司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

法務大臣閣議後記者会見の概要「会社法見直しに係る法制審議会への諮問に関する質疑について」

2025-02-07 21:00:43 | 会社法(改正商法等)
法務大臣閣議後記者会見の概要(令和7年2月4日(火))
https://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00584.html

「続いて、私から、本月10日月曜日に開催する法制審議会への諮問について申し上げます。
 近年における社会経済情勢の変化等を踏まえ、株式の発行の在り方、株主総会の在り方、そして企業統治の在り方等に関する会社法の規律について、その見直しの要否を含めた検討をする必要があると考えています。
 令和6年6月に閣議決定された「規制改革実施計画」や、同年12月に公表された「規制改革推進に関する中間答申」においても、従業員等に対する株式の無償交付を可能とする見直し、そして、株式を対価とするM&Aの活性化に向けた見直し、バーチャルオンリー株主総会やバーチャルオンリー社債権者集会に関する規律の整備等について、検討を行うこととされています。
 そこで、こうした項目を含め、幅広く、法改正に向けた具体的な検討を行っていただくため、この度、法制審議会に諮問することとしました。
 法制審議会において、充実した調査審議が行われることを期待しています。」

○ 会社法見直しに係る法制審議会への諮問に関する質疑について
【記者】
 冒頭御発言にもあった、法制審議会に諮問することになった会社法見直しについて伺います。
 株式対価M&Aの適用拡大のほか、自社株を従業員に無償交付する仕組みの導入、インターネット上のみで行う「バーチャル株主総会」の規制緩和について、それぞれ検討されていますが、法務省としてこれらについてどのような課題があると感じ、諮問することにしたのかお考えを伺います。

【大臣】
 御質問いただきました事項のうち、株式対価M&Aについては、株式交付制度において、子会社の株式を追加取得する場合や外国会社を子会社化する場合が適用対象外となっているなど、その活用範囲が狭いという指摘があります。さらには、従業員に対する株式の無償交付については、現状では、従業員に対して金銭債権を付与した上で、その金銭債権を現物出資させて株式を交付する方法によって、事実上、株式を無償で交付していますが、そのような方法は技巧的であるということで、手続的負担を解消すべきであるなどの指摘があります。
 そして、バーチャル株主総会については、現状は、産業競争力強化法において、同法の確認を受けた株式会社のみがバーチャルオンリー株主総会を認められていますが、このような確認を不要として、より利用しやすくすべきとの指摘があります。こういった、それぞれの課題があると認識しています。
 これらの点を含め、法制審議会で、会社法の見直しに向けた調査審議が行われることを期待しています。
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新しい公益法人制度において,外部理事及び外部監事の要件等

2025-02-07 18:16:39 | 法人制度
 令和7年4月から施行される新しい公益法人制度において,外部理事及び外部監事の要件が問題であるが,かつての民法法人から移行した公益財団法人については,如何に考えるべきか。

 公益財団法人にあっては,「設立者」(個人である場合に限る。)又は「設立者が法人である場合にあっては,当該法人及びその子法人の役員及び使用人」は,外部理事及び外部監事の要件を満たさないからである(改正後の施行規則第4条第2号及び第4号,第5条第2号第4号)。

 そして,旧民法下においては,「設立者」は,定款の記載事項ではなかったためである。


Q14 旧民法下で設立された法人で、定款に設立者の記載がないのですが、設立者を特定する必要がありますか。
・ 対象の一般財団法人が、旧民法第34条の規定に基づき設立された法人で、行政庁の認定を受けた公益法人等である場合は、旧民法下における設立者について定款に記載がなく、その他の資料等からも遡って確認ができない等の事情があれば、設立者を特定することは要しません(ガイドライン第3章第1(14))。

cf. 公益法人information
https://www.koeki-info.go.jp/regulation/rijikanji.html#q14

 公益認定等ガイドライン103頁も御参照ください。
https://www.koeki-info.go.jp/regulation/guideline.html#section_guideline

 なお,「設立者が法人である場合にあっては,当該法人・・・」の法人は,一般社団法人又は一般財団法人に限られないが,「子法人」については,親法人が一般社団法人又は一般財団法人に限られる(法第2条第4号,施行規則第2条,同第3条参照)。
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