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てらまち・ねっと



 つくばみらい市のDV防止講演中止事件の今日の東京や現地での動き。

 今日の午前、呼びかけ人の上野千鶴子さんらが2600人分の【抗議署名】をつくばみらい市に提出。私も呼びかけ人。
 上野さんも福井の裁判に続いて、他も回ってからのとんぼ返りとは忙しいこと。
 
 1月22日ブログで ◆つくばみらい市・DV防止法についての講演会中止の問題/その人たちの次のターゲットは  と抗議署名を呼びかけていたもの。
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● 【社会】DV講演中止に抗議署名 茨城、ジェンダー研究家ら
東京新聞 2008年2月1日 12時37分

茨城県つくばみらい市に
抗議の署名を提出する上野千鶴子東大教授(左)=1日午前
 
  茨城県つくばみらい市が開催を予定していたドメスティックバイオレンス(DV)被害者支援の講演会が、支援活動に反対する人々の街宣活動などを理由に中止された問題で、ジェンダー研究家らが1日、同市に対し講演中止への抗議と、再実施を求める約2600人分の署名を提出した。
 上野千鶴子東大教授(ジェンダー研究)ら約50人が「少数の暴力によってDVに対する活動が妨害されることは見過ごせない」としてインターネットなどを通じ、署名を呼び掛けていた。同市は「市民が混乱する恐れがあったので中止した」としている。
 一方、市役所前で拡声器を使い、DV支援に反対する活動をした「主権回復を目指す会」の西村修平代表は「DV防止法は女性の言い分が一方的にまかり通り、男性を加害者に仕立て上げ家族を崩壊させる欠陥法」と主張。「講演会で反対の立場を述べる時間も設けるよう市に要請しただけで中止を求めたわけではない」としている。(共同)


 中日新聞夕刊の第2面【特報】の《話題の発掘 ニュースの追跡》には、
抗議署名提出と、この事件の詳報。
(写真をクリックすると拡大。写真右下あたりのクリックでさらに拡大)
【特報】《話題の発掘 ニュースの追跡》
DV講演会 抗議で中止

中日新聞夕刊 2008.2.1

 茨城県つくばみらい市で先月中旬、市主催のドメスティック・バイオレンス(夫などの暴力、DV)をテーマにした講演会が中止になった。反対団体から抗議を受け「混乱回避」を優先したという。新潟県長岡市では同じ状況で講演会を開いている。行政の「過剰反応」が言論の自由を縛りかねない状況で、ジェンダー研究者らは1日、つくばみらい市に対し講演中止の抗議と、再実施を求める約2600人分の署名を提出した。

 市が尻込み 言論封殺
 つくばみらい市は男女共同参画事業の一環として、先月中旬に「自分さえガマンすればいいの?」と題した講演会を予定していた。講師はDV被害者を支援する東京フェミニストセラピィセンターの平川和子所長(内閣府専門調査会委員)。
 ところが先月4日、DV防止法に反対する「DV防止法犠牲家族支援の会」の地元会員が市に講演中止などを要請。11日には「支援の会」会員と「主権回復を目指す会」の西村修平代表が市を訪れ、「当日は講師と逆の立場の論者にも発言を認めよ」と求めた。
 市は拒み、西村氏ら3人は16日、市庁舎前でチラシをまき、拡声器を使い主張を訴えた。市は同日、「開催すれば混乱を生じかねない」と講演会中止を決めた。
 西村氏は「夫婦間のトラブルは話し合いで解決すべきだ」と持論を述べた上でこう話した。「市には中止しろとは言っていない。日本には言論の自由がある。ただ、公費を使う以上、反対の立場の人間にも発言機会を与えるべきだ。講演会を開いたら脅威を与えるといった発言もしていない」
 一方、長岡市も「家族の中の暴力防止」をテーマに平川氏を招いた講演会を企画。前出の「支援の会」が「市費を使うな」などと抗議していたが、予定通りに27日、120人の聴衆を集めて開いた。
 つくばみらい市の中止決定は余波も。茨城県つくば市の県立茎崎高校は「デートDV」をテーマにDV被害者支援のNPO法人による出前授業を予定していたが「直接の抗議はないものの、つくばみらい市の判断を重視した」(同校)として授業を取りやめた。
 今回の判断について、つくばみらい市の担当者は「ここは田舎。拡声器による街宣だけで皆が驚く。(言論の自由もわかるが)開催当日、会場に抗議団体が来て、混乱が生じる懸念を優先した」と説明する。
 これに対し、上野千鶴子東大教授(ジェンダー研究)ら約50人が「少数の暴力によってDVに対する活動が妨害されることは見過ごせない」としてインターネットなどを通じ、署名を呼び掛けていた。

 対応不適当 講師もがっかり
 講演するはずだった平川さんも「わずか数人による威嚇や妨害活動で中止されたことが残念。市が“事なかれ”で対応し、このまま終わってしまうのがおかしい。(1月)11日には改正DV防止法が施行された。支援体制の拡充が必要な時期だったのに」と話している。
 つくばみらい市の対応は類似した事件の判例をみても疑問が多い。広島県呉市は1999年、同県教組の教研集会のため、一度は学校施設の利用を許したが、右翼団体の抗議活動を予想して不許可にした。この件で、最高裁は2006年2月「妨害活動のおそれが具体的でなかった」と呉市の対応は不適当だったと判断している。
 お茶の水女子大学の戒能民江教授(家族法)は「今回の事件によって、せっかく積み重ねてきたDV防止の動きへの影響、さらに被害者の声を封じる結果をもたらしかねないことが危ぶまれる。行政は自主規制することなく、その責務を全うしてほしい」と訴える。
 長岡市の講演会担当者はこう話す。「どんな講演会にせよ、内容への賛否や意見はさまざま。万人が賛成する講師を条件にすれば、講演会など開けない。聴衆の受けとり方は講演会の開催とは別問題だ」(中日新聞 2008.2.1)

 Against GFB
 ジェンダー(フリー)バッシングに対抗し、ジェンダー平等な社会を実現するために!!


【抗議署名】 つくばみらい市における平川和子さんの講演会直前中止に抗議し、改めて実施を求めます
  1/20につくばみらい市主催で予定されていた平川和子さん(東京フェミニストセラピーセンター所長)の「ドメスティックバイオレンス(DV)」をテーマにした男女共同参画講演会(タイトル「自分さえガマンすればいいの?―DV被害実態の理解と支援の実際」)が、直前の1/16になって、市によって中止を決定されていたことが、毎日新聞ほか(注1)で報道されました。報道によれば、1/16にDV防止法に反対する民間団体が、市役所前で「数人が拡声器を使って抗議する騒ぎ」を起こしたため、市の担当者が「混乱を招く」(毎日新聞1/18)「市民に危険が及ぶ恐れがある」(産経新聞1/17)と中止を決定したものです。抗議した団体の代表(男性)は、「市長直訴の抗議により、中止が正式に決定された」、「少数が巨大な行政を圧倒・屈服させた」と発言されたと伝えられています(注2)

 講師予定者の平川さんが直ちに市長宛に送った抗議文によれば、市側の説明では「西村と名乗る男性と他に数名の女性が、役所内に拡声器を持って押しかけ、職員に対する誹謗中傷などを大声でまくしたて、講演会の中止を求めて詰めより、そのうえ講演会の当日には街宣活動を行うとの予告をしたため、講演会の参加者に危険が及ぶ恐れがあるとの判断のもと、やむなく中止した」とあります。平川さんはこれを「講演会主催者と私に対する暴力であり、参加市民に対する暴力」にほかならないと認識しており、私たちも彼女の認識に全面的に同意します。

  改正DV防止法(2007年制定本年1月11日施行)によれば主務大臣(内閣総理大臣、国家公安委員会、法務大臣及び厚生労働大臣)は都道府県又は市町村に対し、都道府県基本計画又は市町村基本計画の作成のために必要な助言その他の援助を行うように努めなければならない」(第2条の3、5項)とされています。改正前にすでに茨城県が策定したDV対策基本計画の関係文書によれば、「県民一人ひとりが「DVは許さない」といった認識を強く持っていただくことが、何よりも大切なことです。このため、県では、今後とも学校や家庭、地域、職場などにおいて、人権意識を高める教育や男女平等の理念に基づく教育を促進していきます」とあります。つくばみらい市が計画していた講演会は、まさに県が推進している「地域における人権意識を高める教育」そのものといえます。そのような事業が少数の暴力によって妨害されることを、見過ごすわけにはいきません。

  中止の報道に接してわたしたちは大きな衝撃を受け、あってはならないことが起きたとふかく憂慮しています。市の行事が少数の人々の暴力的な行動によってくつがえされたことそのものが問題であるだけでなく、DVという暴力に対する人権を守るための事業が、少数の人々の暴力によって実施不可能になるとすれば、DV被害者および支援者を暴力から守るべき責務を負う、自治体の姿勢に対する信頼もゆらがざるをえません。このような暴挙がまかりとおるなら、今後他の自治体においても、DV関連の事業がいちじるしい不安にさらされるだけでなく、講演や学習会等の啓発事業についても「混乱をおそれて」自主規制する自治体が続出しないともかぎりません。

 このような暴力に対して、市がとるべき態度は、きぜんとしてこれを退け、安全を確保したうえで、予定通り事業を実施すること以外にありません。市当局が、暴力に屈して出した今回の中止決定をすみやかに取り消し、あらためて日程を調整して、平川さんの講演会を実施することを、わたしたちは心から求めます。また平川さんおよび関係者の身辺の安全に配慮することをも要望いたします。

(注1)「DV防止法:反対団体の抗議で講演会中止 つくばみらい市」@毎日新聞(1/18) 
    「抗議受け市の講演会中止に DV被害支援めぐり」@MSN産経(1/17)
    「DV防止法講演会 団体抗議で中止に つくばみらい」@東京新聞茨城版(1/18)
(注2)

呼びかけ人(敬称略・50音順・08.01.26現在)
青山薫・赤石千衣子・麻鳥澄江・有村順子・石田邦子・石田雅美・市場恵子・伊田久美子・伊田広行・伊藤公雄・稲邑恭子・井上輝子・上野千鶴子・漆田-土井和代・小川真知子・長田満江・戒能民江・河野和代・木村涼子・熊田一雄・黒岩秩子・小島妙子・今大地はるみ・坂上香・坂本洋子・早苗麻子・佐藤明子・さとうももよ・清水澄子・出納いずみ・鈴木隆文・鈴木ふみ・高橋喜久江・土橋博子・角田由紀子・寺町知正・寺町みどり・内藤和美・中西豊子・中原道子・中村彰・西野瑠美子・丹羽雅代・沼崎一郎・橋本育・長谷川京子・姫岡とし子・弘田しずえ・福沢恵子・フックス真理子・船橋邦子・細谷実・堀田哲一郎・皆川満寿美・三井富美代・三宅晶子・本山央子・湯澤直美・米田佐代子



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 昨日31日朝、福井の宿で流れたテレビのNHKの全国ニュース。

 デートDVのことだった。
 ブログにもデータがためてあったので、整理しておこう。
 各地では認識を深めるための対策が進められている。

 なおDV(ドメスティックバイオレンス)にかかる諸対策に批判的な人たちもいて、その行動が走ることもあるので、それへの対応も必要な状況に来ている。
 
    2月1日ブログ ⇒ ◆つくばみらい市/DV関連講演会中止の波紋

 また、DV殺人・暴力などの新聞記事にもリンクした1月22日ブログは
     ⇒ ◆DV防止法についての講演会中止の問題/その人たちの次のターゲットは  

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◆デートDV:実態は 行動報告強要、金を返さない、避妊せず…--内閣府が初調査  毎日 1月24日
 ◇暴力に発展のケースも
 交際相手の支配的な態度に違和感を感じながら、交際を続けている若者が少なくない。中には、「デートDV」(恋人による身体的もしくは精神的、性的な暴力)の域に達しているケースもある。内閣府の調査結果を参考に、実態と対応策を探る。【望月麻紀】

 ●言動で支配
 東京都内に住む20代女性は大学時代、難関大学に通う男子学生と付き合った。サークルの部長を務め、人付き合いのいい人だった。しかし彼女の前では「死にたい」と弱音を吐き、いら立った。言葉や体で慰めを求める一方で、人前では彼女をばかにする言動を見せた。
 それでも彼女は別れられなかった。「彼の弱さを知っているのは私だけ。救ってあげたい」と思った。また、ばかにされることで自分に自信が持てなくなり、彼のために尽くすことが唯一、自分の存在価値を感じられる場になっていた。
 9カ月の交際後、離別を切り出したのも彼の方だった。「殴るとかの暴力はなかったけれど、言葉や態度で彼から支配されていた」と、彼女は振り返る。

 ●恋愛=束縛?
 似たような交際を経験している若者は少なくないようだ。内閣府が昨年行ったインターネット調査でも「1日に何度も電話やメールで行動を報告するよう命じられた」などの具体例が寄せられた。
 調査は10~20代の未婚男女を対象に、恋人から受けた行為を尋ねた。男性128人、女性130人が答えた。
 それによると「いつも気を使わされる」と回答したのは男性42%、女性25%。ただ「友達との用事を無理に断らされた」「貸したお金を返してもらえない」「避妊に協力してくれない」などの具体的な強制行為の経験は、女性の方が多かった。

 女子大でもジェンダー学を指導する沼崎一郎・東北大大学院教授(男性学)は「異性の友達が増え、友達関係との差別化のため『恋愛関係では束縛できる』と考える傾向は男女とも強い」と、最近の関係を分析する。その上で、行動を制限したり避妊をしないなどの行為については「恋愛上の『相互束縛』とは区別して考えた方がいい。こうした行為こそ本物のデートDV。見逃すと、傷害やストーカー殺人に発展する恐れさえある」と警告する。
 内閣府の調査でも、殴るけるなどの身体的暴力を受け、けがをした経験がある男女が各1~2人いた。また▽「別れたら死ぬ」「家に火をつける」などの脅迫は女性5%、男性4%▽性的行為の強要は女性9%、男性1%--が経験していた。

 ●携帯が助長か
 被害事例などをまとめた「デートDV」の執筆者で、DV被害者を支援する「NPO法人全国女性シェルターネット」の遠藤智子さんは「各地の支援スタッフからも『デートDVの相談が増えている』と聞く。加害者も被害者も生まないために、予防教育などの対策を急ぐべきだ」と警鐘を鳴らす。
 遠藤さんは、増加要因の一つに「携帯電話の普及」を挙げる。「いつも身につける携帯電話が支配を簡単にし、男性の暴力性を助長している」と言う。今回の内閣府調査でも「電話に出なかったり、メールにすぐ返信しないと怒られた」は男性45%、女性32%が経験。女性の11%と男性の4%が「1日に何度も定期的に電話やメールで行動を報告するよう命じられた」と答えた。女性の4%は専用の携帯電話を持たされていた。

 ただ、今回の内閣府調査は初の本格的な実態調査で、デートDV対策はまだ緒に就いたばかり。配偶者や内縁関係に限定されているDV防止法の適用対象を、恋人まで拡大するかどうかは今後の課題だ。自分自身はもちろん、家族や友人らの交際関係に「おかしいのでは」と疑問を持ったら、専門機関や警察に相談するよう、遠藤さんは助言する。

 シェルターネットは、DV危険度を示す恋人の行動のチェックリストを公表している=表参照。相談は、都道府県の女性センターや配偶者暴力相談支援センターなどで受け付けている。

  ■デートDV危険度チェック
 (全国女性シェルターネット作成、女性向け)
□いつも一緒にいることを要求する
□嫉妬(しっと)心が強い
□異性の友人との交流を許さない
□電話やメールが頻繁で、すぐ対応しないと怒る
□行動のすべてを知りたがる
□デートの内容は全部彼が決める
□服や髪形などで好みを押し付ける
□感情の起伏が激しく突然怒り出す
□手をつないだり腕を組んだりいつも体に触れる
□女性が意見を述べたり主張したりすることを嫌う
□女性の家族の悪口を言う
□交際相手を所有物のように扱う
□避妊具を使いたがらない
□別れ話になると「自殺する」と脅す
□重要な判断を女性に任せ「お前次第だ」と言う
 ※該当項目が多いほど危険度が高い
毎日新聞 2008年1月24日 東京朝刊



●  内閣府男女共同参画局
          ○  配偶者からの暴力被害者支援情報
   関係省庁、都道府県、政令指定都市等が行った関係調査一覧

  ●岐阜県男女が平等に人として尊重される男女共同参画
         ○   「男女共同参画に関する県民意識調査」結果を報告します
      ● 三重県
         ○ 三重県のセンター

(写真をクリックすると拡大。写真右下あたりのクリックでさらに拡大)
 ●【社会】恋人間DV、多い精神的暴力 内閣府調査 「急に機嫌変わる」最多
     中日 2007年11月10日 朝刊
 内閣府は9日、恋人間のドメスティックバイオレンス(デートDV)の実態を探るため、10-20代の未婚男女を対象に実施したインターネット調査結果を発表した。
 身体的暴力だけでなく「いつも気を使わされる」「行動を制限される」など“精神的暴力”も含めたため、何らかの被害を受けたことがあると回答した人は半数近くに上った。内閣府男女共同参画局は「全国規模のデートDV調査は初めて。若い世代に向けた予防啓発に努めたい」としている。  
 
 恋人からの被害経験(複数回答)では「急に機嫌が悪くなったり、優しくなったりしていつも気を使わされる」が男性42・2%、女性25・4%で性別を問わず最多。女性の場合は身体的、性的暴力を受けたケースも目立ち「避妊に協力してくれない」は12・3%、「性的行為を強要される」は9・2%、「物を壊すなど怖い思いをさせられる」は6・9%だった。

 携帯電話に関する被害(複数回答)では「電話に出なかったりメールに返信を出さなかったりして怒られた」が男性45・3%、女性32・3%でいずれも最多。「メールや着信・発信履歴を勝手に見られた」も男性17・2%、女性16・2%。
 被害を受けたことがある人の相談相手(複数回答)は「友達」が男性43・5%、女性68・4%。「誰にも相談したことがない」は男性54・1%、女性30・4%だった。
 調査は9月6日から5日間実施。ヤフーの協力で16-29歳の男女を抽出した。有効回答は358人で、このうち恋人がいるか過去にいたと回答した258人に聞いた。


●「デートDV」防げ、各地で啓発活動広がる  (2005年11月30日 読売新聞)
 若い恋人同士の間で起きる暴力「デートDV(ドメスティック・バイオレンス)」についての啓発活動が各地に広がっている。
 デートDVとは、交際相手を殴るなどの身体的行為にとどまらず、相手の携帯電話の受信メールを無断でチェックするといった干渉や束縛、性行為の強要、避妊に協力しないことなども含まれる。

 高校や大学でデートDVについて出前授業を行うNPO法人「DV防止ながさき」(長崎市)が昨年、3200人の学生らを調査したところ、女子高校生の10%、女子大学生の14%が何らかの被害を受けていたことがわかった。「相手が好きだから」と我慢する人も多く、被害が深刻化する場合もある。同団体では、こうした実態を知ってもらおうとブックレット「デートDVを知っていますか」(600円)を配布中だ。

 福島県と民間団体「福島DV研究会」も昨春「デートDV読本」(500円)を作成、京都府城陽市のNPO法人「アウンジャ」でも冊子「デートDV」(200円)を出している。

 東京都大田区の男女平等推進センター「エセナおおた」では、12月10日午後2時から講座「ステキな恋の見つけ方」を開く。名古屋経済大助教授の柳本祐加子さんがデートDVの実態や交際相手といい関係を築く方法などを話す。
 同センターでは「DVの芽を早期につみ取るためにも10、20代の人に興味を持って参加してほしい」と話す。参加費無料。講座の申し込みは同センター(電話03・3766・4586)へ。

●ストップ!デートDV 支配は愛じゃない <上>暴力と気付いて  東京 2007年12月16日
 恋人間で起きるドメスティックバイオレンス(デートDV)が問題になっている。「急に機嫌が悪くなり、いつも気を使わされる」「行動を制限される」「避妊に協力してくれない」-。未婚の恋人同士で、何らかの被害を経験した人が男女合わせ半数近くに上るとの調査結果を内閣府が発表した。「誰にでも起きる」を前提に考えたい。 (野村由美子)

 岐阜県在住の章子さん(20)=仮名=は高校時代からの彼が「切れる」ため、男友達と話やメールができなくなった。アドレスも消された。ある日、女友達と出かける予定を伝えると「その日におれが遊べたらどうするんだ! 約束する前に行ってもいいかおれに許可を取れ」と。嫌だったけど怖いから、怒らせないよう気を付けた。「友達は男友達とメールしただけで殴られてた。彼は殴ったりしないし、彼と別れたら、私なんか誰とも付き合えない」という。

 「暴力を振るうことが目的なのではなく、支配することが目的。力で脅して支配する。圧倒的に女性の被害が多い。普段は暴力を容認せず、女性を尊重もする人が、恋人にだけ暴君になる」。デートDV防止プログラムを実施する東京の民間団体「アウェア」代表の山口のり子さんは言う。
 
 デートDV防止プログラムでは、▽DVなんて大人にしか起こらない▽デートで暴力を振るわれる女の子なんていない▽暴力を振るわれる理由が女の子にある▽うんと親しくなれば女の子が嫌がっても男の子がセックスしたがるのは仕方ない-などの質問をして、それらがすべて間違っていることを説明していく。
 
 暴力には、殴るける、髪の毛をつかむなどの身体的暴力のほか、ブス、バカなど否定的な言葉を言う、怒鳴るなどの言葉の暴力、無視する、メールをチェックする、友達や家族に連絡させないなどの心理的暴力、セックスを無理強いする、避妊に協力しないなどの性的暴力、お金を払わせる、借りて返さないなどの経済的暴力などがあることも教える。
 
経験がない若者は、恋愛への思い入れが強く束縛がロマンチックな愛情だと思い違いをする。「彼氏が喜ぶ振る舞いをするのがかわいい彼女」「付き合うイコールセックス」という漫画やドラマにあふれるゆがんだ恋愛観から、DVと気付かない場合が多い。「彼がいないよりまし」と我慢する場合もある。ある高校の養護教諭も「彼に尽くす恋愛にとらわれている子がすごく多い。デートDVは特別なことじゃないと実感する」と話す。
 
 学校では男子より元気そうな女子でも恋愛関係になると、嫌われないようにと自分の気持ちを言えず、彼の顔色をうかがうようになることも。そこにDVが入ると二人の間は対等ではなく上下、主従関係ができていく。女子は自信や自分らしさを失い、心に深い傷を負っていく。
 山口さんは、学校のいじめ、会社のセクハラ、パワハラ、正義のためには暴力も必要という「暴力容認」や「男は力を持つ、強い」「女は控えめで優しい」など決めつけた性別観といった価値観が社会にあふれていることがDVの背景と指摘する。「まずは、DVに気付くことが必要。大人にもそういった価値観がないか考えてほしい」

 大人たちに山口さんはアドバイスする。「もし相談されたら『別れろ』は禁句。相手から何をされているか、具体的に聞いてあげて、受けているのは愛ではなく暴力だと自ら気付くまで待って。解決できる力があって、信頼できる友人や家族がたくさんいるのだと感じさせてあげてほしい」
  (一部略・リンク先を)

●デートDV:恋人に暴言…精神的暴力 冊子再増刷「若い人に考えてほしい」 /岡山  毎日 2008.1.26
 ◇「若い人に男女交際のあり方考えてほしい」
 弁護士や養護教諭、産婦人科医たちでつくる「デートDV防止プロジェクト・おかやま」と備前県民局が昨夏に作成したリーフレット「デートDV 愛されているから…?」が、秋の6000部増刷に続き、さらに1万部増刷された。当初発行の5000部から短期間で総発行冊数は2万1000部に。DVに対する関心の高まりをうかがわせている。【松井豊】

06年度からデートDVに関する講座を開いてきた同県民局が、高校生など若い世代への啓発を推進するため、昨年8月にイラスト入りの冊子(A6判、8ページ)5000部を制作。書店に置いたり、県内の4高校で配布した。ところが、リーフレットを見た教師らから「うちの中学、高校にも」と問い合わせが相次ぎ、9月に6000部を増刷し、要望のあった学校や昨年11月にあった全国生涯学習フェスティバル(まなびピア)会場で配った。

 デートDVは、恋人間での体への直接的な暴力だけではなく、怒鳴ったり脅したりする精神的な暴力も含まれる。同県民局などは高校の文化祭などの機会に、生徒に冊子を読んだ感想を書いてもらうなどの活動にも取り組んでいる。ある女子高生は「殴ったりするのは私が変なことを言うからしょうがないのかなって思う。これも普通じゃないのかな」と感想を寄せていた。
 
 同県民局協働推進室の永瀬秀美室長(58)は「殴ることだけがDVではない。冊子を読んで若い人に男女交際のあり方を考えてほしい」と話した。問い合わせは同推進室(086・233・9803)。

 ●DV被害者、自立困難に…内閣府初調査  2007年1月29日 読売新聞
3人に2人が月収15万未満
 配偶者からの暴力(ドメスティック・バイオレンス=DV)を逃れるため、自立を目指している人の過半数が、必要な生活費に困っていることが、29日発表の内閣府の実態調査で明らかになった。

 ◆「追跡された経験」55%
 配偶者と別居した後も、電話がかかってきたり、待ち伏せされたりするなど「追跡」された経験のある人も半数を超えている。DV被害者を対象にした内閣府の調査は初めてで、多くのDV被害者が経済面や生活面で不安を抱えながら自立を目指している実態が浮き彫りとなった。
 「配偶者からの暴力の被害者の自立支援等に関する調査」は、昨年10~11月に実施された。都道府県が指定する配偶者暴力相談支援センターや民間シェルターなどに対し、相談を寄せた6631人への質問票の配布を依頼し、799人が回答した。

 相手から自立して生活する際に困ったことを複数回答で聞いたところ、「当面の生活をするために必要なお金がない」が54・9%で最も多かった。さらに、「自分の体調や気持ちが回復していない」(52・9%)、「住所を知られないようにするため住民票を移せない」(52・6%)が続いた。

 経済面の困難に関連する月収については、回答者の35・3%が「10~15万円未満」、21・7%が「5~10万円未満」、9・5%が「5万円未満」で、全体の3分の2が月収15万円未満で生活していた。

 一方、相手から「追跡」された経験の有無を尋ねたところ、54・7%が「ある」と回答した。追跡の具体的内容(複数回答)は、「電話やメール、手紙が来た」が62・3%、「実家や友人宅に現れた」が54・3%、「待ち伏せされた」が36・5%だった。
 調査結果について、内閣府男女共同参画局は「DV被害者は様々な困難を抱えており、経済面を含め、幅広い支援策を考える必要がある」と分析している。


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