平成28年9月1日施行の医療法の改正に伴う登記実務のポイントは,次のとおり。ただし,通達は,未確認。
【社団】
1.理事の任期
法定の上限2年のまま。ただし,権利義務承継規定(医療法第46条の5の3)が新設されたので,後任者が選任されないまま2年を経過した場合の不具合が解消された。
平成19年4月1日施行の改正前から在任している理事は,定款に任期伸長規定と解される規定があれば,当該規定の適用により,後任者が選任されない限り,任期が伸長され続ける模様。
なお,登記事項は,「理事長」のみ。
2.定款の変更
定款の変更は,社員総会の承認を受けなければならない(医療法第54条の9第1項)が,医療法には定款の変更に関する決議要件の特段の定めはない。したがって,医療法又は定款に別段の定めがある場合を除き,出席者の議決権の過半数で決する(医療法第54条の9第3項)。
定款の変更は,都道府県知事の認可を受けなければ,その効力を生じない(医療法第54条の9第3項)が,「事務所の所在地」(医療法第44条第2項第4号)及び「公告の方法」(医療法第44条第2項第12号)に関する定款の定めの変更については,この限りでない(医療法第54条の9第3項かっこ書,医療法施行規則第33条の26)。
3.社員総会議事録
社団である医療法人の社員総会の議事については,医療法施行規則第31条の3の2で定めるところにより,議事録を作成しなければならない(医療法第46条の3の6において読み替えて準用される一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第57条第1項)。
医療法では,社員総会議事録の署名又は記名押印に関して,特段の規定は存しない。したがって,原則として,印鑑がまったく押印されていない議事録も法的にはOK(定款の定めるところによる。)。
書面決議は,認められていない。
4.理事会議事録
理事会の議事については,医療法施行規則第31条の5の4で定めるところにより,議事録を作成しなければならない(医療法第46条の7の2第1項において読み替えて準用される一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第95条第3項)。
理事会議事録については,社員総会議事録と異なり,法定の署名義務者が定められており,出席した理事及び監事が署名又は記名押印しなければならない(医療法第46条の7の2第1項において読み替えて準用される一般社団法人及び一般財団法人に関する法律法第95条第3項)。
なお,定款で議事録に署名し,又は記名押印しなければならない者を当該理事会に出席した理事長とする旨の定めがある場合にあっては,当該理事長及び出席した監事が署名又は記名押印しなければならない(医療法第46条の7の2第1項において読み替えて準用される一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第95条第3項かっこ書)。
定款の定めがあれば,書面決議が可能である(医療法第46条の7の2第1項において読み替えて準用される一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第96条)。
5.添付書面としての「定款」
理事の選任については社員総会,理事長の選定については理事会が行うことが法定されたので,これらの点を証するための定款の添付は不要。
ただし,理事会議事録の記名押印を理事長及び監事に限定する場合や,理事会の書面決議の場合には,これらの定めがあることを証するために定款を添付しなければならない。全文が必要(抜粋は不可。)。
6.決算承認
この点の改正は,平成29年4月2日施行である。したがって,それまでの間は,従前どおり。
改正後は,理事は,医療法第51条の2第1項の規定により定時社員総会に提出された事業報告の内容を定時社員総会に報告しなければならず(医療法第51条の2第4項),貸借対照表及び損益計算書は,定時社員総会の承認を受けなければならない(医療法第51条の2第3項)。
【財団】
1.寄附行為の変更
寄附行為の変更は,評議員会の意見を聴かなければならない(医療法第54条の9第2項)が,医療法には寄附行為の変更に関する決議要件の特段の定めはない。したがって,医療法又は寄附行為に別段の定めがある場合を除き,出席者の議決権の過半数で決する(医療法第54条の9第3項)。
寄附行為の変更は,都道府県知事の認可を受けなければ,その効力を生じない(医療法第54条の9第3項)が,「事務所の所在地」(医療法第44条第2項第4号)及び「公告の方法」(医療法第44条第2項第12号)に関する寄附行為の定めの変更については,この限りでない(医療法第54条の9第3項かっこ書,医療法施行規則第33条の26)。
2.評議員会議事録
財団である医療法人の評議員会の議事については,医療法施行規則第31条の4で定めるところにより,議事録を作成しなければならない(医療法第46条の4の7において読み替えて準用される一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第193条第1項)。
医療法では,評議員会議事録の署名又は記名押印に関して,特段の規定は存しない。したがって,原則として,印鑑がまったく押印されていない議事録も法的にはOK(寄附行為の定めるところによる。)。
書面決議は,認められていない。
【社団】
1.理事の任期
法定の上限2年のまま。ただし,権利義務承継規定(医療法第46条の5の3)が新設されたので,後任者が選任されないまま2年を経過した場合の不具合が解消された。
平成19年4月1日施行の改正前から在任している理事は,定款に任期伸長規定と解される規定があれば,当該規定の適用により,後任者が選任されない限り,任期が伸長され続ける模様。
なお,登記事項は,「理事長」のみ。
2.定款の変更
定款の変更は,社員総会の承認を受けなければならない(医療法第54条の9第1項)が,医療法には定款の変更に関する決議要件の特段の定めはない。したがって,医療法又は定款に別段の定めがある場合を除き,出席者の議決権の過半数で決する(医療法第54条の9第3項)。
定款の変更は,都道府県知事の認可を受けなければ,その効力を生じない(医療法第54条の9第3項)が,「事務所の所在地」(医療法第44条第2項第4号)及び「公告の方法」(医療法第44条第2項第12号)に関する定款の定めの変更については,この限りでない(医療法第54条の9第3項かっこ書,医療法施行規則第33条の26)。
3.社員総会議事録
社団である医療法人の社員総会の議事については,医療法施行規則第31条の3の2で定めるところにより,議事録を作成しなければならない(医療法第46条の3の6において読み替えて準用される一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第57条第1項)。
医療法では,社員総会議事録の署名又は記名押印に関して,特段の規定は存しない。したがって,原則として,印鑑がまったく押印されていない議事録も法的にはOK(定款の定めるところによる。)。
書面決議は,認められていない。
4.理事会議事録
理事会の議事については,医療法施行規則第31条の5の4で定めるところにより,議事録を作成しなければならない(医療法第46条の7の2第1項において読み替えて準用される一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第95条第3項)。
理事会議事録については,社員総会議事録と異なり,法定の署名義務者が定められており,出席した理事及び監事が署名又は記名押印しなければならない(医療法第46条の7の2第1項において読み替えて準用される一般社団法人及び一般財団法人に関する法律法第95条第3項)。
なお,定款で議事録に署名し,又は記名押印しなければならない者を当該理事会に出席した理事長とする旨の定めがある場合にあっては,当該理事長及び出席した監事が署名又は記名押印しなければならない(医療法第46条の7の2第1項において読み替えて準用される一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第95条第3項かっこ書)。
定款の定めがあれば,書面決議が可能である(医療法第46条の7の2第1項において読み替えて準用される一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第96条)。
5.添付書面としての「定款」
理事の選任については社員総会,理事長の選定については理事会が行うことが法定されたので,これらの点を証するための定款の添付は不要。
ただし,理事会議事録の記名押印を理事長及び監事に限定する場合や,理事会の書面決議の場合には,これらの定めがあることを証するために定款を添付しなければならない。全文が必要(抜粋は不可。)。
6.決算承認
この点の改正は,平成29年4月2日施行である。したがって,それまでの間は,従前どおり。
改正後は,理事は,医療法第51条の2第1項の規定により定時社員総会に提出された事業報告の内容を定時社員総会に報告しなければならず(医療法第51条の2第4項),貸借対照表及び損益計算書は,定時社員総会の承認を受けなければならない(医療法第51条の2第3項)。
【財団】
1.寄附行為の変更
寄附行為の変更は,評議員会の意見を聴かなければならない(医療法第54条の9第2項)が,医療法には寄附行為の変更に関する決議要件の特段の定めはない。したがって,医療法又は寄附行為に別段の定めがある場合を除き,出席者の議決権の過半数で決する(医療法第54条の9第3項)。
寄附行為の変更は,都道府県知事の認可を受けなければ,その効力を生じない(医療法第54条の9第3項)が,「事務所の所在地」(医療法第44条第2項第4号)及び「公告の方法」(医療法第44条第2項第12号)に関する寄附行為の定めの変更については,この限りでない(医療法第54条の9第3項かっこ書,医療法施行規則第33条の26)。
2.評議員会議事録
財団である医療法人の評議員会の議事については,医療法施行規則第31条の4で定めるところにより,議事録を作成しなければならない(医療法第46条の4の7において読み替えて準用される一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第193条第1項)。
医療法では,評議員会議事録の署名又は記名押印に関して,特段の規定は存しない。したがって,原則として,印鑑がまったく押印されていない議事録も法的にはOK(寄附行為の定めるところによる。)。
書面決議は,認められていない。
ありがとうございます。
医療法人には社団たる医療法人と財団たる医療法人がありますが、登記事項からこの違いは判明しないように思われます(「医療法人社団○○会」という謄本を見たこともありますが。)。
理事の選任が社員総会か、評議員会かを法務局(登記官)はどのように判断するか、という疑問が生じました。
この点は、罰則も整備されたことを含め、善解されるため、定款を添付して社団か、財団かを明らかにする必要はない、ということでしょうか。
医療法人の理事の任期と平成18年改正医療法の経過措置について(補遺)
「理事は,任期満了の場合においても,後任者が就職するまでその職務を行わなければならない」という定款規定を存置していたとしても,善処義務を定めたものであって,これを任期伸長規定と解することはできない。
矛盾があるようですが、
矛盾ではなく,そもそも相反するものです。
理事全員の書面・・・と書いてあるのですが、次年度の予算を決議するために、理事長から提案がものについては、該当しないと解釈しているのですが間違いないでしょうか? これは一般の理事が提案する場合だと思うのですが。
前回の回答については了解しました。
理事長から、書面により議案の同意が求められていま
すが、内容が不備なため、その議案については反対、 同意が出来ない旨を表明した場合、その議案の取り扱 いについてはどのようになりますか。通常と同様に、
他理事の賛成多数で可決することが可能でしょうか。