【撮影地】北海道函館市(2009.2月撮影)
Copyrights© 2005-2009 TETUJIN
all rights reserved
函館は、その昔、アイヌ語で湾の端を意味するウショロケシと呼ばれた漁村だった。1454年ごろ 河野政通がこの地に館を築き、この館が箱の形に似ているところから「箱館」と呼ばれるようになったらしい。市街地西端には、展望台のある御殿山をはじめとする13の山があり、それらを総称して函館山という。御殿山は、標高334m、周囲約9km。牛が寝そべるような外観から、臥牛山(がぎゅうざん)とも呼ばれている。
函館山から見下ろす函館の夜景は、「世界三大夜景」のひとつ。学生時代に、雲の切れ間から、かすかに見えたダイヤモンドの粉をこぼしたような市街地の夜景を垣間見たとき以来、もう一度来たくてもなかなかチャンスがなかった。空気が透き通るこの冬の時期に、再び来れたのだが、今夜もあいにく、みぞれまじりの空模様。函館山からのきらめく夜景は望めそうも無い。
こんな最悪の天候にもかかわらず、函館山に登ろうと何人もの観光客がロープウェイの出発待ちをしていた。中国から来た団体さんたちが行儀よく列にならんでいる。はるばる海を越え函館までやってきたのに、きれいな夜景を見れなくてかわいそうだ。
20分間隔で出発する20人乗りのロープウェイは、ふもとと山の上にある終点を5分で結ぶ。
この日は、上に行けば行くほど雲が濃くなり、終着は一面雲の中。それでも、山頂への上がり際に、暮れなずむ市街地に灯されだした街灯が、ぼんやりと幻想的に雲を透かして浮かび上がっているのが見えた。ロープウェイのガラス窓を通して、眼下に広がる景色を見ていた満員の観光客から思わず歓声が上がる。街灯で縁取りされた函館の街は、「巴」の美しいフォルムを見せて魅力的に拡がっていた。
旅の思い出。天候の悪さなど、ほんのわずかなこうした運の悪さも、旅の記憶として、いつまでも心に残り続けるものなのだろう。
気に入った写真や記事がありましたら応援のクリックよろしくお願いします。
にほんブログ村