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2019年10月、消費増税の影響歴然ですが

2019年12月07日 16時28分39秒 | 経済
2019年10月、消費増税の影響歴然ですが
 昨12月6日、総務省統計局より10月分の家計調査の結果が発表になりました。例月の平均消費性向の検討をしながら消費動向を見てみましょう。

 大揉めだった軽減税率導入やキャッシュレスポイント還元など政府も対策を講じていますが、結局駆け込み需要も、その反動の消費落ち込みも防げなかったようです。
 もともと前後何か月かとればプラマイゼロになるものですから、そこまで消費者に気を遣うことはなかったと思うのですが、ポピュリズムがそうさせるのでしょうか。

 先月の家計調査の時、駆け込み需要は健在だったと書きましたが、10月には反動の落ち込みも健在だったようです。
 
 10月の2人以上の所帯の消費支出(名目値)は、279,671円で、進行中の調査方法の影響を除去した数値で前年同月比4.8%の落ち込みとなっています。
9月のこの数字は駆け込み需要で9.8%の増加でしたからその割に落ち込みは小さいのですが、落ち込みが来月も再来月も続くようなら問題はより深刻で、年末にかけて回復してしまうようであれば、消費は元気といえるのですが、さてこれからどうなるのでしょうか。

 ところで、家計調査で所帯の収入サイドの調査があるのは勤労者所帯だけですから、収入と消費支出の関係が見られるのは勤労者所帯だけで、このブログでは毎月2人以上勤労者所帯の「平均消費性向(消費支出/可処分所得)」を、消費意欲のメルクマールとしてチェックしているわけです。

 9月は勿論駆け込み需要で、平均消費性向は上がりました。先月報告しましたように、駆け込み需要は健在で、勤労者所帯の平均消費性向は、前年同月比7.5ポイントのプラスでした。

では10月の落ち込み具合はどうかといいますと、対前年同月比3.8ポイントのマイナスとなっていますから、10月だけ見れば、駆け込み需要の割に反動減は小さいという事になります。もちろん先行きを見なければ未だ解りませんが。

 家計調査は、現在、家計簿の様式変更が進行中で、その影響下にあり、数字はすべてその影響を調整したものとなっていますが、結果的には調整誤差の範囲が些か大きいように感じられ、影響のなくなる来年1月が待たれるところです

 そうした点はありますが、平均消費性向の推移から見ますと、この所何となく、日本人の消費行動が動いているような感じがしないでもありません。

 日本人のアリ型(キリギリス型の反対:勤倹貯蓄型)の性格に加えて、年金問題などで、将来不安を過度に刺激する論調が多いこと、政府も将来不安の風潮に対して、殆ど答えてくれていないこともありましょう。消費不振の様相は長期化しています。

 しかし、国民も、過度の貯蓄志向の進行で、些か節約疲れがあるのでしょうか。昨年12か月の内、平均消費性向が、前年同期比で下がった月が7だったのに対し、今年は10月の落ち込みを加えてまだ3です。
残り2か月が下がっても5ですから、少し消費不振の 様相も変わるのではと期待するところですが、楽観に過ぎるでしょうか。