第22回規制改革推進会議
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/committee/241225/agenda.html
規制改革推進会議が中間答申を取りまとめた。会社法改正関係は,次のとおりである。
エ バーチャルオンリー株主総会の活用に向けた環境整備
a 法務省は、産業競争力強化法(平成25年法律第98号)において同法の確認を受けた株式会社に対して会社法(平成17年法律第86号)の特例として認められている、場所の定めのない株主総会(以下「バーチャルオンリー株主総会」という。) について、当該確認の有無にかかわらず、その開催を容易にし、デジタル技術を活用して、地方など遠隔の居住者を含む株主が出席しやすい株主総会を実現するため、以下の各事項を含む会社法の改正を検討し、法制審議会への諮問等を行い、結論を得次第、法案を国会に提出する。
① バーチャルオンリー株主総会が株式会社との対話の機会を充実させる制度であること、また、株主総会の招集に必要な事項の決定は現行会社法において取締役(会)の権限とされていることを踏まえ、バーチャルオンリー株主総会の開催に際し産業競争力強化法で必須とされる経済産業大臣及び法務大臣の確認並びに定款の定めを不要とする。
② 株主総会の開催時間中に通信障害が発生した際における株主総会決議の有効性を懸念する意見があることを踏まえ、通信回線やオンライン会議に関するソフトウェアの障害などの当該株主総会を開催した株式会社の責めに帰すことが適切ではない通信障害により、株主が議事を十分に視聴できなかったり、議決権を適時に行使できなかった場合であっても、当該株主総会の決議の効力が影響を受けないよう、例えば、株式会社の故意又は重大な過失によって通信障害が生じた場合に限り、株主総会決議の取消事由とするなどの規定を設ける(以下「セーフハーバールール」という。)。
③ バーチャルオンリー株主総会は悪意を持って議事進行に支障を生じさせようとする者にとっても複数の株主総会への同時出席を可能とするため、より多くの株主総会において議事進行の妨害が発生することが危惧されるという意見があることを踏まえ、例えば、株主による濫用的な質問権の行使や動議の提出による議事進行の妨害を防止するため、株主総会当日の、株主による議案の提出を制限したり、株主からの質問に対する取締役の説明義務を免除したりできるなどの規定を設ける。
b 法務省は、上記a②③の検討に際し、株式会社が講ずべき通信障害対策、 議事進行を妨害する株主に対して議長が執り得る措置等、バーチャルオンリー株主総会の実施に当たり論点となる事項についての解釈を明確化するため、会社法の改正とあわせ、必要に応じて産業競争力強化法に基づくバーチャルオンリー株主総会を所管する経済産業省と連携しつつ、所要の措置を講ずる。
オ バーチャルオンリー社債権者集会の実現
法務省は、現行法上では開催が認められていない場所の定めのない社債権者集会(以下「バーチャルオンリー社債権者集会」という。)について、その実施が可能となるよう、以下の各事項を含む会社法等の改正を検討し、法制審議会への諮問等を行い、結論を得次第、所要の法案を国会に提出する。
① 会社法改正前に募集された社債についても、会社法改正後に募集された社債との間でバーチャルオンリー社債権者集会の開催のしやすさに差異が生じないよう、会社法改正後に求められるバーチャルオンリー社債権者集会の実施を可能とするための要件(例:社債の募集事項への記載)を満たしたものと扱うための規定又は経過措置を設ける。
② 通信回線やソフトウェアの障害などの会社の責めに帰すことが適切ではない通信障害により、社債権者が議事を十分に視聴できなかったり、議決権を適時に行使できなかった場合であっても社債権者集会の決議に係る裁判所の認可が得られるよう、バーチャルオンリー株主総会におけるセーフハーバールールを参考として必要な規定を設ける。
③ 社債権者であることの証明を書面で行うこととしている、社債、株式等の振替に関する法律(平成13年法律第75号)について、社債権者集会において議決権を行使するための証明に書面が要求されるため、社債権者集会の電子化、効率化の妨げとなっているとの意見があることを踏まえ、電磁的方法による証明など簡易・迅速な方法で社債権者であることの証明が可能となるよう、金融庁とも連携し、同法の改正を検討し、結論を得次第、法案を国会に提出する。
カ 従業員等に対する株式報酬の無償交付を可能とする会社法の見直し
法務省は、令和6年6月の規制改革実施計画に基づき、従業員及び子会社役職員(以下「従業員等」という。)に対する株式の無償交付が可能となるよう、以下の各事項を含む会社法の改正を検討し、法制審議会への諮問等を行い、結論を得次第、法案を国会に提出する。
① 従業員等に株式の無償交付を可能とする際の既存株主への配慮に関して、(ⅰ)当該交付は経営判断の範疇と整理し得るとの指摘に加え、(ⅱ)特に公開会社においては募集株式の発行は取締役会の決議で可能とされていること、(ⅲ)従業員等の労働意欲の向上その他の効果が得られると考えられるのであれば、会社側が適正な便益を受領しているものと評価することができ有利発行とはならないとの指摘を踏まえ、株主総会決議を不要とする。
② 子会社役職員を株式の無償交付の対象とするに当たっては、子会社役職員であっても当該子会社の企業価値向上を通じて親会社の企業価値向上に貢献しており、親会社に対して便益を提供している一方で、完全子会社の役職員のみを制度の対象とした場合、子会社において他社の出資を受け入れて新規事業を行うときや、外国法人が現地法人を完全子会社化することができない法制度を採用している国において制度を利用できなくなるため、法改正の意義が失われるとの指摘を踏まえ、完全子会社以外の子会社役職員に対しても株式の無償交付を可能とする。
キ 株式対価M&Aの活性化に向けた会社法の見直し
法務省は、令和6年6月の規制改革実施計画に基づき、以下の内容等の株式対価M&Aの活性化に向けた会社法の改正を検討し、法制審議会への諮問等を行い、結論を得次第、法案を国会に提出する。
① 株式交付を外国会社の買収にも利用可能とするに当たっては、外国会社を日本の株式会社に相当する会社のみとすると対象となる会社が限定され、会社法改正の意義が減殺されるとの指摘を踏まえ、外国会社の定義について、株式会社に加え、米国のLLCなどの持分会社やこれに類似する会社も含まれるものとする。あわせて、日本においても、株式の譲渡に当たり会社の承諾を必要とする株式会社であっても株式交付の対象とされており、持分の譲渡に当たり他の社員の承諾を必要とする持分会社を対象としても支障は生じないとの指摘を踏まえ、合同会社を株式交付の対象とする。
② 株式交付が、現行法上、組織法上の行為として一度の制度利用で買収会社が買収対象会社を子会社化する場合のみの利用に限られている点について、(ⅰ)単に親子会社関係を新たに創設する場合のみを組織法上の行為と位置付けるのではなく、組織法上の行為に位置付けられる行為が有する性質に着目してその対象となる範囲を決すべきであること、(ⅱ)株式交付が会社法上、組織法上の行為に位置付けられる理由は、株式交付における買収対象会社に関する情報を開示して、株式交付をする株式会社の株主総会決議を経ている点にあるとの指摘を踏まえ、当該決議を経る子会社株式の追加取得も株式交付の対象とする。
③ 株式交付の承認のための買収会社における株主総会決議に関して、買収対象会社の株主に交付する株式と現金の合計が買収会社の純資産額の5分の1を超えないときに株主総会を不要とする現行法の規定について、株式と現金を組み合わせた混合対価によるM&Aの活性化のため手続の簡素化を求める意見を踏まえ、買収会社における株主総会決議の要否は、買収対象会社の株主に交付する株式のみによって判定を行うものとする。
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/committee/241225/agenda.html
規制改革推進会議が中間答申を取りまとめた。会社法改正関係は,次のとおりである。
エ バーチャルオンリー株主総会の活用に向けた環境整備
a 法務省は、産業競争力強化法(平成25年法律第98号)において同法の確認を受けた株式会社に対して会社法(平成17年法律第86号)の特例として認められている、場所の定めのない株主総会(以下「バーチャルオンリー株主総会」という。) について、当該確認の有無にかかわらず、その開催を容易にし、デジタル技術を活用して、地方など遠隔の居住者を含む株主が出席しやすい株主総会を実現するため、以下の各事項を含む会社法の改正を検討し、法制審議会への諮問等を行い、結論を得次第、法案を国会に提出する。
① バーチャルオンリー株主総会が株式会社との対話の機会を充実させる制度であること、また、株主総会の招集に必要な事項の決定は現行会社法において取締役(会)の権限とされていることを踏まえ、バーチャルオンリー株主総会の開催に際し産業競争力強化法で必須とされる経済産業大臣及び法務大臣の確認並びに定款の定めを不要とする。
② 株主総会の開催時間中に通信障害が発生した際における株主総会決議の有効性を懸念する意見があることを踏まえ、通信回線やオンライン会議に関するソフトウェアの障害などの当該株主総会を開催した株式会社の責めに帰すことが適切ではない通信障害により、株主が議事を十分に視聴できなかったり、議決権を適時に行使できなかった場合であっても、当該株主総会の決議の効力が影響を受けないよう、例えば、株式会社の故意又は重大な過失によって通信障害が生じた場合に限り、株主総会決議の取消事由とするなどの規定を設ける(以下「セーフハーバールール」という。)。
③ バーチャルオンリー株主総会は悪意を持って議事進行に支障を生じさせようとする者にとっても複数の株主総会への同時出席を可能とするため、より多くの株主総会において議事進行の妨害が発生することが危惧されるという意見があることを踏まえ、例えば、株主による濫用的な質問権の行使や動議の提出による議事進行の妨害を防止するため、株主総会当日の、株主による議案の提出を制限したり、株主からの質問に対する取締役の説明義務を免除したりできるなどの規定を設ける。
b 法務省は、上記a②③の検討に際し、株式会社が講ずべき通信障害対策、 議事進行を妨害する株主に対して議長が執り得る措置等、バーチャルオンリー株主総会の実施に当たり論点となる事項についての解釈を明確化するため、会社法の改正とあわせ、必要に応じて産業競争力強化法に基づくバーチャルオンリー株主総会を所管する経済産業省と連携しつつ、所要の措置を講ずる。
オ バーチャルオンリー社債権者集会の実現
法務省は、現行法上では開催が認められていない場所の定めのない社債権者集会(以下「バーチャルオンリー社債権者集会」という。)について、その実施が可能となるよう、以下の各事項を含む会社法等の改正を検討し、法制審議会への諮問等を行い、結論を得次第、所要の法案を国会に提出する。
① 会社法改正前に募集された社債についても、会社法改正後に募集された社債との間でバーチャルオンリー社債権者集会の開催のしやすさに差異が生じないよう、会社法改正後に求められるバーチャルオンリー社債権者集会の実施を可能とするための要件(例:社債の募集事項への記載)を満たしたものと扱うための規定又は経過措置を設ける。
② 通信回線やソフトウェアの障害などの会社の責めに帰すことが適切ではない通信障害により、社債権者が議事を十分に視聴できなかったり、議決権を適時に行使できなかった場合であっても社債権者集会の決議に係る裁判所の認可が得られるよう、バーチャルオンリー株主総会におけるセーフハーバールールを参考として必要な規定を設ける。
③ 社債権者であることの証明を書面で行うこととしている、社債、株式等の振替に関する法律(平成13年法律第75号)について、社債権者集会において議決権を行使するための証明に書面が要求されるため、社債権者集会の電子化、効率化の妨げとなっているとの意見があることを踏まえ、電磁的方法による証明など簡易・迅速な方法で社債権者であることの証明が可能となるよう、金融庁とも連携し、同法の改正を検討し、結論を得次第、法案を国会に提出する。
カ 従業員等に対する株式報酬の無償交付を可能とする会社法の見直し
法務省は、令和6年6月の規制改革実施計画に基づき、従業員及び子会社役職員(以下「従業員等」という。)に対する株式の無償交付が可能となるよう、以下の各事項を含む会社法の改正を検討し、法制審議会への諮問等を行い、結論を得次第、法案を国会に提出する。
① 従業員等に株式の無償交付を可能とする際の既存株主への配慮に関して、(ⅰ)当該交付は経営判断の範疇と整理し得るとの指摘に加え、(ⅱ)特に公開会社においては募集株式の発行は取締役会の決議で可能とされていること、(ⅲ)従業員等の労働意欲の向上その他の効果が得られると考えられるのであれば、会社側が適正な便益を受領しているものと評価することができ有利発行とはならないとの指摘を踏まえ、株主総会決議を不要とする。
② 子会社役職員を株式の無償交付の対象とするに当たっては、子会社役職員であっても当該子会社の企業価値向上を通じて親会社の企業価値向上に貢献しており、親会社に対して便益を提供している一方で、完全子会社の役職員のみを制度の対象とした場合、子会社において他社の出資を受け入れて新規事業を行うときや、外国法人が現地法人を完全子会社化することができない法制度を採用している国において制度を利用できなくなるため、法改正の意義が失われるとの指摘を踏まえ、完全子会社以外の子会社役職員に対しても株式の無償交付を可能とする。
キ 株式対価M&Aの活性化に向けた会社法の見直し
法務省は、令和6年6月の規制改革実施計画に基づき、以下の内容等の株式対価M&Aの活性化に向けた会社法の改正を検討し、法制審議会への諮問等を行い、結論を得次第、法案を国会に提出する。
① 株式交付を外国会社の買収にも利用可能とするに当たっては、外国会社を日本の株式会社に相当する会社のみとすると対象となる会社が限定され、会社法改正の意義が減殺されるとの指摘を踏まえ、外国会社の定義について、株式会社に加え、米国のLLCなどの持分会社やこれに類似する会社も含まれるものとする。あわせて、日本においても、株式の譲渡に当たり会社の承諾を必要とする株式会社であっても株式交付の対象とされており、持分の譲渡に当たり他の社員の承諾を必要とする持分会社を対象としても支障は生じないとの指摘を踏まえ、合同会社を株式交付の対象とする。
② 株式交付が、現行法上、組織法上の行為として一度の制度利用で買収会社が買収対象会社を子会社化する場合のみの利用に限られている点について、(ⅰ)単に親子会社関係を新たに創設する場合のみを組織法上の行為と位置付けるのではなく、組織法上の行為に位置付けられる行為が有する性質に着目してその対象となる範囲を決すべきであること、(ⅱ)株式交付が会社法上、組織法上の行為に位置付けられる理由は、株式交付における買収対象会社に関する情報を開示して、株式交付をする株式会社の株主総会決議を経ている点にあるとの指摘を踏まえ、当該決議を経る子会社株式の追加取得も株式交付の対象とする。
③ 株式交付の承認のための買収会社における株主総会決議に関して、買収対象会社の株主に交付する株式と現金の合計が買収会社の純資産額の5分の1を超えないときに株主総会を不要とする現行法の規定について、株式と現金を組み合わせた混合対価によるM&Aの活性化のため手続の簡素化を求める意見を踏まえ、買収会社における株主総会決議の要否は、買収対象会社の株主に交付する株式のみによって判定を行うものとする。