tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

減速はっきり、企業は何を目指すか

2019年12月03日 14時25分48秒 | 経営
減速はっきり、企業は何を目指すか
 法人企業統計季報の2019年7~9月期が昨日発表になりました。
 マスコミは、売上高が3年ぶりにマイナスだったこと、それに対して設備投資の方は増えていると(いずれも対前年同期比)を報道していました。

 米中関係から見ても、世界経済自体減速傾向で、日本経済も景気動向指数やGDP速報など見ても減速は明瞭です。政府は、赤字国債を出してでも景気テコ入れをすると言っているようですが、GDPの2年分もの赤字を積み上げて。財政再建の目処も立たない中では、かえって国民の不安感を刺激しそうです。

 そんな中で、昨年末以来減少基調だった企業の設備投資が増えたという事は、企業の何らかの意思を示しているように感じられ、企業がまだ頑張れるのは、大変結構なことですから、発表された法人企業統計の季報で、財務面からその辺りを見てみました。

 そんなわけで少し数字を見ていきますが、先ずマスコミ報道の通り、全産業の売上高は2.6%のマイナスで、これは前年の7-9月が6%の伸び、それが次第に3%程度になり膳-6月期には0.4%と下がり、今期に至ってマイナス(数字はすべて前年同期比)というこの所の景気減速を素直に示したものでしょう。

 ただし、製造業の方は前期すでにマイナス、非製造業の方が今季初めてマイナスと製造業の落ち込みが先行しています。 

一方企業の元気を支える収益の方を見てみますと、売上高経常利益率ですが、前4-6月期の6.7%がピークで、今期は5.0%に落ちています。
製造業は同7.7%から5.7%で、非製造業の方は、同じく6.3%から4.7%に落ちていて製造業の方が落ち込みが急の感じです。

 しかし過去の数字から見れば、経常利益率5%程度というのは、悪い数字ではなく好況時の数字といった感覚のものです。
 このところ、企業の自己資本比率が改善し、金融収支がプラスになっていることも効果を持っているようで、これが企業経営の下支えになっていることも考えられます。

こうしたことから、現状では、企業はまだ平均的には深刻な不況感という感じはおそらくもっていないのでしょう。
 さらにトランプさんの誤算で、アメリカも米中関係をあまり追い込めない状況にもあり、米中関係が軟化すれば、世界経済の状況改善も期待できるといった気持ちもあるのでしょうか。

 さらに世上言われるように、トランプさんはダウ平均を下げられない(下げたら致命傷)ので、ダウ平均はなかなか下がらない、日本では安倍さんも同じで、日経平均は何とか持たせたいという事でしょうから、当面株高という事情もありそうです。

 基本的には、日本企業はまだかなりの力を持っているという事で、この際技術力で先行しようといった意識はあるのであれば素晴らしいと思います。 
設備投資の対前年同期比での伸びの数字は、前期の1.9%の伸びから7.1%の伸びに跳ね上がり、これは過去1年間と比べても最も高い数字です。

 今期の7.1%の伸びは製造業6.4%、非製造業7.6%という事で製造業では情報通信機器、生産用機械が目立ち、非製造業では卸・小売りが目立つといった所のようです。

 内需不振を嘆く日本経済ですが、インバウンドも含め消費需要関連企業が動き出そうというのでしょうか。

 企業の元気さの要因は何となくわかるような気がしますが、国際環境も含めて、何とか、それなりの安定圏内で事を収めるような、主要国のリーダーの配慮を期待したいところです。