今朝はいつもより早めに目が覚めたので、ネットのニュースを概観。
興味深く見たいくつかをブログに記録した。
観点は、東京都知事選の有権者行動の特殊性。
★過去10回の都知事選挙、20代の投票率をグラフ化すると?/ ブロゴス/勝つ!政治家.com
《平成23年、平成24年に執行された東京都知事選挙について、有権者が投票する候補者を決めた時期/東京都選挙管理委員会の選挙に関する世論調査/
選挙期間に入る前に約30%程度の人が投票先をすでに決めていた。
約50%の人が選挙期間中に投票先を決めた、
15~20%の人が投票日当日に投票する候補者を決めた。》
次は、
★「安倍潮流阻止」が裏テーマの都知事選 脱原発候補一本化で問われる共産党の姿勢 /ダイヤモンド・オンライン/山田厚史氏
《時計の針を逆に回すような動きが目立つ安倍政権。「アベノトレンド」とも言うべき逆流にブレーキを掛けられるか。東京都知事選の裏テーマはこの一点だ。・・・問われているのは、現実政治に対する「頭の柔らかさ」・・・》
一番おもしろかったのは、
★毎日新聞の「都知事選:イメージ選挙は本当か 中盤戦突入」 ◇95年の青島氏当選以来変質 「そのつど支持者」がカギ握る
記事の書き出しは、宮城県知事を12年務めた後、2007年の都知事選に立候補した浅野史郎氏のコメント。
2007年の浅野さんの都知事選は、中でお手伝いした縁がある。
その浅野さんの都知事選を経験してのコメントは、特殊性を言い当てている。
「都民は都政への関心がないんだとつくづく思った」
続けて、世論調査に詳しい学者のコメント。
「そのつど支持者は、地元の課題に対する選挙には関心がなくても、国政選挙は、国を左右するイベントに参加するぐらいの気持ちで投票に行く。都知事選は地方選挙とはいえ、1995年以降イベント化が進み、国政選挙のような状況です。イベント化された選挙では『そのつど支持』の動向がカギになる」
他にも面白い意見がいくつもあったので、長文だけどブログ末で記録しておいた。
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●過去10回の都知事選挙、20代の投票率をグラフ化すると?
ブロゴス/勝つ!政治家.com2014年01月30日 00:00
2014年 東京都知事選挙が1月23日に告示され、来月2月9日の投票日まで、候補者16人による17日間の選挙戦が開始されました。今回の都知事選挙からインターネットを活用した選挙運動もできるようになります。
そこで今回は、他の世代と比較してインターネットの活用率は高いが、投票率が低いと言われる、20代の過去10回、昭和54年~平成24年の都知事選挙における投票率の移り変わりをグラフ化しました。
グラフを作成するにあたり、東京都選挙管理委員会の選挙別推定投票率一覧表を活用しました。
http://www.senkyo.metro.tokyo.jp/data/pdf/senkyobetsu_suitei_ichiran.pdf
140130_01
グラフ化をすると、どの選挙においても21歳~24歳の推定投票率が最も低く、初めて投票が可能となる20歳の推定投票率は、おおよそ、21歳~24歳、25歳~29歳の推定投票率よりも高い傾向がわかります。平成15年以降、20歳~29歳の推定投票率は、少しずつ上昇しています。
また、過去の東京都知事選挙において有権者が投票する候補者を決めた時期はいつなのでしょうか?
平成23年、平成24年に執行された東京都知事選挙について、有権者が投票する候補者を決めた時期についても調査結果があります。東京都選挙管理委員会の選挙に関する世論調査がそれです。
これらの調査結果を見ますと、選挙期間に入る前に約30%程度の人が投票先をすでに決めていることがわかります。
そして約50%の人が選挙期間中に投票先を決め、
15~20%の人が投票日当日に投票する候補者を決めています。
2014年2月に執行予定の東京都知事選挙は、すでに選挙期間中に入っています。過去の数値を見ると、選挙期間中に投票先を決める人が約50%程度です。2014年1月30日現在、多くの有権者は各種情報等から投票する候補者を選んでいる段階と推察されます。
2014年の都知事選挙、有権者はどの候補者に投票し、全体の投票率、20代の投票率はどの程度になるのでしょうか?
●【第53回】「安倍潮流阻止」が裏テーマの都知事選
脱原発候補一本化で問われる共産党の姿勢
ダイヤモンド・オンライン 2014年1月30日 山田厚史 [デモクラTV代表・元朝日新聞編集委員]
時計の針を逆に回すような動きが目立つ安倍政権。「アベノトレンド」とも言うべき逆流にブレーキを掛けられるか。東京都知事選の裏テーマはこの一点だ。ところが自民党が担ぐ元厚労相の舛添要一氏が圧勝の勢いという。報道各社の世論調査で元首相・細川護煕氏、元日弁連会長の宇都宮健児氏を大きく引き離した。反原発勢力が逆転するには「候補者一本化」しかない。水面下で進む共闘協議は時間切れ寸前。問われているのは、現実政治に対する「頭の柔らかさ」。とりわけ日本共産党の決断にかかっている。
「候補者一本化」について両候補に尋ねた
私たちはインターネットでニュース解説番組を提供する「デモクラTV」を運営している。今回の都知事選を前に、4人の候補者に出演をお願いした。舛添氏と元航空幕僚長の田母神俊雄氏からは告示前に返事をいただけなかった。宇都宮氏と細川氏は快諾し、それぞれ1時間のインタビューに応じた。
「候補者一本化」を両候補に尋ねた。二人とも「一緒にできないか、という声は各方面から上がっている」という。
それが困難であることを宇都宮氏は「細川さんがどんな気持ちで反原発をいわれるのか、分からない。原発だけが東京の課題ではない。他の政策についてどう考えておられるのか、その点について話を聞かないと判断がつかない」(1月10日収録)。
細川氏は「宇都宮さんは他の政策と原発を同列に並べている。私は原発問題は、その他の懸案と比べものにならない重い課題と思っている。話をして野合とか裏取引と言われちゃかなわない。毅然と原発最優先で選挙に臨みたい」(1月22日収録)。
(なお、この模様はアーカイブに収蔵されており、会員でなくてもインターネットを通じて無料で見ることができる)
宇都宮氏へのインタビューは、細川氏が決意表明する4日前、政策がまだ明確に示されていなかった時の収録だった。
14日に細川氏は小泉元首相と会い、出馬を表明した。「この選挙は原発ゼロでも日本は発展できるというグループと、原発なくして日本は発展できないというグループの争いだ」という対決の構図が示された。
安倍政権への挑戦状でもある。小泉氏がそこまで踏み込むとは、安倍首相も自民党も思っていなかった。知事選が持つ意味が一気に変わった。
●都知事選:「つぶやき」増減は全国連動 原発など顕著
毎日新聞 2014年02月01日 00時07分(最終更新 02月01日 02時40分)
★都知事選 原発関連のツイート数
毎日新聞と立命館大は東京都知事選(2月9日投開票)でのネット選挙の共同研究で、全国のツイッター(短文投稿サイト)利用者と、都民と推定した利用者のツイート(つぶやき)を比較した。原発などの政策テーマについて、全国でも都知事選の告示日(1月23日)につぶやき数が増えるなど連動する傾向がわかった。ネット上では都知事選の課題も全国に影響を与えている。
◇毎日新聞・立命館大の共同研究
調査は1月20~29日の期間で実施し、集計には「ジー・サーチ」社の分析ソフト「ガーネット」を使用した。プロフィル欄に「東京」や「TOKYO」が記入されている利用者を都民と推定して分析した。
「原発」で調べたところ、つぶやきの増減が全国、東京都でほぼ一致。23日の告示日は、全国で原発のつぶやきは約9万5000回に対し、東京都で約1万4000回で、いずれも調査期間中の最高だった。「選挙サンデー」の26日も全国、東京都ともにつぶやき件数が増えた。
「年金・子育て」のテーマで調べたところ、全国と東京都のつぶやきは影響がみられる一方で、違いもあった。全国も告示日前後に増加しているが、その割合は東京ほどではない。地域固有の課題も多いためとみられる。【高山祐】
◇西田亮介特別招聘(しょうへい)准教授の話
ネットの普及率が高い東京都の動向が全国に影響しているとともに、全国の都知事選への関心の高さが反映しているとみられる。都知事選で原発が争点になり、ネット選挙を積極的に活用している候補がいることも関係しているのではないか。
●東京都知事選:表舞台に戻ってきた大物
日本ビジネスプレス 2014.01.30(木) (英エコノミスト誌 2014年1月25日号)
懐かしい顔ぶれの1人は、ライオンハートその人だ。
東京都知事選が告示、2月9日投開票
東京の最大の政治ニュースが合計年齢148歳の2人の年金受給者が下した隠居生活から復帰するという決断だというのは、奇妙に思えるかもしれない。しかし、そのうちの1人は小泉純一郎氏なのだ。
2001~06年に首相を務めた小泉氏は実に稀有な存在だった。そう、支持率が高いうちに退任した、カリスマ性を備えた日本のリーダーだ。そして今、小泉氏が戻ってきて、世界最大にして最も裕福なメガロポリスを運営しようと競うレースに影響を与えようとしている。
首相在任中に「ライオンハート」としてよく知られていた小泉氏は、その才能を全く失っていない。表舞台を離れて何年も経った後、昨年秋、自身が率いた与党・自民党の原発推進政策に対抗するために再びその姿を現した。
脱原発でタッグを組んだ2人の元首相
小泉氏は今月、2月9日の東京都知事選に、自民党の支援候補に対抗し、同じくかつて首相を務めた細川護煕氏への支持を表明することで、一段と関与を深めた。細川氏は1月22日、都知事選への立候補を宣言した。
細川氏の支持表明は驚きをもって受け止められた。かつて細川氏は、40年ぶりとなる非自民党政権を率いたが、収賄疑惑が浮上した後、辞任に追い込まれた。同氏は姿を消し、陶芸に対する情熱にふけった。細川氏は大名の血筋をひいている。そんな同氏の立候補表明は、自身も武家の出身である甘利明経済産業相から「殿、ご乱心を」という嘲笑的な反応を引き出した。
原発政策を巡り、2度目の政権を担う安倍晋三首相に公然と挑むことにした小泉氏の決断には、歌舞伎のドラマのような要素がある。2006年当時、小泉氏は安倍氏を後継者に選んだ。しかし、安倍氏は首相に就任すると、日本の巨大な郵政事業を民営化する重大な戦いで小泉氏が追放した造反者の多くを復党させ、その好意に報いた。
小泉氏は今、かつての弟子に教訓を与えるために戻ってきたのかもしれない。都知事選の候補者である宇都宮健児氏は、小泉氏は「軽視されることを嫌うタイプの人間」だと話している。
だが、福島原発事故後の原発に関する小泉氏の転向は本物に見える。昨年のフィンランド訪問で、小泉氏は地中に埋められた放射性廃棄物が10万年経っても有害だということを知り、愕然とした。地震が多発する日本で安全な核廃棄物処理場を建設することは「不可能」だろう。
また稀代の経済自由主義者の小泉氏は、日本の電力地域独占体制の聖域に大鉈を振るうチャンスを楽しむかもしれない。電力会社は郵政事業のように、政治家と官僚の馴れ合い関係のおかげで生き残っている。
リタイア組の復帰は間違いなく、安倍首相にとって頭痛の種だ。小泉氏は自民党の草の根の支持者に人気があり、安倍氏の原発推進姿勢に懸念を抱く多くの人を集結させられるかもしれない。
選挙に勝った場合、細川氏は、被災した福島第一原発の保有者である東京電力の都の持ち株を生かし、やはり東電が保有する世界最大の原子力発電所、柏崎刈羽原発を再稼働させる政府の計画を妨げることができるだろう。「安倍政権は東京都知事選に負けられない」と東京にあるテンプル大学のジェフ・キングストン氏は語る。
自民党はこれまで小泉氏との対決を避けてきたが、細川氏の年齢と過去の実績を攻撃している。細川氏は先日、健康不安を一蹴し、東京の原発依存を段階的に減らすだけでなく、氏いわく過大な2020年東京五輪計画を縮小することも約束した。
脱原発を争点にすることの是非
倒さないといけないのは舛添要一氏だ。元厚生労働相の舛添氏は、2010年に自民党を離党した。しかし、候補者不足により、自民党は舛添氏を支持せざるを得なくなった。人気のある舛添氏は16人の候補者の中で最も知られた顔だ。同氏は原発労働者も代表する日本の巨大労組、連合の支援を受けている。
自民党は、東京都知事選が停止中の日本の原発に関する国民投票になることを望んでいない。意外にも社会主義者の宇都宮氏もそれに同意する。宇都宮氏が原発推進派であるということではない。実際、彼は日本の原発廃止を望んでいる。
しかし宇都宮氏は、東京都はあまりに多くの問題を抱えており、単一争点で選挙を戦うことはできないとし、貧富の格差が拡大していること、手頃な住宅が不足していること、次の大地震への備えが不十分なことなどを引き合いに出す。これらの問題を曖昧にするという点で、細川氏や小泉氏、他の対立候補は皆同じだと宇都宮氏は述べている。
●東京都知事選 : レポート 細川もりひろ・宇都宮けんじの街頭宣伝
レイバーネット日本-0129
都知事選がはじまって1週間の1月29日、私は脱原発の注目候補(細川もりひろ・宇都宮けんじ)の街頭宣伝を取材した。吉祥寺駅前で午後3時から始まった細川候補の街頭宣伝。駅周辺は身動きができないほどの人であふれていた。
「秘密法などおかしいことがまかり通っている。原発も再稼働と言い出した。いまは陶芸や絵を描いているときではない。不条理とたたかわなくてはいけない」。立候補と脱原発への思いを静かにじっくり訴える細川候補。
一方、応援弁士の小泉元首相は手振り身振りでボルテージが上がる。とくに拍手が大きかったのは、東電に対する批判、そして「再生可能エネルギーで日本は発展できる。原発を断ち切ったほうが自然を大事にする新たな産業が生まれる」と訴えたところだった。その反応に、雇用不安の社会の中で、聴衆が脱原発とともに「経済再生・仕事」を求めていることが窺えた。
京都からきた91歳の瀬戸内寂聴さん「やむにやまれず来た。細川氏に情熱を感じる。おだやかな生活を捨てて立ち上がった細川さんを支持する」とエールを送った。
・・・・・・・・・・・・・
その後、私は午後5時半からの池袋東口・宇都宮けんじ街頭宣伝にかけつけた。(写真下=池袋東口)
「ママの時給100円アップ」のタスキをかけた運動員の姿が目にとまった。
応援演説には、市民二人・共産党都議・社民党区議・新社会党区議・緑の党(すぐろ党首)が次々に立った。新社会党区議の福田光一さんは、非正規・失業問題をとりあげ、「働く人のことを考える候補が宇宮さんだ」と訴えると大きな拍手が起きた。聴衆に若者が目立った。
宇都宮氏がマイクを握り最初に語ったのも「貧困と格差」だった。「貧困と格差が大きな社会問題となっているが、とくに女性に現れている。賃金は男性の7割、非正規は5割を超えている。女性の権利向上が重要で、私が知事になったら女性の副知事を登用し、幹部職員も女性を増やす」と語った。そして「今回の選挙は手応えを感じている。善戦ではだめ、勝たなくては。名護市長選の稲嶺当選で沖縄から勇気をもらった。われわれの心意気を示して、安倍暴走にストップをかけよう」と演説を結んだ。
細川陣営・宇宮陣営の選挙戦はともに大きな盛り上がりを感じた。「脱原発」を前面に押し出している細川候補、そして「脱原発」に触れてはいるものの「貧困と格差」問題を前面に打ち出している宇宮候補。2月1日午後10時からは、インターネットで初めて4候補(宇宮・田母神・細川・舛添)の公開討論会が開かれる。これが今後の行方を大きく左右する気がする。(M)
●都知事選:イメージ選挙は本当か 中盤戦突入
毎日新聞 2014年01月31日
東京都知事選(2月9日投開票)が中盤戦に入った。1082万人の有権者と、韓国の国家予算に匹敵する予算規模を持つ東京都の知事選は、どうやら他の選挙とは違う特徴を持つらしい。「イメージ選挙」は本当なのか。なぜそうなるのか。
◇95年の青島氏当選以来変質 「そのつど支持者」がカギ握る
「都民は都政への関心がないんだとつくづく思った」
宮城県知事を3期12年務めた後、2007年の都知事選に立候補した神奈川大の浅野史郎・特別招聘(しょうへい)教授は振り返る。宮城で常に話題になったのは、東京との格差だ。
「みんな東京のようになりたいと意識している。それは宮城が発展してほしいとの思いの裏返しで、つまり県民は宮城のことを考えていた。都民は国の政治には期待しているでしょうが、都政には期待していない。だから実務にたけているよりも、『どれだけ舞台映えするか』と、見た目の格好良さやパフォーマンスが目立つ人が選ばれる」
特に驚いたのは、石原慎太郎元知事の判断で1000億円を出資して設立し、経営不振に陥った新銀行東京に対する反応だ。「資金の元はもちろん都税。宮城だったら間違いなく大騒ぎになる。これだけで知事が辞任に追い込まれてもおかしくない。でも、都民も議会もちょっと騒いで終わってしまった。関心のなさを痛感しました」と振り返る。
政策よりも舞台映え……有権者の選択基準としてはかなり情けない気がするが、北海道大の吉田徹准教授(政治学)は「有権者が政策で選ぶのは理想だが、それはあくまで理想です」と言い切る。
吉田准教授によると政策が争点化するには、争点について(1)有権者がイエスかノーか答えを持っている(2)複数の選択肢が明確に提示されている(3)選択肢の違いを有権者が理解できている(4)選んだ候補者が掲げた政策を実行する信頼感がある--の4条件が必要だ。
ところが「そもそも五輪開催や待機児童解消、高齢者福祉など誰もが政策として賛成する『合意的争点』が多すぎる。政治への信頼感がない今、知事選が4条件を満たすことはかなり難しい」。さらに、都知事は世間の注目度が高く、当選後も何かと強い発言権を持てるため、候補者に特徴と人気を備えた“役者”がそろいやすい。有権者が惑わされるはずだ。
吉田准教授は「都知事に誰がなっても都政は大きくは変わらない。だったら国の政策に反旗をひるがえそうとか、ノーと言えるとか分かりやすいメッセージを出せる候補者を選ぶ傾向にある」と指摘。世界でも大都市は同様の傾向にある。「昨年11月のニューヨーク市長選では、非常に裕福で保守的で権威主義的なイメージの強かったブルームバーグ市長から、一気にたたき上げの超リベラルなデブラシオ市長に代わった。その人の背景やイメージに投票している人は多い」と語る。
都知事選はいつから「イメージ選挙」になったのか。
世論調査を専門とする埼玉大の松本正生教授は「1995年の青島幸男都知事の誕生で、状況が大きく変わった」と説明する。それ以前の89年の消費税選挙、93年の政権交代で有権者たちは自分の投票で社会の枠組みが変わることを経験した。その経験でじわりと進んでいた「地殻変動」が95年の都知事選で一気に爆発したという。同都知事選は、後出しじゃんけん、候補者の知名度の高さ、政党相乗り候補への反発と、現在の状況と相通じるものが多い。さらに青島都知事誕生以降は、他県に多い官僚出身の知事も誕生していない。
55年体制が崩壊した93年以降、支持政党のない人が加速度的に増えた。松本教授らが2005年から実施している全国調査では、選挙がどれだけ注目を集めて関心が高まっても、「支持政党なし」の人が有権者の約7割に上る。「特定の支持政党がないからといって、政治に関心がないわけではない。むしろ政策を見比べるなどまじめに考えている人は多い。わざわざ投票にいく価値はあるか、今回の選挙は何の意思表示になるのか見極めている」。
支持政党を持たなくなった都民にとって青島知事の誕生は、自分の1票の力を再確認する契機となったようだ。
松本教授は選挙にある程度の関心があり投票に行くが、特定の支持政党を持たない層を「無党派」ではなく「そのつど支持」と定義する。「そのつど支持者は、地元の課題に対する選挙には関心がなくても、国政選挙は、国を左右するイベントに参加するぐらいの気持ちで投票に行く。都知事選は地方選挙とはいえ、1995年以降イベント化が進み、国政選挙のような状況です。イベント化された選挙では『そのつど支持』の動向がカギになる」
当然、選挙の戦い方も状況に応じて変化する。都知事選に関わった経験がある選挙プランナーは「都知事選は実は一番お金がかからない選挙だ」と打ち明ける。
通常、衆院選の小選挙区の隅々まで票を掘り起こすには、支持者が通いやすいように事務所を2、3カ所借り、その管理のため私設秘書を長期間雇う。しかし「候補者すら選挙直前に決まる状況では、時間をかけた票の掘り起こしは無理。ポスターだって全掲示板に張る必要はない。それよりは、候補者をどれだけ良く見せるかに金をかけた方がよほど安上がりで効率的」と指摘する。
実際の選挙でも「大統領選のようにやろう」と、イメージ戦略の専門家の助言で候補者に親しみやすい話し方をさせたり、都民の要望をマーケティングして公約に盛り込んだりした。「それでもポスターを大量に刷ったり、事務所を何カ所も開いたりする経費より安い。都知事選で最も必要なのは『企業広報者の素質』です。商品=候補者の良さを説明し、トラブルがあった場合は素早く対応する」
◇「イメージ先行でいい」
それでは今回はどんなイメージが求められているのだろうか。
松本教授は「世論調査をみると、今の全国的な流れは『政治や政局の話はしばらくお休み。まずは経済を立て直す』です。だから安倍晋三首相が靖国参拝をしても、辞任を求めるような大騒ぎにはならなかった。都民も同じです。猪瀬直樹前知事があんな問題を起こさなければ彼でいいと思っていたんですから、都民の気持ちは『え、またやるの?』でしょう。新知事には派手なスター性を求めてはいない」とみる。
前出の選挙プランナーも「消化試合にみえる」と話す。2020年の東京五輪の開会式に誰が知事として立っているかが問題で「その人を選ぶ次の選挙こそが本番だと思っている有権者が多く、盛り上がりに欠けるはずだ」と予測する。
吉田准教授は「今回の中で一番争点になりそうなのは脱原発。少なくとも細川護熙候補を支援する小泉純一郎元首相は、脱原発という分かりやすい対立軸を立てた。でも、今のところそこまでは議論が白熱していない。都民は果たしてその問題を都知事選で問うていいのか悩んでいるようだ」と分析する。
しかし、と続ける。「別に『原発は嫌だ』との思いで、候補を選んでもいい。政策で候補者を選ばなければ無責任だという意見には私は違和感があります。『あの候補者がいい』とか、『やっぱり原発は嫌だ』という自然な感情を否定すれば、政策に関心がなかったり気に入らなかったりすれば投票に行かなくていいという層が増えていくことになりかねない」。たとえイメージ先行でも、自分が一番求めていることを自問し、最も近い候補者を選ぶことが大事らしい。
松本教授は「この人だけは嫌だという基準で、消去法で誰かを選んでもいい。毎回ふさわしい候補は選べないかもしれないが、間違ったら忘れずに次につなげればいい。それが、知事の仕事を監視する力になり、次の選挙に生かされるはずです」と話す。
1票の重さを知っているはずの都民。今回はどんな選択をするのだろう。【田村彰子】
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