されたい。

4 過去の福井県公文書公開条例に関して
 福井県公文書公開条例(昭和61年3月24日・福井県条例第2号)と同条例の手引きを提出されたい。
 福井県公文書公開条例(昭和61年3月24日・福井県条例第2号/改正平成7年7月14日・条例第32号)の手引きを提出されたい。

5 過去の判決に関して
 最高裁第二小法廷平成16年09月10日判決、平成13年(行ヒ)第118号・公文書非開示処分取消請求事件に関して、第一審、第二審及び最高裁の判決書の写しを提出されたい。
                        以上




コメント ( 0 ) | Trackback ( )




 昨日、5月10日過ぎの岐阜の長良公園のタニウツギを載せました。
 実は、その日の目的は「ハンカチの木」。ところが、今年は早くて、もう散っていました。やつと見つけた数輪残っているだけの樹。
 とはいえ、強風で、写真に苦労。

白い包みの中にはオシベ
(どの写真もクリックすると拡大。写真右下あたりのクリックでさらに拡大


足元の一輪  手のひらより少し小さい位
   

強い風に吹かれて 揺れるハンカチ
    

人気ブログランキング→→←←ワン・クリック10点



コメント ( 4 ) | Trackback ( )