tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

経済見通しか、達成希望数値か

2019年12月21日 00時17分45秒 | 経済
経済見通しか、達成希望数値か
 昨日、令和2年度の政府経済見通しの数字について経済成長率の見通しと民需、官公需、外需などの寄与度についてみました。

 実質成長率1.4%という数字は、今日の環境の中で決して高い数字ではないと思いますが、現実は厳しく、達成の見込みはかなり低いように思われるところです。

 このあたりは、大変歯切れの悪い書き方になってしまっていることが、些か気になっていましたので、近年の現実の数字を見ながら、その辺のところを少し考えてみたいと思います。

 先ず具体的な実質経済成長率の数字ですが、以下の通りです。

 「政府経済見通し」 → 「実績値」の形で数字を並べました。
   平成25年 2.5% → 2.6%
   平成26年 1.4% → -0.4%
   平成27年 1.5% → 1.3%
   平成28年 1.7% → 0.9%
   平成29年 1.5% → 1.9%
   平成30年 1.8% → 0.3%
   令和01年 1.3% → 0.9(実績見込み)
   令和02年 1.4% → ?

  平成25年は24年からの円のじり安傾向が4月の日銀の金融緩和政策で$1=¥100水準になった年、27年はサイドの黒田バズーカ(日銀の異次元金融緩和)で円レートは120円レベルになった年、29年はGDPの計算方式の変更で、研究開発費が投資に勘定されGDPを押し上げることになった年です。

 そう見て来ますと安倍さんの自称アベノミクスは日銀の2発の黒田バズーカ(金融緩和)で円レートが正常になったことで、日本経済がやっと動き出したという実績の後は殆ど経済見通しに追いついていないのが実態のようです。しかもだんだん達成率は落ちてきている様相で(29年は前述の通り)「政府経済見通し」は「達成希望数値」化してきているように見えます。

 ただ1点、来年度見通しの中で、政府は「消費の堅調」を書いていますが、このブログでは日本の消費者もそろそろ「節約疲れ」と書きましたが、少し現在の生活をエンジョイする方向へ生活ムードが変わってくる気配があるとすれば、漸く何か希望も持てるという感じもしています。

 国民がこれだけ真面目に働いても、GDPの実質成長率が1%に満たないといった状態がアベノミクスの現実だとすれば、国民の気持ちや努力が巧く生かされていない現実の中で「見通し」だけは高く設定しても、現実の動きは思うに任せないという残念さが残ってしまうのではないでしょうか。