法人企業景気予測調査、現実は厳しいが・・・
法人企業統計季報の予測版とも言うべき標記調査が昨日発表になりました。ちょうど景気の変わり目の様な時ですので、大企業、中堅企業、中小企業の状況を見てみました。
(大企業:資本金10億円以上、中堅企業同10億円未満-1億円、中小企業同1億円未満-5千万円以上)
景況認識では大企業は今12月期、翌3月期は悪化、ですが、次の6月期は多少の回復を予測しています。
しかし中堅企業、中小企業は来年6月期まで景況は下降との予測ですが、下降の幅は次第に小幅になるという見方です。長期の不振継続とは見ていないようです。
収益についての予測は、これは年度単位の調査ですが、来年3月期決算は対前年度比ですべて減益予想です。
一方雇用状況の予測は、これは4半期予測ですが、これは、来年6月期まで不足気味の基調が続くという予想で景気の落ち込みの影響はあまり感じられません。
(DIで不足とする企業の割合が20%前後大きく、中堅・中小の方が不足意識は強い)
次に設備投資についてみますと、これはかなり堅調で、同じく四半期調査、DIで来年6月期までずっと設備不足の認識の方が多くなっています。
(DIで現状(12月期)不足が1ケタ台の%ですが、減少しながらもずっと不足)
「設備投資のスタンス」を見ますと、設備投資の目的は大企業・中堅企業では、第1位 は「維持更新」、中小企業が「生産・販売能力の拡大」となっています。
大企業では「省力化合理化」が2位、「生産販売能力の拡大」が3位です。
中堅企業では、「製商品サービスの質的向上」が2位、「生産販売能力拡大」が3位で、中小企業では「維持更新」が2位、「製商品サービスの質的向上」が3位です。
こう見て来ますと売上は減少、利益も落ち込み、なのに人手不足は続くというのが大方の予想であるのに関わらず、単純な「維持更新」が主目的で、「質的向上」は重要ですが、かつて企業の設備投資の主要目的であった「省力化合理化」がほとんど見られないのが不思議です。
ここから見えてくる構図というのは、もう我慢の時期は終わった、今後は量的拡大と質的向上の路線を進むことを目指すという前向き路線という感じです。
しかし現実はどうかというと、世界の到る所で政治が劣化し、不健全・非合理的な通商経済政策が主流となり、世界経済は減速、日本経済もその大波に揺れています。
企業は常に攻防両用の備えでなければならないのでしょうが、資本コストはゼロ金利で安い、人件費は非正規雇用の多用で引き下げる(求人の大半は非正規雇用)といった状況を前提としているのではないでしょうか。
研究開発費の低迷、 教育訓練費の減少はすでにこのブログでも指摘しましたが、この所の高まった平均利益率は企業努力よりも円安によるところが大ではないでしょうか。
韓国にも中国にも、もちろんアメリカにも負けない技術開発力それによる生産性向上の力と実績を持ち続けなければ、人間だけが資源の日本は「サステイナブル」ではないでしょう。
この調査からは、何となく高収益に油断する日本企業の影が見えるような気がして、余計な心配をしています。
法人企業統計季報の予測版とも言うべき標記調査が昨日発表になりました。ちょうど景気の変わり目の様な時ですので、大企業、中堅企業、中小企業の状況を見てみました。
(大企業:資本金10億円以上、中堅企業同10億円未満-1億円、中小企業同1億円未満-5千万円以上)
景況認識では大企業は今12月期、翌3月期は悪化、ですが、次の6月期は多少の回復を予測しています。
しかし中堅企業、中小企業は来年6月期まで景況は下降との予測ですが、下降の幅は次第に小幅になるという見方です。長期の不振継続とは見ていないようです。
収益についての予測は、これは年度単位の調査ですが、来年3月期決算は対前年度比ですべて減益予想です。
一方雇用状況の予測は、これは4半期予測ですが、これは、来年6月期まで不足気味の基調が続くという予想で景気の落ち込みの影響はあまり感じられません。
(DIで不足とする企業の割合が20%前後大きく、中堅・中小の方が不足意識は強い)
次に設備投資についてみますと、これはかなり堅調で、同じく四半期調査、DIで来年6月期までずっと設備不足の認識の方が多くなっています。
(DIで現状(12月期)不足が1ケタ台の%ですが、減少しながらもずっと不足)
「設備投資のスタンス」を見ますと、設備投資の目的は大企業・中堅企業では、第1位 は「維持更新」、中小企業が「生産・販売能力の拡大」となっています。
大企業では「省力化合理化」が2位、「生産販売能力の拡大」が3位です。
中堅企業では、「製商品サービスの質的向上」が2位、「生産販売能力拡大」が3位で、中小企業では「維持更新」が2位、「製商品サービスの質的向上」が3位です。
こう見て来ますと売上は減少、利益も落ち込み、なのに人手不足は続くというのが大方の予想であるのに関わらず、単純な「維持更新」が主目的で、「質的向上」は重要ですが、かつて企業の設備投資の主要目的であった「省力化合理化」がほとんど見られないのが不思議です。
ここから見えてくる構図というのは、もう我慢の時期は終わった、今後は量的拡大と質的向上の路線を進むことを目指すという前向き路線という感じです。
しかし現実はどうかというと、世界の到る所で政治が劣化し、不健全・非合理的な通商経済政策が主流となり、世界経済は減速、日本経済もその大波に揺れています。
企業は常に攻防両用の備えでなければならないのでしょうが、資本コストはゼロ金利で安い、人件費は非正規雇用の多用で引き下げる(求人の大半は非正規雇用)といった状況を前提としているのではないでしょうか。
研究開発費の低迷、 教育訓練費の減少はすでにこのブログでも指摘しましたが、この所の高まった平均利益率は企業努力よりも円安によるところが大ではないでしょうか。
韓国にも中国にも、もちろんアメリカにも負けない技術開発力それによる生産性向上の力と実績を持ち続けなければ、人間だけが資源の日本は「サステイナブル」ではないでしょう。
この調査からは、何となく高収益に油断する日本企業の影が見えるような気がして、余計な心配をしています。