最高裁昭和53年10月6日判決の判決理由である。
「金銭消費貸借契約証書に債務者のいわゆる捨印が押捺されていても、捨印がある限り債権者においていかなる条項をも記入できるというものではなく、その記入を債権者に委ねたような特段の事情のない限り、債権者がこれに加入の形式で補充したからといつて当然にその補充にかかる条項について当事者間に合意が成立したとみることはできない。原判決の認定したところによれば、被上告人らの被訴訟承継人○○○○は、遅延損害金に関する条項の割合につき全く記載がされていない金銭消費貸借契約証書に連帯保証人兼抵当権設定者として署名押印して同証書の欄外上部等に捨印を押捺し、その後、上告人の従業員が右損害金条項の個所に加入の形式で補充して、年三割の割合による遅延損害金を支払う旨の条項を記載したが、当事者間に遅延損害金に関する合意が成立したものとは認めるに足りないというのであり、右の認定は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。」
ここでは,損害金の割合を補充したのは,「上告人の従業員」ですね。判例タイムズの判例評釈を確認しておきます。