清少納言が「枕草子」に記した
「まいて海女のかづきしに入るは憂きわざなり」
今の海女さんたちは、たとえばウェットスーツに身を包んで、ダイビングインストラクターへ職換えなのだろうか。
海の中を潜っても、アワビはもとより、サザエすら見かけることはさほど多くは無い。
もう、千葉や静岡などTokyoに近い海では、多くの海女を養えるだけの海産物が採れなくなっているのだろう。
ただでさえ辛い海女の仕事。かつての漁場の若い女性たちは、ダイビングインストラクターなどになる方が現実的な選択なのかもしれない。
それでも、古きよき時代に活躍した海女さんたちの生活を忘れないようにと、白浜では毎年海女まつりが開催される。
白い磯じゅばん姿の海女がたいまつを手に海に入り、伝統の海女泳法が披露されるのだ。
館山方面の空を紅く焦がして太陽が落ちると、一列にぶら下げたちょうちんの明かりが白浜の海べりを照らす。
湾内の水面にしつらえたドラム缶のかがり火に火が灯されると、いよいよ祭りのハイライト海女の大夜泳の始まりだ。
スロープに詰め掛けた見物客たちから一斉にどよめきの声が響いた。そして、すぐさましんと静まった。
うす明かりの中、海女たちが順番に水際から水面のかがり火を目掛けてエントリーしていく。
海女さんたちの潜り着が、手にした松明の明かりで闇の中に浮かび上がる。
海近く七色の花火が炸裂して、まつりはフィナーレを迎えた。
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