tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

東京ウェーデルン(17)

2007-03-12 19:53:47 | プチ放浪 山道編
「片足ウェーデルンはできる?」
ぼくは、ゲレンデの中央に集まったみんなに聞いた。3人づつの2チームでトレイン(スキーヤーがスペースを空けずに前後につながって滑ること)をしようと思ったのだ。自信が無いのか、ヒロコさんは気弱げに目をそらした。こればかりは、普段、積極的に片足ですべる練習をしてなければ難しい技だ。そこで、自身満々のワタナベくんを先頭に、イズミさん、コスギくんのチームでトレインをトライしてもらうことにした。かれらのすべるラインに、ボーダーや修学旅行生が入ってくるとあぶないので、それ以外の人は、3人を挟んで林の反対側をガードしながらすべることにした。はじめは下から静止して撮るが、カメラの横を通り過ぎた時点ですべって追っかけてビデオを撮る。ただし、滑りながらの撮影は危険なのでカメラはぼくが担当することにした。前方をほとんど見ずに、ビデオカメラの液晶画面を見ながらすべることになる。そのためには、ぼくの前にもガードが必要だった。ヒロコさんがその役割をはたしてくれた。前方に障害物があると声を出して追っ払いながら、ぼくにも注意を促してくれる。途中、何回か3人の姿がビデオカメラのフレームからはみ出してしまったが、さほど手ブレを起こすこともなく3人の片足ウェーデルンをビデオのフレームに収めることができた。そして、3人は期待通り息の合ったきれいなすべりを見せた。ハリウッド映画のラインダンスのように、次々にターンを決めていくシーンや、3人が同時にそろってターンをするシーンなど、ねらっていた絵が撮れた手ごたえを感じていた。ぼくはスキーヤーよりも、カメラマンの方に火がついてしまったようだ。
その後、2人のチームでの自由滑降のトレインや、コブでの様ざまなジャンプ、6人そろってのブーツを中心にしたプロペラターンなどをビデオを撮っていると、ゲレンデで目立つのか、ぼくらのすべるラインにはだれも入ってこなくなった。修学旅行の男子高校生達を教えていた女性のインストラクターは、コースが交差した場合に生徒が危ないので、はじめの頃はこちらをにらみつけていた。しかし、ぼくが<ゴメンね>のサインを送ると、ビデオを撮っている時はこちらを邪魔をしないように気を使ってくれるようになったのだ。そして、ぼくらが滑っていたラインの脇にスノーボーダーなどのギャラリーが集まりだした。すべっていると、ギャラリーから賞賛の声がかかる。悪い気はしない。