tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

函館 旅の失敗

2009-02-17 23:21:58 | プチ放浪 都会編

 
 
  
 

【撮影地】北海道函館市(2009.2月撮影)
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夜がまだ、駅前の街角に染み付いていた。始発電車はまだというのに、寒空の下で一晩中遊びほうけていたであろうヤンキーたちが街灯の下をうろついていた。
ぼくは、何台かの自転車が放置されている駐輪場に自転車を入れ、ディパックを背負って駅までの道を歩き出した。夜明けが近い。吐く息が白い。闇を切り裂く街灯に照らされて、凍りついたようにしんと静まった駅前のジャスコの通りを歩いていると、線路をきしませる聞きなれた電車の発車する音が聞こえて来た。
ん?電車の音?始発に乗り遅れた??時間を確かめようにも、腕時計代わりの携帯は背中のディバックのポケットの中だ。

普段は、朝起きてから電車に乗るまでに1時間かかる。目覚ましをセットした起床時間では、始発電車に乗るためには、いつもの所要時間を5分短縮する必要があった。夜明け前の過酷なタイムトライアル。息を切らして走り込んだ駐輪場。だが、そんなぼくをあざ笑うかのように、あと駅まで50mのところで去った始発電車は、ぼくの立てた函館への緻密な旅行プランが、はやくも音を立てて崩れ去ったことを宣告していた。・・・なにやってんだか。。
そもそも、今回の函館旅行は、何気にインターネットの乗換え案内で、新幹線を利用すれば函館に昼過ぎに到着できることを知ったからだった。数十年ぶりに函館の夜景を見たい。それよりも、なにより雪景色を見たい。そして、北の酒場で地元の人とゆっくり話をしてみたい。
たぶん、正月に見たテレビで、萩本欽一氏の青森ストーブ列車の旅を放映してたのが心に残っていたのかもしれない。
あるいは、ブログの方たちが掲載する雪景色の写真に心を奪われたのだろうか。
旅の理由など、どうでもいい。が、しかし、最初の最初で、ぼくの旅は、はやくもつまづいちまった。

旅での失敗はこれまでに何度もしてきた。仕事でアメリカ行きの飛行機に乗り遅れたことさえある。ぼくは、すでに始発電車が出てしまったホームにたたずみ、こうなったら今回の旅は、津軽でも、十勝でも、電車の行き先まかせの気ままな旅行にしてやろうと心を切り替えた。そう、旅の失敗なんて、いつものことだ。


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