立春から数えて二百十日にあたる日は昔から台風の厄日。
おわら風の盆は、この時期に風災害が起こらないように祈り、五穀豊穣を願うための行事だ。
独特の哀調を帯びたおわら節に合わせて、目深に編み笠を被った浴衣の女性と法被姿の男性がおどる。
山あいの小さな町並みには数千のぼんぼりが立ち並び、三味線、胡弓、太鼓の音色に合わせた唄や囃しが夜更けまで続く。
編笠を目深に被った女の浴衣からのぞく白いうなじがほのかな色香を漂わせ、しなやかに伸びた手が妖しげに宙を舞う。
街筋に響く哀調を帯びた越中おわら節。三味線と胡弓によるもの悲しい旋律。
♪見たさ逢いたさ 思いが募る 恋の八尾は オワラ 雪の中
♪お風邪召すなと 耳まで着せて 聞かせともなや オワラ 明けの鐘
♪鳴くなこおろぎ 淋しゅうてならぬ お前一人の オワラ 秋じゃなし
唄うて通るに なぜ出て会わぬ 常に聞く声 オワラ 忘れたか
常に聞く声 忘れはせねど 親の前では オワラ 籠の鳥
咲いた桜に なぜ駒つなぐ 駒が勇めば オワラ 花が散る
竹に雀は 品よくとまる とめてとまらぬ オワラ 恋の道
おらっちゃ若い時ゃ 田んぼのギャワス 人に踏まれて オワラ ぎゃくぎゃくと
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