先日
10年ぶりに知人に偶然会った。
仕事が終わって街の中を歩いていると
すれ違った人の顔を見て
あ、と思い
声をかけた。
名乗っても
思い出せないらしい。
私も、その方の名前が咄嗟に出ず
これこれこういう理由で以前、よくお話していた者です、などと
話しかけたが
私の顔に見覚えがないようだった。
そのまま別れようかと思っていたら
「まあ、お茶でも。」と彼女は誘ってくれた。
年齢はあの頃、年配に感じていたから
あれから10年であれば
70台後半だと思われる。
年齢を聞くのは失礼だと思って、聞かなかった。
そして
当時の思い出話や、共通する知人のこと、
私の携帯に、彼女の電話番号が入っていること、
うちの近くのマンションに住んでいる(今は引っ越したとのこと)ことなど
私の記憶している彼女のことを話してみたが
お茶を飲んでいる30分間で
とうとう私のことを思い出してくれなかった。
名前を聞いて、自分の携帯を調べたら、彼女の名前があり、
彼女はそれを見て、びっくりしていた。
それでも思い出さない。
しかし
さわやかにお別れすることができた。
何より
もう過去の人、会わず仕舞いの間柄であるのに
元気に生きていたことを知ってよかった。
共通の知人は、大病をしたと聞かされた。
おそらくそちらの方は
私のことを覚えているかもしれないので
いつか機会があれば
3人でお茶を飲みましょう、と別れた。
夫や職場の人に
このことを話したら
大笑いされた。
夫は
「詐欺だと思われたんじゃないか。」と言う。
30分、いろいろと共通の話題を提供しても
とうとう
「ああ、あのときの・・・」と思い出せないほどに
影の薄い私だったのかもしれない。