tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

「新しい資本主義」に命を吹き込め(続)

2022年03月10日 12時20分25秒 | 政治

岸田総理の掲げる「新しい資本主義」の「新しい」の意味を本気で考えてみようという事で、前回書き始めました。

岸田総理が、この言葉がいいなと思われて「新しい」と名付けたことを考えれば、その総理の直観を、多分総理はこんな意識だったのではないかと考えながら敷衍していこうという事です。

資本主義がおかしくなってきていることは多くの人が気付いていると思います。典型的なのがリーマンショックで、資本主義経済がいいと言っているうちに、資本の暴走であのようなことが起き、世界中が何年も苦労することになりました。
あの時は資本主義の終焉などとも言われました。

端的に言ってしまえば、資本主義と言っているうちに、それが「資本中心主義」になっていたのではないでしょうか。
人間が主人公ではなく、人間が資本に使われるようなことになると、資本主義は人間に災いをもたらすことになるようです。

勿論、資本はただのおカネで意思はありません、つまりは人間が「カネの亡者」になって、人間よりも金を大事にするようになるという事なのでしょう。

そうなるとこの世は資本が主人で人間は資本に使われる事になるわけで、今の資本主義は、そんな状態になっているのではないかという思いを持つ人も多くなっているのではないでしょうか。

恐らく岸田総理の心の中にはそうした人間と資本の関係が逆転した様な今の資本主義でない「新しい」資本主義でなければならないという意識があって「新しい資本主義」という旗印になったのではないかと思う所です。

ならば「新しい資本主義」は「人間が主人公の資本主義」「人間中心の資本主義」「人間に役立つ資本主義」「人間的資本主義」などということになるのではないでしょうか。

例えば、時価総額何兆円とか、何兆ドルとかといったことが企業の目標になり、マスコミがそれを大々的に報じ、会社の床の間には時価総額を書いた色紙が飾ってあるなどと言うのが本当の資本主義でしょうか。

「新しい資本主義」の目的は資本を大きくする事で終わるのではなく、そこには、企業として本来の目標があり、その目標のために資本を蓄積しそれを活用して社会の役に立つ企業になるというのが本来の姿で、そうした思想が本来の資本主義だったのでしょう。(前回参照)

そして企業の本来の目標というのは、蓄積した資本を活用して効率的な再生可能エネルギーの発生や性能抜群の蓄電システムの開発とか、コロナを心配しる必要のない医薬品の開発とか、そうした研究開発を短期間で可能にする超高性能のコンピュータの開発とか、といったものであり、それこそが人間のための資本主義でしょう。  

前回も書きましたが、久し振りで開かれた「新しい資本主義実現会議」で、岸田総理から  「AIや量子技術など先端分野で世界をリードするように積極的投資を進める」との意向が示されたとのことですが、進む方向は「人間のための資本主義」という事を明確にしているように思われます。

「新しい」の意味が、「人間のための」であることがはっきりすれば、岸田政権の政策は、全て合理的、整合的に説明され、加速前進するのではないでしょうか。

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