自公が国民民主党を抱え込み103万円の壁はなんとか崩すという事で、合意を取り付け、13.9兆円という今年度予算の補正予算を組んで、日本経済に何とかテコ入れをしようという閣議決定を行いました。
これに財政投融資や特別会計を入れれば23兆円、それが呼び水で、それを契機に民間が使うお金を入れれば39兆円になるのだそうです。
日本の名目GDPは、政府経済見通しによれば、昨年度597兆円で、今年は3%成長という事になっています。一方実質成長率は1.3%でその差の1.7%分はインフレ率という事になります。
所が実質成長率は、毎四半期紹介していますが7-9月期は年率実質0.9%成長で低下傾向、今年度は1%行かない可能性もと政府は恐れているようです。
気持ちは解りますが、本当に日本経済のことを考えるならば、四半期統計を気にするのではなく3年5年先を見据えての政治・経済一体改革を考えるべきでしょう。
所で補正予算の中身を見てみれば、当面のバラマキ中心の近視眼政策ばかりです。
並んでいるものを順にあげれば、低所得世帯向けの給付金3万円、やったりやめたりの電気・ガス代補助金を来年1-3月以降も継続、新しい地方経済生活環境創生交付金のを創設、(そのあとの能登半島の災害復旧・復興は当然のもの、「闇バイト」対策に至っては経済対策ではないですね)。
低所得世帯向けの給付金に子供1人2万円を上乗せするなどというのは、まさにバラマキで、政権の気休めでしょう。本来、疾うに、格差解消、消費支出促進といった長期的経済政策でやるべきことです。短期ツギハギの繰り返しの効果は実証されていません。
今やっている定額減税にしても、それで7-9月の消費が増えたなどという自画自賛もありますが、各家庭に聞けば増えたとすればそれは6-7月のボーナスが大幅に増えたからで、それでもうちは倹約して出来るだけ貯金に回しているのですよ」と答えるでしょう。その様子はこのところ平均消費性向が低下傾向にある事からも明らかです。
地方経済・生活環境創生交付金は中身は解りませんが、103万円の壁見直しで大変な地方財政のためのバラマキの様にしか見えません。
103万円の壁問題はどいなっているのかと見ますと「何とかしましょう」という合意で国民民主党を納得させているようですが、何処かに書いてあったように「では104
万円で」と言ったら3党合意は空中分解でしょう。
この問題こそ「政治と社会保障と税制」の一体改革の本命でしょう。
国民民主党の言う「手取りの増加」は、税・社会保障の一体改革,特に所得税累進度の見直しなしには恒久的なものにはならないでしょう。
もう一つガソリン税については、トリガー条項の様な対策は、害あって益なしです。石油の値上がりは、国として、省エネ・再エネの努力で克服すべき問題です。小さな親切は、長い眼で見れば大きな迷惑なのです。
野党の意見でも、バラマキに類するものは、かなりあります。選挙対策も必要でしょうが、毅然として理を説くのが野党でしょう。本当に日本経済を強くしたいのであれば、春闘の賃上げをもう少し高くして、その分をその年の生産性向上努力で乗り越えるという嘗ての日本経済の真面目で力強い姿を取り戻すために、政府、労使は何ができるかを、例えば、かつての「産労懇」の様な頻繁なコミュニケーションと、そこから生まれる相互信頼の中で、絶えず考えていくことでしょう。