tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

経済政策の総合見直しを

2018年06月03日 10時21分08秒 | 経済
経済政策の総合見直しを
 今、日本経済の喫緊の課題は金融の正常化でしょう。金融は経済活動の血流とか潤滑油と言われますが、今の日本は輸血のし過ぎ、潤滑油の使い過ぎになっているようです。

 もとはと言えば、アメリカFRB議長だったバーナンキさんが、1927年の世界金融恐慌の研究者で「あの恐慌は金融緩和で防げた」という持論の持ち主だったことにあるようです。

 バーナンキさんはその理論をリーマンショックに応用、それなりの成功を見ました。しかしそれは緊急避難で、出来るだけ早く正常の戻すべきだと考えていたのでしょう。FBR議長在任中にテーパーリングに切り替え、イエレンさんにバトンを渡しました。

 日本の場合は少し様子が違います。日本の場合、リーマンショック後も、金融はそれなりに機能していましたが、問題は$1=¥80という円高でした。
 アドバイザー役の浜田さんや黒田日銀総裁はバーナンキさんのウルトラ金融緩和策が急激なドル安を齎した点に着目、異次元金融緩和は「円安実現のため」だったというのが現実でしょう。

 ところが、日本は万年経常黒字の国です。かつての「有事のドル」が今は「何かあると円」で円高の懸念は消えません。それでついつい異次元緩和を引き延ばして、今に至ってしまったようです。
 これでは、経常黒字が増え続ける日本ではテーパーリング開始は困難になってしまいます。

 金融緩和で通貨安というのは、いわば副作用で、金融緩和の本当の目的は金融の流れ(血流)を止めないという事でしょう。
 日本は、残念ながら、通貨安という副作用の方を目的にして金融緩和を使ったのです。これがボタンの掛け違いの始まりです。

 「プラザ合意」で、日本は異常な円高を強いられ、その結果、日本は経常赤字国に転落し、アメリカなどの経常赤字は緩和されるだろうという読みは結果的には当たらず、日本は、いくら円高になっても、経常黒字国であり続けるのです( 「国際競争力への誤解」参照)

 そうした経済構造(国民の経済意識、消費意識)を持つ日本で、為替レート(円高)是正のために金融緩和を使うと結果がどうなるかが読めなかったのでしょうか。
 経常黒字の削減には、矢張り「内需の拡大」という「王道」でのアプローチが必要なのです。

 今、日本経済における「内需の拡大」の最大の問題点は「将来不安による消費の不振」、言い換えれば消費性向の低下=貯蓄性向の上昇にあるのでしょう。
 この問題への対応には、経済政策の総合見直し(財政赤字の改善:PBの回復から、税・社会保障の一体改革、格差拡大の阻止などなどなど)が必要なのは当然です。

 こうした問題を日銀の金融政策に丸投げなどという事では、日銀が困り、日本中の金融機関が困り、ひいては国民全体が困ることにならざるを得ません。
 国会で、どこまで嘘がつき通せるかの実験をしている場合ではないはずです。