2020春闘:連合、重点分野を確認
去る12月3日、連合は中央委員会を開き、2020春闘の重点分野を確認しています。
折しも世界経済は、米中摩擦などで混乱状態、中国経済の不振は日本経済も直撃、政府は26兆円の15か月予算で「アベノミクスの加速化」を図ると言っていますが、減速はとても避けられないようです。
26兆円の政府の景気テコ入れ策については、災害復旧とオリンピック後に向けての政策を並べ、金額は巨大に見えますが、政府が出すのは13兆円ほど、一部赤字国債に頼らなければならないことは明らかで、財政不安の声も強いようです。
そうした状況の下で、連合は、経済の下支えは内需拡大が不可欠とし、そのためにすべきことを、労働組合として可能な範囲で、整理しています。
基本的には、従来からの主張である「サプライチェーン全体で生み出した価値の適正な配分」を基軸に、人を尊重する社会、生産を支えると同時に消費者でもあるすべての労働者の、「底上げ、底支え、格差是正」、働く事を軸にする安心社会の実現のために果敢に戦うとしています。
これらは誠に筋の通った主張で、反論の余地もないものですが、現実には、ここ何年もこの主張を年々精緻に育てながら春闘を展開してきているにもかかわらず、格差社会化は進み、国民の安心、安全は気候変動や国際情勢、更には老後不安を中心に将来不安の中で、殆ど成果が上げられないという状況にあります。
そうした中で、連合の、今年の具体的な賃金要求は、企業内最低賃金の締結なども含みながら、平均的には定期昇給プラスベースアップ(2%+2%=4%)といったことになるのではと思われますが、消費税増税も有之、労組の要求としては、最大限合理性に則った、いわばモデストな要求のように感じられます。
長期不況の前、春闘華やかなりし頃は、組合要求はこれに+アルファが載り、経営側との論戦で、最後は獲得率○○%などという所で決着などという事だったように記憶しますが、今は、連合の要求自体が、ほぼ経済整合性に叶うような合理的な水準ですから、活発な論戦もあまり見られないようです。
逆に、2%インフレを実現しないと財政再建も出来ない政府が、より高い賃上げを奨励するといった、きわめて奇妙なことになっている様相です。
政府の言う通りの賃上げをしても、2%インフレでその分実質賃金は目減りするのですから、得をするのは膨大な借金そしている政府ということでしょう。
連合の言う通り、内需不振は今の日本経済の最大の問題でしょうが、問題は色々あるように思います。
まず第一は、日本経済の低成長、これは消費不振と「鶏と卵」の関係です、消費不振が治れば経済は活性化vs.経済成長が高まれば消費も増える、と説明されます。
内需不振の最大の原因は消費不振ですから、それなら賃上げで消費を増やせばという事にもなるのですが、今の日本の家計は、賃金が上がれば、老後のために貯金するという意識が強すぎ、平均消費性向が下がりっぱなしのようです。
つまり賃上げしてもその金は使われずに銀行預金になり、銀行はアメリカの証券を買って大損したり、国債を買って、政府の国民からの借金を容易にするといった結果のようです。
考えてみれば、賃上げと同時に、「消費性向」を上げる方策が必要なのです。これは多分に政府の役割でしょう。老後2000万円の貯金が必要という審議会答申は受け取リ拒否しても、政府が年金を増やしますとは絶対に言いません。国民の不安は募るばかり。
賃金の引き上げも大事ですが、家計がそれを消費に使う気にならないと内需拡大は画餅です。
今年の春闘では、政労使で本気でこのあたりの議論をしたらどうでしょうか。
去る12月3日、連合は中央委員会を開き、2020春闘の重点分野を確認しています。
折しも世界経済は、米中摩擦などで混乱状態、中国経済の不振は日本経済も直撃、政府は26兆円の15か月予算で「アベノミクスの加速化」を図ると言っていますが、減速はとても避けられないようです。
26兆円の政府の景気テコ入れ策については、災害復旧とオリンピック後に向けての政策を並べ、金額は巨大に見えますが、政府が出すのは13兆円ほど、一部赤字国債に頼らなければならないことは明らかで、財政不安の声も強いようです。
そうした状況の下で、連合は、経済の下支えは内需拡大が不可欠とし、そのためにすべきことを、労働組合として可能な範囲で、整理しています。
基本的には、従来からの主張である「サプライチェーン全体で生み出した価値の適正な配分」を基軸に、人を尊重する社会、生産を支えると同時に消費者でもあるすべての労働者の、「底上げ、底支え、格差是正」、働く事を軸にする安心社会の実現のために果敢に戦うとしています。
これらは誠に筋の通った主張で、反論の余地もないものですが、現実には、ここ何年もこの主張を年々精緻に育てながら春闘を展開してきているにもかかわらず、格差社会化は進み、国民の安心、安全は気候変動や国際情勢、更には老後不安を中心に将来不安の中で、殆ど成果が上げられないという状況にあります。
そうした中で、連合の、今年の具体的な賃金要求は、企業内最低賃金の締結なども含みながら、平均的には定期昇給プラスベースアップ(2%+2%=4%)といったことになるのではと思われますが、消費税増税も有之、労組の要求としては、最大限合理性に則った、いわばモデストな要求のように感じられます。
長期不況の前、春闘華やかなりし頃は、組合要求はこれに+アルファが載り、経営側との論戦で、最後は獲得率○○%などという所で決着などという事だったように記憶しますが、今は、連合の要求自体が、ほぼ経済整合性に叶うような合理的な水準ですから、活発な論戦もあまり見られないようです。
逆に、2%インフレを実現しないと財政再建も出来ない政府が、より高い賃上げを奨励するといった、きわめて奇妙なことになっている様相です。
政府の言う通りの賃上げをしても、2%インフレでその分実質賃金は目減りするのですから、得をするのは膨大な借金そしている政府ということでしょう。
連合の言う通り、内需不振は今の日本経済の最大の問題でしょうが、問題は色々あるように思います。
まず第一は、日本経済の低成長、これは消費不振と「鶏と卵」の関係です、消費不振が治れば経済は活性化vs.経済成長が高まれば消費も増える、と説明されます。
内需不振の最大の原因は消費不振ですから、それなら賃上げで消費を増やせばという事にもなるのですが、今の日本の家計は、賃金が上がれば、老後のために貯金するという意識が強すぎ、平均消費性向が下がりっぱなしのようです。
つまり賃上げしてもその金は使われずに銀行預金になり、銀行はアメリカの証券を買って大損したり、国債を買って、政府の国民からの借金を容易にするといった結果のようです。
考えてみれば、賃上げと同時に、「消費性向」を上げる方策が必要なのです。これは多分に政府の役割でしょう。老後2000万円の貯金が必要という審議会答申は受け取リ拒否しても、政府が年金を増やしますとは絶対に言いません。国民の不安は募るばかり。
賃金の引き上げも大事ですが、家計がそれを消費に使う気にならないと内需拡大は画餅です。
今年の春闘では、政労使で本気でこのあたりの議論をしたらどうでしょうか。