tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

政府、孤高の経済成長率の理由は・・・

2019年12月22日 23時59分21秒 | 経済
政府、孤高の経済成長率の理由は・・・
前回、政府経済見通しが、実現性よりも政府の希望する数値になってきているのではないかとの疑問を呈しましたが、多くのシンクタンクの予測を見ると、2020年度の実質経済成長率は0.5%あたりに集中しているようです。

 なぜ政府だけ1.4%という高い数字が出るのでしょうか。日本の金融系などのシンクタンクの経済予測の能力が政府に比べてそれほど低いとは思われませんので、(結果は出てみなければわかりませんが)政府が少し高望みをし過ぎているのではないかと思われても致し方ないのではないでしょうか。

 そんなことから連想思考をしていきますと、まず、政府は嘗て国民と大きな約束を1つしています。それは財政再建です。 

 しかしこれは、今まで公約不履行ばかりです。
最初は2020年のプライマリ・バランス回復と約束し、簡単にそれを反故にし、安倍さんは「財政再建の旗は降ろしません」と、当然のことを立派なことの様に発言しました。
 
 財政に責任を持つ立場の財務省は、「降ろしません」では説明にもならないので、「やる気です」という事を国民に示すためでしょう、今度は2025年にプライマリー・バランス回復という目標を立てたようです。

しかし、多分出来るとは思っていないのでしょう。もちろん責任などは持つ気もないでしょう。ですから「中長期の経済財政に関する試算」として、経済財政諮問会議が内閣府に提出したものという事で発表しています(受け取り拒否はしなかったようです)。

 この試算でも、2025年おプライマリー・バランス回復には1兆円程足りないのですが、今の状態で、そこまで行けば上等と国民が思ってくれるという思惑でしょう。

 という事で、財務省は何とかこの線に沿った日本経済にしていかなければならないという気持ちがあって、「政府経済見通し」に、この試算の数字に近いものを持ち込まざるを得ないということになるのではないかと思われます。

 実は、この試算は2つのケースについて計算されていています。
・「成長実現ケース」2020~2028年平均:名目成長率3.2%、実質成長率1.8%、
・「ベースラインケース」2020~2028年平均名目成長率1.7%、実質成長率1.1%
説明ではベースラインケースが現状を示すという事なのですが、ベースラインケースではプライマリー・バランスは半永久的に回復しないような結果になっています。

「成長実現ケース」でも2025年ではなく2026年に漸くプライマリー・バランス回復が、日本経済の現状は「ベースラインケース」にも行っていない状態です。現状で進む限り、財政再建はあり得ないでしょう。です

 これを認めてしまったら、「財政再建の旗は降ろしません」という安倍さんの発言は「旗は当面忘れました」とかに変えなければならないので、少しでも「成長実現ケース」の近くに数字を持っていこうという健気な努力が「政府経済見通し」の実質経済成長率に無理な数字1.4%を持ってこざるを得ないという結果になているのでしょうか。