●保守へVS革新へ ~大震災が動かした民意の対照 / 竹内謙
ザ選挙 2011年3月30日
4月10日投票の知事選と政令市長選の情勢調査を新聞・通信各社が4日の週明けに相次いで掲載した。各社の調査結果はほぼ一致しており、そのあらましは、(1)民主と自民が争う東京、北海道、三重の3知事選のうち、東京と北海道は自民側が安定した戦いぶり、三重は互角、(2)民自公相乗りとみんなの党が争う神奈川でも相乗り側がリード、
(3)政令市長選では自公と民社が争う広島と自民と地域政党「減税日本」が争う静岡は互角、(4)民主優勢は札幌だけ、の4点。民主は振るわず、自民が圧勝する保守回帰が起こっている。
東日本大震災の非常事態の中で強行された統一地方選は低調の極みだ。知事選ばかりでなく、1日に告示された41道府県議選もしかり。すべての道府県の263選挙区で合計410人の無投票当選者が出た。前回2007年より18人増えて、総定数2330に占める割合は17.6%。6人に1人が無投票で選出された。その政党別内訳は、自民265、民主50、公明8、社民6、共産4、諸派11、無所属66。
保守王国の島根では、定数37に対して26人(自民14、民主4、共産2、公明1、無所属5)、じつに定数の7割が無投票で決まったと聞いてあきれた。松江市(定数10)、出雲市(7)、益田市(3)といった都市部でも有権者の審判を受けなかった。無投票当選の比率が高いのは、島根に次いで、岐阜、山形、香川、北海道、熊本、新潟、千葉、広島、和歌山といった順になる。
逆に、前回に比べて無投票が激減したのは大阪と栃木。橋下徹知事の地域政党「大阪維新の会」が60人を擁立した大阪は15人→2人で全国最下位タイに。みんなの党が17人を立てた渡辺喜美代表の地元栃木は17人→3人で下位から5位タイになった。河村たかし名古屋市長の「減税日本」と大村秀章知事の「日本一愛知の会」が統一候補43人を擁立した愛知も28人→12人。これらの府県の事例はやればできることを実証したといえるが、残念ながら、こうした改革志向はごく例外的で、多くは旧態依然たる競争回避の体質を顕わにしてしまった。
大震災は日本政府が「国策」として推進してきた原子力発電所に深刻な放射能洩れ事故を引き起こした。その是非を論じなければならないはずの統一地方選が極めて鈍感なまま推移しているのに対し、日本から1万kmも離れたヨーロッパは敏感だった。
・・・・(以下略) |