還俗記Ⅲ-南京錠-
首尾よく解脱して
僕は普通に還る
誰と比較しても遜色ない
その他大勢の一般に紛れ込むのだ
何時も使用の
草臥れた仮面を被って
還俗の”とき”の映像は
誰の影響も受けない胸奥の
秘密の抽斗に仕舞い込んで
二個の南京錠を取り付け保管する
還俗記Ⅳ-knock-
胸に隙間風が吹くと
心面に漣が立つと
繊細なsizukuは
落ちる場所を見失う
普通で居られぬ状況は
普通の物音を掻き消す
何時も通りに準備できないときは
どんな言伝も届かないのだ
言葉の欠片たちは
穏やかな居所を好んで滴る
その仕組みが損なわれれば
還俗の扉をknockすることも無い
それは
僕のシステムの堅牢なる一個の理