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てらまち・ねっと



 一昨日7日の名古屋高裁の判決で、国政選挙の「1票の格差」について、「憲法の投票価値の平等の要求に反する」として、違憲状態とした。
 担当は藤山雅行裁判長。藤山裁判長は以前から行政に関する従来の判例を覆すあるいは新しい判例を出すことで知られ、個人的にも注目していた。

 判決を報道する毎日新聞7日の記事には★≪ 東京地裁時代は裁判長として行政訴訟や医療訴訟を担当し、行政敗訴の判決を度々出して注目された。工事中の公共事業で初めて、小田急線高架化の国の事業認可を取り消す判決(01年)▽東京都の外形標準課税(銀行税)を無効とする判決(02年)▽騒音を理由に首都圏中央連絡自動車道の国の事業認定を取り消す判決(04年)--などがある≫
 
 これらは、このブログでも採りあげてきた判決。
 議会での議員の発言の問題に関する裁判・処分では、基準的なラインとして最高裁大法廷の古典的な判決があって、概ねその考え方が支配しているけれど、昨年藤山裁判長は大法廷判決とは異なる判決を出した。私たちからすれば当然な判決だけど、なかなかそういう裁判官はいない。

 「1票の格差」にかかる高裁裁判長といえば、2013年に「戦後初の選挙無効の判決」を出した筏津裁判長もしっかりした人。
 その判決のことと裁判長のことをブログに書いたら、某紙の記者のめにとまり、現地取材までしての全国紙の夕刊の特集記事となった。
 
 ◎ 2013年3月26日 ブログ ⇒ ◆「1票の格差」・戦後初の無効判決/筏津裁判長のこと/政治の放置、限界/今日は全国7つの裁判所で
 ◎ 2013年4月6日 ブログ ⇒  ◆昨日の毎日新聞(夕刊)「特集ワイド」/私のコメント関連が50行以上の記事に、写真付き

 もともと「1票の格差」のことはこのブログでは時々記録していた。例えば次も。
 ◎ 2015年11月26日 ブログ ⇒ ◆2014年衆院選 1票の格差「違憲状態」 最高裁大法廷/11月25日判決にリンク/3人「違憲」意見

 元に戻って、一昨日の名古屋の判決に関しては今日のブログには次を記録しておく。
 代理人弁護士は「上告しないことで、この判決を確定させる考えもある」と話した、とも報道されている。

●2倍未満に縮小、どう評価 「1票の格差」19日から高裁判決/日経 2018/1/14
●1票の格差 去年の衆院選で初「違憲状態」/東海テレビ 2/07
●一票の格差で名古屋高裁「違憲状態」 去年の衆院選/テレ朝 2/07
●<1票の格差>違憲状態判決「奇跡に近い」/毎日 2月7日
●一票の不平等「違憲状態」 昨年衆院選で初判断/東京 2月8日

 なお、昨日の午前の名古屋での別件の弁護団会議では、「1票の格差」訴訟の原告のお一人もおられた。
 ともかく、この「別件」については、記者クラブで大きく発表するように段取りしたい。

 ところで今朝の気温はマイナス4度あたり。

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●2倍未満に縮小、どう評価 「1票の格差」19日から高裁判決      日経 2018/1/14
 最大1.98倍の「1票の格差」を解消しなかった2017年10月の衆院選は憲法違反だとして、弁護士グループが選挙無効を求めた計16件の訴訟の判決が、19日の福岡高裁那覇支部から順次言い渡される。区割りの見直しで格差が2倍未満に縮まった点をどう評価するかが最大の焦点となる。

 訴えを起こしたのは2つの弁護士グループ。人口比例に基づかない定数の配分が投票価値の平等に反して違憲だとして、選挙無効を訴えている。

 最高裁は、最大格差が2.30倍だった09年衆院選を「違憲状態」とした判決で、都道府県ごとに1議席を割り振る「1人別枠方式」が格差の要因になっていると指摘。12年、14年の衆院選も「違憲状態」と結論づけ、国会に是正を強く促した。

 厳しい司法判断を受け、国会は17年7月施行の改正公職選挙法で、小選挙区の定数を「0増6減」し、19都道府県の97選挙区で境界線を見直した。その結果、最大格差は1.98倍に縮小。1994年に小選挙区比例代表並立制が導入されてから初めて2倍を下回った。

 高裁判決では、こうした国会の取り組みや格差是正の成果をどれだけ前向きに捉えるかが焦点となる。弁護士グループ側は「人口比例の定数配分は実現していない」「主権者の声が正しく反映されていない」などと主張している。

 一方、被告の選挙管理委員会側は「国会はできる限りの検討を尽くして格差の是正を達成した。投票価値の平等に反しないのは明らかだ」と反論。合憲と訴えている。

 選挙無効訴訟は一審が高裁となる。19日に高裁那覇支部で最初の判決があり、3月までに16件の判決が出そろうとみられる。年内にも最高裁の統一判断が出る見込みだ。

 17年10月の衆院選では、議員1人当たりの有権者数が最も多かったのが東京13区(約47万2千人)で、最も少なかった鳥取1区(約23万8千人)の1.98倍だった。

●1票の格差 去年の衆院選で初「違憲状態」     東海テレビ 02/07 18:14
2017年の衆院選をめぐる「1票の格差」訴訟で、初の「違憲状態」の判断。
この裁判は、2017年の衆院選で、東海3県の24小選挙区全てについて、1票の格差が最大1.98倍となっていることから、選挙は無効として、弁護士グループが訴えを起こしていたもの。

7日の判決で、名古屋高裁は、1票の格差について、「憲法の投票価値の平等の要求に反する」として、違憲状態と判断した。
一方で、国会で格差是正に向けた取り組みが行われているため、「憲法違反」とまでは言えないとして、選挙無効の訴えは棄却した。
2017年の衆院選の1票の格差をめぐって、「違憲状態」との判断が出たのは、これが初めてとなる。

●一票の格差で名古屋高裁「違憲状態」 去年の衆院選     テレ朝 2018/02/07 18:44
 いわゆる「一票の格差」を巡る裁判で、「違憲状態」とする判決です。
 この裁判は、東海3県の住民らが去年10月の衆院選は東海地方の選挙区で一票の格差が是正されておらず、憲法違反であるとして選挙の無効を訴えていたものです。名古屋高裁は7日の判決で請求を棄却し、選挙は有効としたものの、「違憲状態」と判断しました。去年の衆院選に関して「違憲状態」とする判決は、名古屋高裁が初めてとなります。

●<1票の格差>違憲状態判決「奇跡に近い」    毎日 2月7日22時50分 
 昨年の衆院選小選挙区の「1票の格差」を巡る一連の訴訟で、名古屋高裁が7日、区割りを「違憲状態」と初めて判断した。原告側の弁護士グループは判決後の記者会見で「司法が役割を果たした」と評価した。

 一連の訴訟は二つの弁護士グループが全国で16件起こした。今回は11件目の判決で、升永英俊弁護士のグループが提訴していた。

 名古屋市内で記者会見した升永弁護士は、違憲状態判決を「奇跡に近い」と表現した。これまで10件の判決は、区割りで人口比をより正確に反映できる「アダムズ方式」の導入を国会が決めた点を評価して「合憲」としていた。升永弁護士は「昨年の衆院選はアダムズ方式への過渡期ではあるが、実際に格差はあった以上、違憲だということを判決は明確にした」と話した。

 伊藤真弁護士も「政治に過度な配慮やそんたくをすることなく、司法がその役割を果たした」と述べた。その上で「地方でも1票の価値が低い所があり、都市と地方の問題で考えてはいけない。日本のどこに住んでいても『1人1票』を持たなくては」と強調した。

 また、浜島将周弁護士は「(都道府県にまず1議席ずつ配分する)1人別枠方式の影響が残っていると判断されたことは評価する。上告しないことで、この判決を確定させる考えもある」と話した。【横田伸治】

 ◇国会の姿勢、疑問視
 これまでの「合憲」判決は昨年衆院選が最大格差1.98倍と「2倍未満」を初めて実現した点を評価した。名古屋高裁判決は逆に「切ってはいるものの極めて2倍に近い」と負の評価をして「違憲状態」と結論した。国会の努力は不十分との認識をにじませた。

 名古屋高裁は判決文で、重ねられた最高裁判決が「憲法上、議員1人当たりの有権者数ができる限り平等に保たれることを最重要の基準とすることが求められる」とした点を挙げ、「できる限り」に傍点を付けて強調し、「最大格差の数値を画一的な判断基準としていない」とした。

 国会がアダムズ方式の導入を決めながら、選挙制度の安定性などを理由に区割り作業を先送りしたことにも言及し「その理由は、投票価値の平等の判断にさしたる意味を持たない」と突き放した。また、違憲状態判断をした2011年の最高裁判決以降、6年余の間に制度改正を重ねながら1人別枠方式が完全に廃止されていないとして、「国会に最高裁判決を尊重する意思があったか疑問が生じる」とも指摘した。

 16件の訴訟のうち半数を超える10件が合憲となる中、今回の判決は一石を投じる形となった。残り5件の判決が出そろった後、最高裁が統一判断を示すことになる。【金寿英】

 ◇行政敗訴判決、度々出し注目…藤山裁判長
 担当した藤山雅行裁判長は名古屋家裁所長などを経て、2015年から名古屋高裁部総括判事を務める。

 東京地裁時代は裁判長として行政訴訟や医療訴訟を担当し、行政敗訴の判決を度々出して注目された。工事中の公共事業で初めて、小田急線高架化の国の事業認可を取り消す判決(01年)▽東京都の外形標準課税(銀行税)を無効とする判決(02年)▽騒音を理由に首都圏中央連絡自動車道の国の事業認定を取り消す判決(04年)--などがある。
 現在64歳で4月に定年を迎える。

●一票の不平等「違憲状態」 昨年衆院選で初判断      東京 2018年2月8日 朝刊
 「一票の格差」が最大で一・九八倍だった昨年十月の衆院選は、違憲だとして、愛知、岐阜、三重の有権者が選挙の無効(やり直し)を求めた訴訟の判決が七日、名古屋高裁であった。藤山雅行裁判長は「一人別枠方式の構造上の問題点の抜本的解消に至っていなかった」として、不平等は「違憲状態」だったと判断した。選挙無効の請求は棄却した。

 昨年の衆院選を巡っては、同様の訴訟が全国十四の高裁・高裁支部に計十六件起こされた。これまでの十件はすべて「合憲」の判断だった。

 藤山裁判長は判決理由で、昨年の衆院選が、小選挙区の定数を「〇増六減」する区割り変更を経て、実施されたことに言及。一九九四年の小選挙区制導入後、初めて最大格差が二倍を下回ったが、「極めて二倍に近く、容易に看過しえない」と指摘した。

 区割りの変更には、各都道府県にあらかじめ一議席を配分してから残りを人口比例で割り振る現行の「一人別枠方式」に代えて、人口比をより反映する「アダムズ方式」を導入することが明示された。

 藤山裁判長は、アダムズ方式の導入が二〇二〇年の国勢調査後になることに触れ、「アダムズ方式による(定数の)再配分が行われるまでは、一人別枠方式の構造上の問題は解消されない」と強調。昨年の衆院選は「一人別枠方式を含む都道府県への定数配分に一部の修正を重ねた方法にとどまる」と指摘した。

 一一年三月の最高裁判決で「一人別枠方式」廃止の必要性が促された点にも触れ、藤山裁判長は「国会には判決を尊重する意思があったか否かにも疑問が生じる」とした。最大格差を二倍以下に縮小したことやアダムズ方式導入を決めたことは評価し、選挙無効は認めなかった。

 昨年の衆院選は、十九都道府県で選挙区が見直され、三重や青森など六県で定数が一つ減った。有権者数が最多の東京13区は最少の鳥取1区の一・九八倍だった。

 <衆院選一票の不平等訴訟> 国会議員1人当たりの有権者数が選挙区ごとに異なり、1票の価値に不均衡が生じるのは憲法に反するとして選挙無効を求める訴訟。不平等が著しい場合は「違憲状態」、合理的な期間内にその状態が是正されなければ「違憲」となる。

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