人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

フランク「ピアノ五重奏曲ヘ短調」を聴く~サントリーホール・チェンバーミュージック・ガーデン

2013年06月09日 07時05分37秒 | 日記

9日(日)。昨日の朝日朝刊別冊「be」の「再読 こんな時 こんな本」シリーズのテーマは「小澤征爾を読む」です。その中で村上春樹が小澤征爾と音楽を語った「小澤征爾さんと、音楽について話をする」(新潮社)が取り上げられています 書店で見かけて気になっていた本ですが、1680円とちょっと高かったので買わずにいます

その中に、次のようなエピソードが出てくると紹介しています。

「伝説のピアニスト、グレン・グールドと指揮者バーンスタインが、ブラームスの第1ピアノ協奏曲を協演した時、バーンスタインが演奏前に『これからの演奏は自分のやりたいスタイルではない、グールドの意思でこうなった』と語りかけたのは有名な話だが、この現場にバーンスタインのアシスタントだった小澤が居合わせていた

 

          

 

これは初耳です。その演奏はCD(1962年4月7日のライブ)で持っていて何度か聴いていますが、あのライブ録音の現場に若き日の小澤征爾が居合わせていたとは驚きです この演奏は、当時バーンスタインが主張したような”遅い”演奏では決してなく、グールドの主張の方が正しかったのではないかと思います。バーンスタインのスタイルではなかったのでしょうが

          

          

 

  閑話休題  

 

昨日、サントリーホールのブルーローズ(小ホール)でサントリーホール・チェンバーミュージックガーデンの「ウィークエンド・コンサート」を聴きました ホール入口でプログラムといっしょに「ワンドリンク・サービス券」が配られました。ラッキーです おかげでコンサート前にホットコーヒーを飲むことが出来ました自席は4列11番で、センターブロック右サイドです

プログラムは①シューマン「ピアノ三重奏曲第1番ニ短調」から第1楽章、②フォーレ「夢のあとに」、③サン=サ―ンス「白鳥」、④フランク「ピアノ五重奏曲ヘ短調」。演奏はヴァイオリン:鈴木理恵子(読響客員コンマス)、ヴィオラ:山田百子(クァルテット・エクセルシオ)、チェロ:上村昇、ピアノ:若林顕です

 

          

 

最初にピアノの若林顕がマイクを持って登場、あいさつしました

「今日はお越しいただきありがとうございました。今日は弦の豊饒な響きが堪能していただけると思います。今日のシューマンとフランクの共通点は”うねり感”です。心の葛藤というか、そういうところが共通していると思います。お楽しみください

若林は一旦舞台袖に引っ込み、黒を基調とするワインレッドの花柄を配したサマードレスの鈴木理恵子、チェロの上村昇とともに再度登場します

シューマンの「ピアノ三重奏曲第1番」は愛妻クララの誕生日を祝って作曲したロマンティックな曲ですヴァイオリンを中心に美しいアンサンブルが奏でられます

次は順番が入れ替えられ、最初にサン=サーンスの「白鳥」が、次にフォーレの「夢のあとに」が、上村と若林によって演奏されました。上村のチェロがよく歌っていました

次いでフランクの「ピアノ五重奏曲ヘ短調」が演奏されます。左から鈴木絵里子、淡い藤色のドレスを身にまとった山田百子、上村昇、青緑色のドレスの花田和加子、後ろにピアノの若林顕という態勢です

 

          

 

フランクはベルギー生まれですが、人生の大半をフランスで過ごしたためフランスの作曲家のように思われます この曲はいくつかの主題が何度も登場する「循環形式」をとります。公演前の若林の解説どおり”うねり”を感じさせる音楽が展開します

この曲は5月4日のラ・フォル・ジュルネ音楽祭でモディリアー二弦楽四重奏団とブーランジェのピアノで聴いたのですが、あの時は初めて聴いたこと、席が前から16列目と舞台から遠かったこと、等から曲を楽しむまで至らず、フランクに苦手意識を持ってしまいました しかし、今回は2度目で、前から4列目の演奏者に近い席で聴くことが出来たこともあってか、より共感を持って曲を受け止めることが出来ました さらに言えば、あの時は四重奏団もピアノも若手奏者でしたが、今回は中堅どころが揃っている点が、人生経験から、曲に深みを与えたのかも知れません

長い第1楽章が終わった後、白熱の演奏に会場のここかしこから拍手が湧きました それは第2楽章が終わった時も同じ反応があり、その時は意外に感じました 最後の音が鳴り終わると会場一杯の拍手 とブラボーが舞台に押し寄せました

アンコールにショスタコーヴィチの「ピアノ五重奏曲」から第3楽章がリズミカルに演奏され、拍手喝さいを浴びました。1時間の予定が、トークやアンコールもあり20分ほどオーバーしてお開きになりました。十分楽しめるコンサートでした

今回の教訓は、室内楽は出来るだけ前方の中央寄りの席で聴くこと、さらに言えば、実力の裏付けのある中堅どころのアーティストで聴くのが望ましいということです

 

          

        

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