かれこれ20年ぐらい前に始まった自然食ブーム。自然食としての山菜も注目を浴び、初心者や業者による破壊的な採取や乱獲などの問題が表面化する同時に、単独行の山菜取りでの遭難が目に付くようになった。
こうした問題は、都会と田舎の乖離が大きくなり、都市住民たちが田舎に無知になった為であるように思われる。
慣れない場所への入山、悪天候時には注意が必要だ。できるだけ単独行はしない、寒さ対策を怠らない、登山に準じた装備を持つなどの対策をとるべきだ。
・・・と、かく言うぼくも、学生の頃、今は亡き父親に誘われ、山菜採りに山奥へ踏み入ったことがあった。素人に採れるのはワラビぐらいのものなのだが、それでも、父親と2人で大きなトートバッグにいっぱいになるぐらい採ったように記憶している。
山菜採りは天気がよければ、すごく気持ちがいい。植林した木を伐採した山の斜面に立って、そこから眺めた景色は、寡黙だった父親の記憶とともにずっと心に残っている。
山の稜線の向こうには、うっそうと茂るぶなの木の原生林が広がっていた。
伐採された切り株にそれぞれ座り、2人で母親の手製のお弁当を食べた。思えば、当時は人々が森の手入れをしていたのだろう。
山菜採りの間も、山に着くまでの間も、父と何も言葉を交わさなかったのは、もちろん、照れくさかったこともある。
商売をやっていた父は仕事一筋で、日中、家にいることはほとんど無く、一日中、遠方までの配達に車で出かけていた。
山の歩き方は父から教わった。父がいなくなって、「山」はぼくにとって特別な存在になった。
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