13日(木)その2。昨日午後7時から、サントリーホールのブルーローズ(小ホール)で同ホールチェンバーミュージック・ガーデン「室内楽アカデミー・ゲストコンサート」を聴きました プログラムは①ベートーヴェン「三重奏曲変ロ長調”街の歌”」、②ブラームス「弦楽六重奏曲第1番変ロ長調」、③ドヴォルザーク「ピアノ五重奏曲第2番イ長調」。演奏はピアノ=若林顕、弦楽四重奏=カルミナ・クァルテット、サントリーホール室内楽アカデミー選抜フェローです
自席はC3列2番、センターブロック左サイド。会場は9割方埋まっている感じです 客席の後方には今回のチェンバーミュージックガーデンに出演するクァルテット・エクセルシオの女性3人の姿も見受けられます。彼らは桐朋学園大学の出身者なので、後輩の健闘ぶりを見学に来たのでしょう
1曲目のベートーヴェン「三重奏曲変ロ長調」は”街の歌”というサブタイトルがついていますが、第3楽章が当時ウィーンで流行していたヴァイグルの歌劇”海賊”の中の三重唱のテーマによることから名づけられたものです
演奏はヴァイオリン=小形響、チェロ=中実穂、ピアノ=石塚彩子という面々です 小形、中の二人はこの日のマスタークラスでベートーヴェンの「弦楽四重奏曲第2番」のレッスンを受けた生徒です。小形はイエローの、中は淡いベージュの、石塚はブルーのドレスで登場です 小形、中の二人はマスタークラスの時は横顔しか見ていなかったので、正装した姿で正面から見るとまるで別人のようです 本番の方がずっといいです
演奏はメリハリがあり、表情豊かな表現で印象深く聴きました とくに第2楽章冒頭のチェロ独奏は非常に美しく響きました
2曲目のブラームス「弦楽六重奏曲第1番」はヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ各2本という珍しい編成による曲です 演奏はヴァイオリン=エンデルレ、東山加奈子、ヴィオラ=チャンプ二―、高橋梓、チェロ=ゲルナー、鎌田茉莉子というメンバーです 東山はブルーの、高橋は淡いピンクの、鎌田は朱色のドレスで登場です 冒頭から第1ヴァイオリンのエンデルレを中心に濃厚な音楽を作っていきます ブラームス特有のうねるような曲想が展開します。ブラームス好きにはたまらないアンサンブルです 第2楽章は映画音楽としても使われたりした有名な曲です。これを聴いている最中、”自分はひょっとすると物凄い演奏に立ち会っているのかも知れない”と思い、背筋が寒くなりました とにかく濃厚なのです。全員が全力投球なのです。これまで何度かこの曲を生で聴いてきましたが、こんなに迫力のある凄い演奏は初めてです
全員の弓が上がると、会場は圧倒的な拍手で満たされました
休憩後のドヴォルザーク「ピアノ五重奏曲第2番」は、カルミナ・クァルテットと若林顕のピアノにより演奏されます 3楽章から成りますが、どの楽章もドヴォルザークらしい民族色豊かなメロディーに溢れた曲です。この曲も集中力の高い演奏で、それぞれの楽器の対話やバトルが楽しく聴けました
演奏後、拍手を受ける彼らを見て初めて気が付いたのですが、女性2人の顎の左下に赤いアザが出来ているのです 第1ヴァイオリンのエンデルレを含めて、だれも楽器を顎に当てるときに布を挟まないのです 自分で弾いた音を顎の骨を通して直接耳に伝えようとしているのかも知れません。そのアザは彼女たちにとってアーティストとしての勲章なのだと思います
この日は「マスタークラス」と「ゲストコンサート」をハシゴして聴いたわけですが、体力的にはしんどかったものの、大変充実した一日を過ごすことができました