司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

ある議案を否決する株主総会等の決議の取消しを請求する訴えの適否(最高裁判決)

2016-03-04 21:28:20 | 会社法(改正商法等)
最高裁平成28年3月4日第2小法廷判決
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85725

【裁判要旨】
ある議案を否決する株主総会等の決議の取消しを請求する訴えの適否(否定)

 珍事件(^^)。

【補足意見】
「会社法の規定等に基づき否決の決議取消訴訟の訴えの利益が問題となり得るような事例が生じたとしても,そのような事例は,ほとんどの場合,根拠とされた規定等の合理的な解釈により,あるいは信義則や禁反言等の法理の適用で対処することができ,また,そうするべきであって,訴えの利益を無理に生じさせるような解釈をすべきではない」
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「消費者契約法の一部を改正する法律案」ほか

2016-03-04 21:17:12 | 消費者問題
「消費者契約法の一部を改正する法律案」&「特定商取引に関する法律の一部を改正する法律案」
http://www.caa.go.jp/soshiki/houan/index.html#main

 閣議決定された。

cf. 朝日新聞記事
http://www.asahi.com/articles/ASJ3435WSJ34UCLV002.html?iref=comtop_list_pol_n03
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「ひとりでも遺産分割」の否定後の実務対応

2016-03-04 06:24:42 | 不動産登記法その他
 「ひとりでも遺産分割」が公式に否定されたわけであるが,その後の実務対応も単純に「法定相続分で登記すればいい」というものではない。

cf. 平成26年12月26日付け「「ひとりでも遺産分割」の否定に関する考察」

 他の相続人が生存中に遺産分割協議が成立した事実があるのであれば,「遺産分割協議があったことの証明書」を作成して対応することになるし,特別受益の事実があるのであれば,「特別受益証明書」を作成して対応することになる。これらの事実の確認が不可欠である。

 そして,最終の唯一の相続人が「遺産処分決定を観念する余地がない」として数次相続の各相続における各共同相続人がその「相続分」に応じて相続財産を共有した(民法第898条,第899条)旨の登記を申請する場合,それは,「法定相続分」によるのではなく,「具体的相続分」に応じたものであるべきである。機械的に「法定相続分」によって登記をすることは,物権変動の過程,態様を公示するという不動産登記制度の目的に適合しない。

 この場合,最終の唯一の相続人が作成した「具体的相続分に関する証明書」を添付して登記申請することになろう。「特別受益証明書」は,こちらに統合されることになろうか。

 本来あるべき姿とも言えるが,司法書士の注意義務が増した感がある。
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「他に相続人がいない旨の上申書を添付することが困難である」旨の上申書

2016-03-04 05:28:14 | 不動産登記法その他
 コメント欄の森さん(福岡県会)情報によると,擬制自白により認定された調書判決書が相続による所有権移転登記の登記原因証明情報である場合に,添付された相続関係戸籍が「他に相続人がいないこと」を証するに足りないときは,「『他に相続人がいない旨の上申書を添付することが困難である』旨の上申書を添付することで,登記申請が受理される方向であるようである。

 落としどころとしては,そのあたりであろう。

 この件も,何らかの形で通知等が発出される方がよいですね。

cf. 平成28年3月2日付け「擬制自白により認定された調書判決書が「他に相続人がいないことを証する書面」と言えるか(その後)」
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