tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

ジャック・T・モイヤーが愛した三宅島(3)

2007-11-14 20:11:39 | プチ放浪 海沿い編

先日紹介した三宅島のナチュラリストsuggerさんからコメントをいただきました。イルカに出会えたこと以上に感激しています。彼女のコメントを読んで、三宅島での感動がまたこみ上げてきました。

11/11(日) 御蔵島 天候 雨 水温 24℃ うねり 波2~3m

たかが海豚じゃねーかよ。色彩的にウミブタよりもウミウシの方がずっとマシ、なんてイルカ・スイムをする前は思っていた。なんでウミブタにヒーリング能力があるんだ?イルカ・スイムをしたと書いてあるホームページやブログは、どれもこれもイルカに会えた感動で舞い上がってしまっているような印象だ。だから冗談じゃねーよと読む気も起こらなかった。まあ、高いツアー代金を払ってるからしょうがねーか。ヘタすりゃあ、安い海外のリゾートダイビングができそうなツアー料金だから自己満足でもしなければやってられないだろうと。イルカがなんぼのもんじゃいと。

朝の8時に指定された坪田漁港につくと、そこにはDOLPHIN CLUBやら、べたなぎやら数台のワゴンが停まっていて、ドライスーツを着た人たちはみんなで海を茫然と見ていた。海は昨日よりも海はうねりがさらにひどく、時折、3mの高さの防波堤を超えて波が押し寄せてくる。沖に出れば全員船酔い必至とのことだ。船は御蔵島の波の穏やかな場所を選んで停めるから、そこにイルカがいなければドルフィン・スイムは空振りということに。そうした条件付の出港ながら、その日、集った9人全員がその小さな漁船に乗りこんだ。
桟橋を過ぎて消波ブロックを出た瞬間から、船は遊園地のアトラクションのように上下左右に揺動。しかし、事前に酔い止めをもらってしっかり飲んでいたぼくは、大荒れの海のクルージングをそれなりに楽しむことができた。波をかき分け50分、御蔵島の島影に到着。途中で雨が上がり、一瞬ではあるが晴れ間も見えてくる。天気は急速に回復に向かっているのだ。だが、海は悪くなる一方で、今晩の八丈島行きの船は欠航らしい。御蔵島の周り、波はやや収まり1~2m。それでも、船べりをしっかりつかんでいないと振り落とされそうだ。船上で片耳にピアスが光る笑顔の素敵な女性インストラクターによるインストラクションがあって、海へのエントリーとエキジットのやり方の説明がある。
島の周囲をゆっくり流していて、漁船の舳先に走る黒い影に船長が入水せよの合図。イルカたちを驚かさないようにボートの船尾から順番にぽちゃりと水中へ降りていくと、そこに彼らがいた。かなり、好奇心の強い奴らで、こっちがジャックナイフなどで水中に繰り出すと、じゃれてそばに寄ってくる。野生動物がえさをねだるわけでもなく、もちろん、捕食が目的でもなく、こっちを恐れずに遊びに近づいて来てくれる。その行為は、彼らの友好の意思の表れといか言いようがない。たぶんこの感動は、ジャック・マイヨールが言うように人間とイルカはかつて共生していた時代があり、その古来の記憶が呼び起こされるからなのかもしれない。イルカたちは僕らのしぐさに反応して、いろんなしぐさで応答してくれるのだ。しかも、手を伸ばせば届きそうなほど近くで。
5mmのツーピースのウェットスーツに対して、3.5kgしかウェートをつけていなかっため、なかなか、深くまで潜ってはいかれない。ジャックナイフに失敗して、水深1mぐらいのところで必死にもがいているぼくをペアのイルカが覗き込んでいく。達者な泳ぎですぐ真横を通り過ぎるイルカたちとたまに目が合うのだが、頭の両側に余りにも離れてついている彼らの目では一体どんな風に見えるのだろう。視力は人間ほど良くはなく、しかも近視のようだが、音響的な眼で見ているのかも知れない。
この伊豆諸島のイルカ・スイムにはリピーターが続出というのもうなずける話だ。親しくなったイルカたちに、どうしてもまた逢いたくなってしまう。野生動物と心の交流ができた貴重な経験だった。とにかく、ウミブタはかわいい。恋をしてしまいそうだった。

イルカにはエコロケーションという驚くべき音波探知能力があり、対象がどのようなコンディションかということまで理解できるらしい。そういう特殊能力は置いておいても、イルカと一緒に泳ぐことで自閉症やうつ病などを治療するイルカ療法(イルカ・セラピー、イルカ・ヒーリング)は世界中で注目されているようだ。アクア・セラピーという擬似無重力の水の中で過ごす癒しの効果も伴う。こうした精神障害を持った人に対する治療効果ばかりか、最近ではガンや交通事故の後遺症など、肉体的な病気に関しても効果があるのではと期待されている。ってか、こんな能書き以上に、実際にイルカと泳いだ感動は深かった。
考えてみれば、僕の子供の頃の動物アイドルはフリッパー。そう、イルカだった。ディズニーの脱線あしか騒動なんて映画もあったけれど、1966年からテレビで放映された「わんぱくフリッパー」に出てきた賢いイルカを今でも覚えている。フリッパーの「ケケッケ・・・・・・」と鳴くのは非常に印象的だった。小さい頃にあこがれたイルカたちにまた出会えたとそんなことを思った。我々人間は大昔からイルカと深い関わりを持ってきたのだ。




コメント
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