tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

<月曜随想>人口問題は悲観論より積極的政策に力点を

2024年11月18日 16時56分22秒 | 文化社会

合計特殊出生率という言葉がります。最近あまりマスコミにも登場しなくなりましたが、1人の女性が一生に何人の子供を産むかという数字で、この数字が2.1人を越えていれ人口は減らないという数字です。

2023年の日本の数字は1.20ですから、少子高齢化が問題になり、年金財政の危機が言われ、最近では人口減少で消滅する集落の予想が出たりして、マスコミでも大きな話題になりました。

終戦(1945年)直後のベビーブームの時の合計特殊出生率は4.5人という高さでしたが1960年代に入ると2人レベルに堕ち(1966年の丙午の1.6人は例外)、1970年代前半までは2人レベルを維持しました。

しかしその後は2人を割り込みじりじりと下げ続け、2005年には1.26人となっています。

しかし、その後2015年までは奇跡的に上昇に転じ2015年には1.45人です。

この時期は、バブル崩壊後、ようやく日本経済も回復の気配を感じた時期と一部重なります。 

同時に、当時日本中が合計特殊出生率の回復を真剣に考えた時期だったような気がします。 

残念ながらこの回復の動きは続きませんでした。リーマンショック後の深刻な円高不況からアベノミクスの初期円安移行で、期待された非正規雇用の是正も、企業の相変わらずの非正規重視の中で、安倍政権の出生率回復の掛け声もむなしく、コロナ禍もあってか2023年には1.20人と最低水準に落ち込んでしまいました。

今の日本の経済社会の先行きの不透明感、将来不安の基本的な背景にはこの、合計

特殊出生率の問題があると考えている人は多いでしょう。

社会が豊かになれば出生率が下がるという研究もあるようですが、かつて合計特殊出所率の低下に悩んだフランスやスウェーデンが今は2人を超える様になっていることを見れば、回復の手段もあるのではないかと考えています。

日本に増して急速な合計特殊出生率の低下に見舞われている韓国は1980年の2.82人から2022年には0.78人に下がるという状況にあります。身近な国ですので、参考になる情報もあるのではと思っています。

下がるところまで下がれば回復するという説もあるようですが、フランスの場合、1970年代に児童手当が驚くほどに大幅だった事をECの統計で確認してからもう何十年でしょうか(子供5人だと児童手当だけで平均賃金より多い)。

スウェーデンの場合は1.5人から2.1人ほどの間を上下していますが、何で上がったのか関係の人たちに随分尋ねましたが、「実は良く解っていない」といった返事がほとんどでした。

しかし、これは国としては最も重要な問題の1つでしょう。

解決には時間がかかる難しい問題ですが、悲観的な面を喧伝するのは、何か情けないので、より、国民が元気になるような方法を確り研究する事に資源を注いだ方がいいのではないでしょうか。


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