LINEを使って取締役会を開催することの会社法上の論点について by 弁護士川井信之(東京・銀座)の企業法務(ビジネス・ロー)ノート
http://blog.livedoor.jp/kawailawjapan/archives/7253091.html
些か旧聞に属する事柄かもしれないが,最近は,情報交換のツールとして,MLよりもLINEを使うグループも多いようであり,興味深い論点である。
会社法的には,上記で指摘されているとおり,会社法第370条の「いわゆる書面決議」の要件を満たしているものとして,適法と解されるケースがあり得る(もちろん,そのように法律武装する必要はあり。)と思われる。
したがって,当初から,会社法第370条の「書面決議」の要件を満たすことを企図して利用すればよいであろう。一般社団法人や一般財団法人についても,然りである。
ただし,次のような指摘もある。
「取締役の同意にかかる電子メールが、会社が支配管理するサーバに格納されるのではなく、プロバイダ(メール事業者)が保管管理し、短期間で消去される仕組みとなっているメール事業者の管理するサーバに放置されたり、いわゆるWEBメールなどプロバイダが支配管理する領域での保管、利用者によるダウンロードが予定されず、プロバイダの管理下にあるWEBサーバなどに蔵置されるもの、更に流動的なものとされるTwitterへの書き込み、LINEへの書き込み、チャットによるデータ送信は、現状では「情報を確実に記録しておくことができる物をもって調製するファイル」とは到底言えないであろうから、企業としては取締役の同意の受領方法としては避けるべきである。」
cf. 電子化導入の進捗と課題 by 牧野総合法律事務所弁護士法人
http://www.makino-law.jp/new/gijiroku2.html
会社法施行規則
(電磁的記録)
第224条 法第26条第2項に規定する法務省令で定めるものは、磁気ディスクその他これに準ずる方法により一定の情報を確実に記録しておくことができる物をもって調製するファイルに情報を記録したものとする。
会社法
(定款の作成)
第26条 【略】
2 前項の定款は、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)をもって作成することができる。この場合において、当該電磁的記録に記録された情報については、法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
メールによる同意の場合には,メールそのもの(プリントアウトしたものではなく。)を保存しなければならない。
cf. 会社法であそぼ
http://blog.livedoor.jp/masami_hadama/archives/50919825.html
※ Q&A1
会社法
(議事録等)
第371条 取締役会設置会社は、取締役会の日(前条の規定により取締役会の決議があったものとみなされた日を含む。)から10年間、第369条第3項の議事録又は前条の意思表示を記載し、若しくは記録した書面若しくは電磁的記録(以下この条において「議事録等」という。)をその本店に備え置かなければならない。
2~6 【略】