天気予報では晴れのち曇り、風速9m。
いざ、山に向かうと途中からどんどん太陽が顔を出してきた。絶好のパラグライダー日和。
いつものことで、午前中はやや強めの風にもて遊ばれていたが、午後には強い風も止み、風待ちの状態に。
今日のフライトはマイ機材を使っての飛行だ。朝一番にインストラクターが機材をチェック。しばし、機材と僕の顔を見比べて、深いため息をつく。・・・・・・どうやら、実力以上の機材、つまり、上級者向けの機材との判断だ。
パラグライダーは、最初のうちは翼面積が大きく、操作のレスポンスが比較的遅く安定した初心者用を使うのが鉄則だ。こうした初心者用のパラグライダーで練習を重ねて操作を覚えたら、飛行速度の速い初中級用機材、上級者向け機材へとステップアップするのが普通だ。
ただし、その度に高価な機材を買い換える必要があり、その出費は半端なものじゃない。
無理して飛んで失敗して2~3ヶ月会社を休むことを覚悟しろと脅かされて、それでも、中級用のマイ機材を使うことを許された。僕の機材はフランス製のエアーウェイブ・スポルト。念のためインタネットで調べてみたが、ネットでは1-2クラス、つまり初中級用ということになっている。
午前中、強い風に翻弄されていると、いつもはやかましいベテラン連中がヒソヒソこっちを見て何か言っている。どうやら、僕が2クラスの機材でフライトを挑戦しているのを見て無謀だとささやきあっているらしい。彼らも、気が気ではないのかもしれない。しかし、そんな心配をよそに、僕は大空へ飛び出した。北風をキャノピーに一杯はらんで、グライダーはびゅんびゅん飛んでいく。たしかに、スクールで使っている初心者用とは比べ物にならないくらい反応がいい。車に例えるのなら、ファミリーカーとスポーツカーくらいの差がある。
僕の体重が軽いことも幸いして、午後、ほとんど微風となった風の中でも、安定してぶっ飛びやソワリングができた。いままで、スクール用の機材で苦労していたのが、一気に解消された。
上級者用のヘルメット、パラグライダー用シューズ、無線も買った。パイロットのライセンスが待ち遠しい。
いつか風になる日 Itsuka kaze ni naru hi