昨日のブログで、「連帯保証制度/奨学金破産、過去5年で延べ1万5千人 親子連鎖広がる(朝日)。猶予切れる2019年春以降はさらに続出か。進む回収強化/保証人と連帯保証人の違い」というタイトルで、連帯保証等の問題、奨学金の返済の問題などを見た( ⇒ 2月15日)。
この連帯保証人制度も基本的には「無し」になる。それは、昨年2017年5月に「民法」が120年ぶりに大改正されたことによる。 施行は再来年2020年4月1日しされた(12月15日閣議決定)。
自治体実務に与える影響は大だから、どこがどう変わるか認識を高めないといけない。
そこで、今日は次を記録し、各専門のご意見のうちの各所にマーキングして、時々確認できるようにしておこう。
●民法(債権関係)改正の実務への影響vol.1「民法(債権関係)の改正法は、いつ、適用される?」/誰も知らない教えてくれないアウトソーシングBPO 2017年4月20日
●民法大改正~自治体実務に与える影響~/全国市町村国際文化研修所 JIAM 2017.10.24
1.民法の改正は自治体には関係ない!?
2.消滅時効
3.時効の更新・完成猶予
4.保証人の保護
5.民法の改正は自治体に大いに関係あり!!
●官民連携・委託と民法改正/政策を見る眼 2017.7.7 宮脇淳
第 1 は、短期消滅時効の廃止し、一定事項の消滅時効を 1 年から 5 年に延長。
第 2 は、法定利率引下げと変動金利制度の導入。
第 3 は、事業融資に対する個人保証を原則無効とする制度の導入。
第 4 は、敷金関係の判例法理の明文化。
第 5 は、不適合担保責任の見直し。
●民法改正と PPP①/PPPニュース No.6 2017年6月25日/民法改正の全体像をまず理解する必要
●民法改正と PPP②/PPPニュース No.7 7月10日/地方自治体の官民連携の業務に大きな影響を与える「請負」規定の見直し
●民法改正と PPP③/PPPニュース No.8 7月25日/時効制度の見直し
なお、今朝の気温はマイナス2度あたり。それなりの格好でウォーキングへ行こう。
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●民法(債権関係)改正の実務への影響vol.1「民法(債権関係)の改正法は、いつ、適用される?」
【NOC】誰も知らない教えてくれないアウトソーシングBPO 2017年4月20日 6/30修正 (12/15追記)
債権関係の民法は、主に、契約に関する私法の基本ルールです。この民法の改正法案は、政府案(閣法)の「民法の一部を改正する法律案」として、・・・(略)・・・
2017年1月に招集された第193回国会で、4月14日に衆議院本会議で可決、5月26日に参議院本会議で可決、6月2日に公布となりました。
2020年4月1日に施行されます(2017年12月15日閣議決定)。
法務省は、施行までの間に、十分な周知活動を行うとしています。
・・・(略)・・・
●民法大改正~自治体実務に与える影響~
全国市町村国際文化研修所 JIAM 2017.10.24 執筆者:徳島県小松島市法務監・弁護士 中村 健人
1.民法の改正は自治体には関係ない!?
さて、「民法」の大改正ですから、民間企業をはじめとする民間の法律実務に及ぼす影響が大きいことは想像がつきやすいだろうと思います。では、自治体実務に対する影響はどうでしょうか?
実は、今回の民法改正は並大抵のものではなく、自治体実務にも広範囲にわたって影響を及ぼすと考えられます。
以下においては、自治体実務に影響を及ぼすと考えられる改正項目のうち3つを取り上げ、具体例を交えながらご紹介いたします。
2.消滅時効
現在の民法では、一般の債権の消滅時効期間は10年とされています。ただ、これとは別に「短期消滅時効」という制度があり、消滅時効期間が1年、2年又は3年とされている債権が存在します。
そして、自治体の有する債権の中で、この短期消滅時効が適用されるものがあるのです。
その代表例が上水道料金で、時効期間は2年とされています。
ところが、今回の民法改正により、これらの短期消滅時効制度はすべてなくなります。
では、上水道料金の消滅時効期間は何年になるのでしょうか。
答えは、「5年」です。
10年ではないのかと思われるかもしれませんが、今回の民法改正では、短期消滅時効制度がなくなるだけでなく、一般の債権の消滅時効期間も原則5年に変わるのです。
3.時効の更新・完成猶予
「時効の更新」は、これまで「時効の中断」と呼ばれ、「時効の完成猶予」は、これまで「時効の停止」と呼ばれていたもので、その実質的な内容は同じです。
しかし、関連規定も含めてこれまでと全く同じというわけではありません。
本コラムで特に触れておきたいのが、時効の完成猶予について、権利についての協議を行う旨の合意が書面でされたときは、その合意があった時から原則1年間時効が完成しないという規定が新設されることです。
これにより、自治体としては、長期間手が付けられずに時効が迫っている債権、例えば公営住宅の未納家賃や住宅新築資金等の未償還貸付金について、時効の更新のためだけに訴えを提起するといった事態を避けられる可能性があります。
具体的には、債務承認(時効更新事由)まではしないけれども支払いに応じる余地のある債務者について、とりあえず債務の支払について協議しましょうといった話にして、その旨の合意書面を作成すれば、1年間は交渉の時間を確保できることになります。
この点については、履行延期の特約・処分(地方自治法施行令171条の6)による対応も考えられるところですが、債務者が無資力又はこれに近い状態にあるとき等の要件があって、債務者の資力の確認等に時間がかかってしまい、その間に時効が完成してしまうおそれがあります。
これに対して、権利についての協議を行う旨の合意であれば、書面を作成する必要はありますが、履行延期の特約・処分のような要件はなく、活用の幅は広いと考えられます。
4.保証人の保護
改正民法では、個人を保証人として根保証契約を締結する場合、保証の極度額の定めがなければその効力を生じないこととなりました。
根保証契約とは、特定の債務(住宅ローンなど)を主たる債務とするのではなく、一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約をいいます。極度額とは、いわゆる上限額です。
自治体の場合、根保証契約の典型例は、公営住宅の入居の際の連帯保証人との間における連帯保証契約です。
公営住宅家賃の滞納額は、初めから金額が決まっているわけではなく、滞納が続く限り金額が膨らみ続けます。つまり、このような債務を保証する契約は根保証契約に該当するのです。
したがって、自治体としては、改正民法下で公営住宅に関して連帯保証をとる場合、極度額(上限)を定める必要があり、これを定めなければ連帯保証契約が効力を生じない、すなわち、連帯保証無しの契約になってしまうのです。
では、極度額(上限)をどのように定めるべきかというと、改正民法では、この点に関する規定はありません。
よって、各自治体において、相当と認められる極度額(上限)を設定する必要があります。
この点に関する考え方は主債務の性質や内容によって異なりますが、公営住宅についていえば、少なくとも家賃の滞納が始まった時点から明渡しまでに必要な期間分は保証してもらう必要がありますので、この点を勘案したうえで極度額(上限)を設定することになるでしょう。
5.民法の改正は自治体に大いに関係あり!!
本コラムでは紙幅(電子媒体でこのようにいうかどうかはともかく)の都合もあって詳細を述べることはできませんが、 その他の改正項目で自治体実務に影響を及ぼすと考えられるものとして、売主・請負人に対する責任追及、契約解除・危険負担、連帯保証人に対する請求の効果、賃貸人・賃借人の義務、法定利率、意思表示の効力発生時期、免責的債務引受などが挙げられます。
より大きな観点でいえば、今回の民法改正を踏まえ、自治体であっても、①契約管理、②時効管理、の2つの観点から、これまでの実務を見直す必要があります。
具体的な見直し方法については他日を期す所存ですが、本コラムが、読者の皆様にとって、民法改正を踏まえた自治体実務の見直しのきっかけになれば、筆者にとってこれに勝る喜びはありません。
●官民連携・委託と民法改正
政策を見る眼 No.39 2017. 07. 07 宮脇 淳 北海道大学 大学院法学研究科・公共政策大学院 教授
5 月 26 日、民法の一部を改正する法案が第 193回国会で成立し、公布の日から起算して 3 年を超えない期間の範囲で政令が定める日から施行されることとなった。
今回の改正は、
①短期消滅時効制度を廃止し、一定事項の消滅時効を 1 年から 5 年に延長、
②法定利率を年 5%から 3%に引下げるとともに変動利率制度を導入、
③保証人の保護強化を図るため事業融資に対する個人保証は原則無効とする制度を導入、
④敷金は原則返還とする敷金関係の判例法理を明文化、
⑤瑕疵担保責任について、欠陥に伴う修理や代金減額も請求できるとする契約責任説を採用、
⑥定型約款の新設など、民法の基本的部分を含む広範多岐にわたる内容となっている。
委託方式等による官民連携・民間化が拡大する中で、地方自治体関連の業務においても、今回の改正は密接に関係することから、その要点を整理しておくこととする。
第 1 は、短期消滅時効の廃止である。改正前の民法では、小売商、飲食業、弁護士報酬、診療報酬等いくつかの類型に分け 1~3 年で債権が消滅する短期消滅時効制度を導入してきた。今回の改正では、こうした業務区分による債権の消滅時効期間の設定について、経済社会の変化とともに合理的根拠を見出すことが難しいとの判断から、以上の区分を廃止し、他の債権と同様に原則 5~10 年で時効消滅する制度に改められている。これに伴って、督促等による時効停止の効力が生じる期間も延長されている。
第 2 は、法定利率引下げと変動金利制度の導入である。利率は約定利率と法定利率に分けられる。約定利率とは、法律の範囲内で契約によって利率を当事者間で決めることを意味する。しかし、同じ利率でも損害賠償請求権の利率等は、予め当事者間で合意しておくことが難しい性格のものであり、法律で設定しておく必要がある。これを法定利率という。
今回の改正では、この法定利率を従来の 5%から 3%に引下げるとともに、市場金利との大きなかい離の発生を防ぐために 3 年間を 1 期とした金利の見直しを可能とする変動金利制を導入している。これらの見直しは、相対的に高い金利の場合、裁判が長引くことで損害賠償を請求する方が有利となる実態があることにも配慮したものである。
第 3 は、事業融資に対する個人保証を原則無効とする制度の導入である。事業融資に対して個人が保証人となれば、個人に予期困難な負担を求める場合も生じ得ることから、原則無効とする制度に改められている。ここで「原則」としているのは、保証意思の確認が公証人によって行われ、公正証書の作成が行われた場合などは有効とするためである。
第 4 は、敷金関係の判例法理の明文化である。マンション等の賃貸借契約において、借主が払う敷金の位置づけが明確ではなく、紛争となることも少なくない。
そのため、改正法では過去の裁判例をもとに賃貸借契約の終了に伴って部屋の引き渡しが行われた場合、貸主は敷金を借主に原則返還しなければならないとしている。もちろん、借主に未払いの金銭債務がある場合には、貸主は敷金から当該額を差し引くことができるという規定も追加されている。
第 5 は、不適合担保責任の見直しである。購入した商品や委託による業務に欠陥があった場合、取り替えあるいは修理・補完してもらうことを可能にする規定を新たに設けている。従来の民法では契約解除、損害賠償請求の規定のみであった。そのため、当事者間で契約の趣旨に基づき一定の品質を満たしていない場合には、売主は契約上の責任を負い、買主は契約の解除、損害賠償請求に加え、修理や代金減額も請求できるよう改められている。なお、「瑕疵」に変えて「不適合」が用いられている。
この不適合担保責任は、とくに地方自治体の官民連携等で留意すべき点となる。
*バックナンバーは http://www.trc.co.jp/soken/ にてご覧いただけます。
発行:株式会社図書館総合研究所 (担当:TRC セミナー「まちの課題を解決する図書館」事務局 島泰幸)
●民法改正と PPP①・・改正全体像
PPPニュース 2017 No.6 (2017 年6月 25 日)
民法の一部を改正する法案が5月 26 日、今国会(第 193 回国会)で成立し、公布の日から起算して3年を超えない範囲で政令が定める日から施行される。
今回の民法の一部改正は広範多岐にわたっており、120 年振りともいわれる大改正であり、
①短期消滅時効の制度を廃止し、一定事項の消滅時効が1年から5年に延長
②法定利率を年5%から3%に引き下げるとともに変動利率の制度を導入、
③保証人の保護強化を図るため、事業融資に対する個人保証は原則無効とする制度の導入、
④敷金は原則返還しなければならないとする敷金関係の判例法理の明文化、
⑤瑕疵担保責任について欠陥商品には修理や代金減額も請求できるとする契約責任説を採用、
⑥定型約款の新設等となっている。
官民連携等が広範化する中で、地方自治体の業務においてもこうした民法改正の全体像をまず理解する必要がある。 ・・・(略)・・・
●民法改正と PPP②・・請負制度の見直し PPPニュース No.7 (2017 年7月 10 日)
前回は、民法の一部を改正する法の成立に伴い、改正となる主な事項について整理した。今回は、地方自治体の官民連携の業務に大きな影響を与える「請負」規定の見直しについて掘り下げる。今回の改正後の民法では、購入した商品や委託による業務に欠陥があった場合、取り替えあるいは修理・補完してもらうことを可能にする制度の規定を新たに設けている。
改正前の民法では、契約解除あるいは損害賠償請求の規定のみであったが、当事者間で契約の趣旨に基づき一定の品質を満たしていない場合、売主は契約上の責任を負い、買主は契約の解除、損害賠償請求に加え、修理や代金減額も請求できることに改正している。なお、瑕疵の言葉がなくなり、「不適合」と表現される。
以下では、この点について掘り下げる。
請負人の担保責任については、民法 636 条「請負人が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない仕事の目的物を注文者に引き渡したとき」及び「引き渡しを要しない場合にあっては、仕事が終了した時に仕事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないとき」と定める債務不履行責任の特則として位置づけ、「注文者は、注文者の供した材料の性格又は注文者の与えた指図によって生じた不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることはできない。
ただし、請負人がその材料又は指図が不適合であることを知りながら告げなかったときは、この限りではない」としている。
以上の規定は、目的物に不適合があった場合でも注文者の供した材料の性格又は注文者の与えた指図によって生じた不適合を理由として、注文者が履行の追完請求、契約の解除等を行うことができないことを規定している。このため、本規定の反対解釈として、注文者の供した材料の性格又は注文者の与えた指図によって生じたものではない不適合については、注文者が履行の追完請求、契約の解除等の権利を行使することができる意味となる。
さらに、以上の権利行使に関して 637 条では、請負人が引き渡し又は仕事の終了時にその不適合を知り又は重過失で知らなかった時を除いて、注文者がその不適合を知った時から1年以内に請負人にその旨を通知することが必要となる。
改正前の民法では、瑕疵の修補、損害賠償の請求は、契約の引き渡し時から1年以内に通知しなければならないとしてきたが、この「引き渡し時」から「不適合を知った時」に改正されている。この改正の意味は、「不適合を知る」ことが引き渡しの時からかなりの時間を要する一定規模以上の施設建設・補修やソフト的な業務の場合に大きな意義を持つことになる。なお、報酬の減額、損害賠償請求、履行追完の債権については、不適合の事実が発生した時等から10年間、権利を行使できることを注文者が知った時から5年間で消滅時効(166 条)が適用される。
但し、債務の履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして不能な時、あるいは請負人は注文者に不相当な負担を課するものではない時、注文者が請求した方法と異なる方法による追完が認められる等の修補請求権の限界が存在する。
建物その他の土地の工作物の請負人が、履行の追完、報酬の減額、損害賠償の責任を負わず契約の解除を受けない旨の特約が結ばれている場合でも、請負人が知りながら告げなかった事実に関しては、請負人はその責任を免れることはできない。
加えて、請負人が注文主に目的物を引き渡した時以後に目的物が当事者双方の責任に帰することができない事由によって滅失あるいは損傷した場合は、注文主は滅失あるいは損傷を理由として履行の追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、契約解除を行うことができず、代金支払いを拒むこともできない等の規定にも留意する必要がある。
●民法改正と PPP③
PPPニュース No.8 2017年7月25日)
本ニュース①・②では、民法の一部を改正する法の成立に伴い、地方自治体の官民連携の業務に大きな影響を与える請負規定の見直しについて掘り下げた。今回は、時効制度の見直しについて取り上げる。
第1は、消滅時効の援用権者の明確化である。時効の総則と消滅時効に関する事項が、大きく改正されている(147 条~)。周知のとおり時効には、取得時効と消滅時効がある。このいずれにおいても、当事者が時効による効果を主張する「援用」を行わなければ、裁判所は時効によって裁判を進めることはできない。
しかし、従来の民法規定では、特に消滅時効において援用を行える当事者の範囲が不明確であり法的争点となることが多かった。このため、従来の判例を踏まえ、当事者の範囲を明確にする改正が行われた。具体的には、民法 145 条「当事者」の内容を「消滅時効にあたっては、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含む」としている。
第2は、時効の中断と停止の規定を見直し、時効の完成猶予及び更新の制度に再構成したことである。時効の完成猶予は従来の停止に該当し、更新は中断に該当する制度となっている。時効の完成猶予及び更新を、①裁判上の請求等による場合、②強制執行等による場合、③仮差押え等による時効の完成猶予の場合、④催告による時効の完成猶予の場合、⑤協議を行う旨の合意による時効の完成猶予の場合、⑥承認による時効の更新の場合、⑦天災等による時効の完成猶予の場合に分け再構成している。
第3は、消滅時効の起算点の見直しとそれに応じた時効期間の設定等である(166 条)。具体的には、消滅時効の起算点を、①主観的起算点(債権者が権利を行使することができることを知ったとき)と、②客観的起算点(権利を行使することができるとき)に分けて、前者については起算点から5年間行使しないとき、後者では起算点から 10 年間行使しないときに時効により消滅するとしている。
地方自治体業務との関係では、短期消滅時効が廃止1となっているため、公営事業としての水道事業・病院事業、公立教育機関の債権類も原則5年の消滅時効が適用されることになる。なお、地方自治体に関しては、債権発生時から権利行使が可能と知っていることが原則となるため、5年の消滅時効が基本とされる。
第4は、人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権は、権利を行使できるときから 20 年間で消滅するとし、10 年間の基本原則に比べ期間を長く設定し、不法行為の損害賠償請求権の消滅時効期間と一致させている。しかし、被害者又はその法定代理人が損害および加害者を知った時から5年間で消滅時効により消滅するとしており、この点では一般の債権の主観的起算点による消滅時効と一致させている。なお、以上の消滅時効については経過措置が設けられている。
最後に、地方自治体の請負事業との関係で、請負人の資金繰りを確保するため請負代金債権について譲渡が行われる場合がある。地方自治体の公共事業標準請負約款では、承諾を得ないで行う請負代金債権譲渡を禁止する条項がある。しかし、今回の民法改正(466 条)では、当事者が債権譲渡を禁止・制限する譲渡制限の意思表示をしたときでも、債権譲渡の効力自体は妨げられないとした。
但し、譲渡制限の意思表示を知り、又は重大な過失で知らなかった債権の譲受人、その他の第三者に対しては、債務者はその債務の履行を拒むことができるほか、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもってその第三者に対抗することができるとしている。
今回の民法改正は、広範かつ根本的な面に及ぶ内容となっており、地方自治体の日常業務、政策法務においても十分留意し対応する必要がある。
1 改正前の民法では、小売商、飲食業、弁護士報酬、診療報酬等いくつかの類型に分けて 1~3 年で債権が消滅する短期消滅時効制度を導入してきた。しかし、こうした業務区分による債権の消滅時効期間の設定について、経済社会の変化とともに合理的根拠を見出すことが難しい状況から、以上の区分は廃止された。
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